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石原路子さんのテディベアによる、ポール・ゴーギャン作「自画像」の再現

画像は、我が家に、一番最後の5番目にやってきたテディベアです。

石原路子・作「シャルル」2016年

伝説のテデイベア作家、石原路子さんの代表作で、「シャルル」と命名されています。
石原さんの作品には熱烈なファンがいて、多くは誕生するとすぐにに収集家のもとに行ってしまうのですが、この個体は、奇跡的にずっとアトリエに佇んで、出会いを待ってくれていました。首もとのピンクの蝶ネクタイが、出自の良さを物語ります。
筆者がアトリエを訪れるたびに、目が合うので、強い絆を感じて、我が家に迎えました。

シャルル君は、石原作品の中では、比較的大きな個体ですが、肩をすぼめて、身を固くしていています。思春期前の羞恥心が強い時期に、背が高い子供が、自分が目立ってしまうのを恥ずかしく思って、肩をすぼめている心情をよく表現しており、非常に芸術性が高い作品になっています。

さて、画像は、ポール・ゴーギャンの自画像です。1)

ポール・ゴーギャン 作「自画像」1885年 キャンベル美術館(テキサス州)・蔵

ポール・ゴーギャンは、ゴッホと共同生活したことや、南太平洋のタヒチに滞在し作品を製作したことが知られています。ちなみに、タヒチで製作された作品「かぐわしき大地」が、倉敷の大原美術館に所蔵されています。

ゴーギャンは、人生の初期に事業で成功するも、間もなく没落し、趣味ではじめた画業に専念することになりました。しかし生前、作品は十分に評価されず、困窮した生活を送りました。製作環境を求めた移住は、南太平洋の地の果てに及びましたが、54歳で病死しています。他者から孤立しやすい性格で、作品群もその当時は、孤高の画風でした。

自画像は、36歳頃のもので、事業が行き詰まり、生活に困窮し、妻の実家のある異国の街、コペンハーゲンで暮らしていた時のものです。暖房のない屋根裏部屋で、厚手のコートを着込んで製作している姿です。右上には斜めの梁があって、窮屈な空間となっており、当時の状況に心的な圧迫を感じていたこと表現しています。
それでも、顔は正面を向き、梁の方から射す光の方を見つめています。
ゴーギャンは、本作を描いたのちに、フランスに戻っています。

そんなゴーギャンを、テディベアのシャルル君で再現してみました。シャルル君は、肩をすぼめて遠慮がちに生きていますが、しっかりと光の射す方を見据えています。

この空気感はいかがでしょうか。


1)シラール・ファン・ヒューフテン, ウォルター・ファンデル・フェーン, 大橋菜都子, 森美樹, 塩津青夏, 中野悠・執筆 東京都美術館, 愛知県美術館, 東京新聞, 中日新聞社, TBCテレビ・編:ゴッホとゴーギャン展. 東京新聞, 中日新聞社, TBCテレビ, 2016. P40-41


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