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    読んだ本の記録です。 みなさんのおすすめの本も教えてください。

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    美術館や展示会の記録です。 鑑賞した感想を教えてください。

最近の記事

吉田修一『熱帯魚』

これは恋なのか、それとも人間としての脊髄反射なのか、正解はないけどどれも正しいと思わせてくれる小説集だった。 いいね、吉田修一。 今までなんで読まなかったんだろうって考えるけど、ようやく読む時がやってきたのだろうなって感じ。 どれもこれも、傑作。 普通ってなんだ?自分の中では当たり前なことなんだけど、他人から見るとおかしなことってあるよね。 丹精込めて酢豚を作ったけど、味が気に入らないからぜんぶ捨てたり。 丹精込めて作ってくれなかった炒飯を問答無用で捨てたり。 側から見ると

    • 人間には視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感しかないけれど、植物には20もの感覚があるらしい。 知らんかった。

      • 馬見塚 喜康 夜の窓

        記憶をまさぐられた。 並んでいる夜の窓を見つめながら、この景色をどこで見てきたのかと自問自答する。 部屋の中に干してある洗濯物、人の気配、カーテンの揺らぎ。 それらにどこで出会ったのかを思い出そうとする。 幼いころに祖父母の家に遊びに行ったときだろうか。 それとも学生時代、ひとり暮らしを始めて友人と一緒に出歩いた夜の街並みの中だろうか。 夜の窓を見つめながら、一体、自分はこの窓をどこで見つけてきたのかと考える。 馬見塚の絵は、見る者の記憶を揺さぶってくる。 どこかで出会

        • 三重県 高田本山専修寺

          国宝となっている御影堂と如来堂で、来週、2024年11月15日(金)から17日(日)の17:00~20:30の間、プロジェクションマッピングを使ったデジタルアートナイトが開催されるらしい。 日本最大級のデジタルアートらしい。 すごく行きたい。 けど仕事だから行けない。 くやしい。 ちょっと三重県まで行ってきたので、専修寺について紹介する。 と、その前に。 当日は総務の方に案内していただいたのだけど、名刺からお香が漂っている。 名刺交換したときには気づかなかったけど、自宅で

        吉田修一『熱帯魚』

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        記事

          中村文則『銃』

          あらまあ、そりゃいかんいかん、大変なこって、なんでも拾ってしまうその癖、はよ直しはったらええんとちゃいます? っていう声が聞こえてきそうなイメージ。 この小説を読んだ人からは賛同を得られないと思うけど、そういうイメージ。 いつ何が起こるのか電車の中で、隣に座っている人がどんな人なのかなんて、わからない。 どうもこんにちは、突然ですがお名前を教えてもらえますか?あと年齢と、職業と、既婚か未婚か、お子さんがいるかどうかもついでにお願いします。 そう話しかければもしかしたら、隣の

          中村文則『銃』

          LOVEファッション―私を着がえるとき 京都国立近代美術館

          ファッションショーみたいな感じかなとあまり期待せず行ったら興奮させられまくった。 ファッション領域だけじゃない、デザインとして、アートとして楽しめる展示会だった。 歴史に残ってるような服が生で拝めるなんて、そんな、たまんなさすぎるだろ。 ファッションというアート服って、着るためにあるんだよね。 僕は服にそこまで頓着がないから、ユニクロとか、無印良品とか、いわゆるファストファッションで済ませてしまうことが多い。 もちろん場をわきまえて年相応な格好をしなければならない時にはそう

          LOVEファッション―私を着がえるとき 京都国立近代美術館

          吉田ユニ展“PLAYING CARDS” グラングリーン大阪「VS.」

          ちょっと梅田に用事があって、帰り際に、そういえば今日から吉田ユニの個展が開催されるんだったなと思い行ってきた。 平日の昼間だからか、人も少なくゆっくり楽しむことができた。 吉田ユニのグラフィックは面白い。 その視点、どっからきたの?と唸らせてくれるアイデアは見ていて飽きない。 トランプの絵柄今回の展示はトランプの絵柄を吉田ユニがデザインしたものの展示だった。 トランプの絵柄って、あのトランプの絵柄だ。 それを、食べ物で表現したり、人の身体で表現したり、いいね、その発想、めち

          吉田ユニ展“PLAYING CARDS” グラングリーン大阪「VS.」

          山形季央『日本のグラフィック100年』

          兵庫県立美術館で石岡瑛子の図録を買おうとしてたら目に留まってついつい購入してしまった本。 見るのも読むのも興味深かった。 デザインの歴史デザインって、なんだろう。 アートとデザインの境界線って、なんだろう。 大阪中之島美術館が昨年に「デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン」という展示を行っていた。 これはアート作品なのか、デザイン作品なのかを来場者に投票してもらうという試みで、しかも投票結果がすぐに表示されていたりもして、やっぱり草間彌生はアートという投票率が高い

          山形季央『日本のグラフィック100年』

          吉田修一『最後の息子』

          何が一番驚いたかって、吉田修一が本作で文學界新人賞を受賞したときの審査委員に山田詠美がいたってこと。 山田詠美は新作が発表されたら必ず読むと決めている作家のひとりだけど、山田詠美といえば、ピーコとの対談を思い出す。 もはや歴史に名を刻んでる存在。 一人称と三人称吉田修一が一人称で小説を書いていたことを初めて知った。 続く二作目からは三人称になっているから、デビュー作だけなのかな。 一人称で綴られる物語の中にも、三人称の視点は存在する。 三人称を語っているのが主人公なのか、

          吉田修一『最後の息子』

          乗代雄介『旅する練習』

          この本、おもしろそうやん、と思って購入し、読み進めていくうちに、あれ、なんか知ってるぞ、と感じ始めて、自宅の本棚を整理すると過去に読んだことのある本だったりする。 それがこれ。 読むのが二度目でも面白かった。 出会いと別れ旅は、した方がいい。 特に若いとき、10代から20代前半くらいまでに、何かしら大きな旅をしておく方がいいと思っている。 世界を広げるためとか、成長のためとか、そういうかっこいい理由じゃなくて、絶望を感じるため。 ああ、自分の人生は今日までなのかもしれない

          乗代雄介『旅する練習』

          木爾チレン『みんな蛍を殺したかった』

          これはエンタメか?ライトノベルか?どういう立ち位置の小説なのかがふわっとしている印象。 どの立ち位置でもいいけれど、最後まで書き切ってほしかった。 ライトノベルといえば西尾維新が一番最初に思い浮かぶけど(西尾維新以外を読んだことがなくてすみません)、あれくらい、裏の裏まで設定が細かくされていたならよかったのに。 黒歴史あるよね、みんな、黒歴史。 僕もたぶんある。 なんだろ、ぱっと思い出せないけど、たぶんある。 漫画家になりたくてアニメイトでGペンとかスクリーントーンとか買い

          木爾チレン『みんな蛍を殺したかった』

          デ・キリコ展 神戸市立博物館

          ぜんぜんわからんのやけど、僕は学芸員資格も持ってないし、評論家でもないから、ぜんぜんわからんのやけど、展示されている絵が、額縁の中で歪んでること、ある? ちょっと斜めになっていたり、中央に揃っていなかったり、あれ、これなんやろ、どうして額の中央じゃなくて若干右寄りなんやろ、っていう演出なんかな。 数ミリ単位だと思うんだけど、左右のバラつきが気になる作品が数点あった。 どうしてだ?? デ・キリコの絵画は、ちょっと歪んでいたり、バランスがおかしかったりするのが特徴だ。 身体の上

          デ・キリコ展 神戸市立博物館

          石岡瑛子 I デザイン 兵庫県立美術館

          石岡瑛子(1938-2012年)没後10年を経て開催された回顧展。 回顧展か、と思って展示場に入ると、「これは"回顧展"ではありません。石岡瑛子はここにいます。」という案内から始まる。 なんてこった、わくわくするじゃねえか、と思わせてくれる。 石岡瑛子は、東京藝術大学卒業後、資生堂に入社し、グラフィックデザイナー、アートディレクターとして活躍してから1970年に独立する。 パルコや角川書店の広告を手がけながら、舞台芸術の分野でも活躍した人だ。 デザインて、面白いこの展示、

          石岡瑛子 I デザイン 兵庫県立美術館

          背筋『近畿地方のある場所について』

          オカルトが好きな人は人生のどの瞬間にオカルト好きになるんだろう。 幽霊とかUMAとかUFOとか、そういうのにぐっと吸い寄せられるのってどんなときなんだろう。 見つけてくださってありがとうございます。幽霊を信じているとか信じていないとか、そういう話は置いといて、不思議なことって起こるよね。 鼻歌を口ずさんでいたら街中で偶然BGMとして同じ曲が流れだしたり。 急いでいるとき、目的地までの信号がぜんぶ赤だったり。 スピリチュアルってやつ? 小学生のころ、そういうのに敏感な女の子

          背筋『近畿地方のある場所について』

          吉田修一『森は知っている』

          書店で吉田修一の本を手に取るとき、必ず横山秀夫も気になるのは僕だけじゃないはず。 好きな作家が五十音順の後半に集中してるから、毎回や行から探し始めるけれど、ほとんど購入済みだから、や行周辺で険しい顔して腕組みしてる人は同士。 タイトルに騙されるな吉田修一に関しては、タイトルを見て、読むか読まないかを判断すると失敗する。 どれを読んでもハズレはないから、タイトルは小説を識別するためのものとして捉えた方がいい。 今回も、なんやろ、森でのサスペンスかな、と思って読み始めたのに、ぜ

          吉田修一『森は知っている』

          町屋良平『1R1分34秒』

          すっすっはっはっすっすっはっはっていう息遣いが聞こえてきそうな勢いがあったけどこれは柳美里の『8月の果て』。 ハイになった気持ちで読み進めていきたかったけど現実を直視するシーンでどうしても内面と対話してしまう。 ボクシングと友情と信頼青春って、渦中にいるときにはこれが青春なんだって気づかないけど、過ぎ去ってから、あ、あれは青春だったんだって振り返るものなんだと思う。 10代でも20代でも30代でも40代でも、いくつになっても青春ってあるんじゃないかなと、最近は考える。 キ

          町屋良平『1R1分34秒』