川月清志さんによるサクラの木のフォーク
画像は、岡山・成羽町「工房 川月」の、川月清志さんによるサクラの木でできたフォークです。長さは17cmですが、重さはたった7gと、とても軽量です。ちなみに、ステンレスの小さなケーキ用フォークは、20gありました。表面はよく研磨されて、涼やかに滑ります。
このフォークでケーキを食べて、驚きの体験をしました。ケーキをすくって、口へと運び、口唇を閉じてフォークを口から引き出すとき、もう一度クリームやチョコの味わいが蘇って、それまでの味わいと重なり、濃厚になるのです。
フォークに付着したクリームやチョコが、舌と口唇でこそげ取られるためですが、フォークの厚みと幅に絶妙なグラデーションがあるので、加速が付いて、より強く感じるのです。
フォークが軽やかに舌や口唇を滑り、最後にスポッと、小気味よく口唇から抜ける、心地よい触・圧覚も、この味覚体験に加わってきます。
比較のために厚みが薄いステンレス製のフォークで試しましたが、こうした体験は少ししか感じられませんでした。
川月さんのフォークは、私たちの味覚体験に新たな感覚のハーモニーをもたらし、スイーツを脳で再構成して味わうための道具です。とりわけ、食品スーパーの棚に並べられている廉価なスイーツで、効果抜群です。