吉田修一『森は知っている』
書店で吉田修一の本を手に取るとき、必ず横山秀夫も気になるのは僕だけじゃないはず。
好きな作家が五十音順の後半に集中してるから、毎回や行から探し始めるけれど、ほとんど購入済みだから、や行周辺で険しい顔して腕組みしてる人は同士。
タイトルに騙されるな
吉田修一に関しては、タイトルを見て、読むか読まないかを判断すると失敗する。
どれを読んでもハズレはないから、タイトルは小説を識別するためのものとして捉えた方がいい。
今回も、なんやろ、森でのサスペンスかな、と思って読み始めたのに、ぜんぜん違った。
良い意味で裏切られた。
僕は福祉施設でたまにアルバイトをしている。
月に一度とか、週に一度とか、ほんとにその程度でしか手伝うことができていないけれど、福祉施設で職業指導員として働くことがある。
主にデザインを教えている。
コーディングも教えている。
ぜんぜんわからないけどミーティングにも参加する。
お前誰?って顔をされる前にこっちから挨拶するようにしている。
幼少期の記憶や経験というのは、その先の人生に多大な影響を与える。
誰しもが思い当たる節、あるんじゃないかな。
僕も小学校低学年のときに、祖父母の家の近所にいた大型犬に追いかけ回されてから、大型犬がどうしても苦手になった。
中学生のときに、バイクに乗った二人組にカツアゲをされそうになり、それ以来、バイクのエンジン音が今でも怖い。
そういう、他人からしたらどうでもいいことかもしれないけれど、自分の心の中にわだかまりを残すような出来事って、誰にでもあるんじゃないかな。
他人の気持ちを理解することはできない。
僕が何気なく放ったひと言で、心の奥底に傷をつけてしまうことだってありえるのが人間関係。
小学校で、「他人が嫌がることはしてはいけません」って言われていたけれど、僕にはその意味がいまいちわからない。
お前の顔が嫌いって言われたら、整形しなくちゃいけないの?
他人が嫌がることをしないんじゃなくて、自分がされて嬉しいと感じることを積極的にすればいいのに。
言葉って、使い方次第でどうにでもなってしまう。
そういうの、屁理屈って呼ぶんだよって、何度も言われた。
思考放棄には寛容な世の中ですこと。
生きていくのって、簡単なのに、たまに、難しくて死にたくなる。
明日を迎えるための何かをください。
明日にご褒美をください。
明日が待ち遠しくなる希望をください。
そんなの、他人に求めても仕方ないのに、求めちゃうんだよ。
人間だもの。
通勤途中の電車の中で、つい涙腺が潤んじゃったよ。
自分のために生きるって、限界があるけれど、誰か一人、たった一人でいいから、生きろって言ってくれたら、明日も生きていこうって思える。
明日も笑顔でいられますように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?