マガジンのカバー画像

たおやか日記

44
恋人との健やかな日々を紡いでいきます。 SNSをやっていない人なので、記念日にまとめてお披露目しています。 「彼氏・彼女」ではなく「恋人」という言葉にこだわっていると話したら…
運営しているクリエイター

記事一覧

ユートピア貯金

ユートピア貯金

ささやかな芝生でドーナツ片手にピクニックして、
美術館デート終わってから感想戦で盛り上がって、
くるりの音博で一緒に泣きながら羊文学を聞いて、
深夜に鍋や、餃子や、ハンバーグを頬張って。

ずっと夢見ていた平穏で穏やかな生活が、ここには
あった。

この一年半、どんなに忙しくても、悔しくても、
人生を手放したくなったとしても、君が隣にいて、
ただそれだけで、私は一瞬で穏やかになれた。

そんな君と

もっとみる
オカン構文

オカン構文

恋人は、時々オカンになる。

「あんた〜元気ないやないの〜どないしたん〜
全部聞いたるで〜」

ポケットから飴ちゃんでもだしてくれそうな、
商店街をヒョウ柄で歩いていそうな、おちゃらけて
明るく、おもろい、大阪のオカンになってくれる。

恋人の前だけは、特に強い女でありたかった。

だって、自分の脚でしっかり立つ人が好きだって、
言っていたから。

私は、過去に何度も自分を曝け出し過ぎて、フラれて

もっとみる
ただの至極な日常を

ただの至極な日常を

餃子を包んで、夜中まで一緒にゲームをして、
お布団の中で、互いの好きなところを言い合って。

目を見て、手を繋いで、好きだよと直接言い合えるこの尊い距離を、私は、もっともっと大切に、噛み締めて過ごさなければいけないのだ。

❄︎ ❄︎ ❄︎

「東京の生活が今より楽しくなられたら困る」

夜中、狭いワンルームの片隅で、君が呟く。

春から東京へ行くことを決めた私と、変わらずに
大阪で夢を追いかけ続

もっとみる
君と撚り糸

君と撚り糸

いつだって、2人の未来に煌めきをもたせるための
努力を惜しまないその姿勢に、私は何度も感動して恋をする。

ぜんぶ、君のおかげだ。

❄︎ ❄︎ ❄︎

東京の会社から内定が出た。

そこで働くかどうか、まだ決めきれていないけれど
とりあえずニートになることは防げそうだ。

そっと心を撫で下ろした反面、急に“遠距離”なんて
暗雲が立ち込めてくる。

しかも、終わりのない無期限の遠距離。

「彼氏フ

もっとみる
なにもあきらめたくない、赤い糸

なにもあきらめたくない、赤い糸

私の夢も、君との未来も、どっちも諦めない。
そんなのって、やっぱり夢物語なのでしょうか。

いや、そんなことない。そんなことないはずだ。

❄︎ ❄︎ ❄︎

ちょっと良いなと思っていた会社から連絡が来た。
2次面接スキップして最終面接に来てくださいって。

オーダーメイド制で、大量生産・大量廃棄を乗り越えることを、1番の目標としている会社。

まさに、私が大学時代に研究していたことや、
今、こう

もっとみる
生存確認程度のことでも尚

生存確認程度のことでも尚

ただの学校終わり。
家の目の前に救急車が止まっていた。

向かいのお婆ちゃんは元気に水やりしていたから、きっと私のアパートの誰かだ。

一人暮らしの人ばっかりだろうから、相当大変だろうに。

会ったこともない人に余計な心配をしている時、
ふと嫌な妄想をしてしまった。

もし、私が倒れても、恋人は助けに来ないだろう。

そして、それは逆も然り。

私達は、互いに連絡不精で、ラインが3日空くことだって

もっとみる
ちゃんと、自分の脚で

ちゃんと、自分の脚で

am 4:50 梅雨入りに相応しい激しい雨。

雨の匂いを嗅ぎたくて、ほんの少し窓を開ける。
夜と朝の狭間で、雨の音だけが、部屋に響く。

蒼い光越しに見る君の横顔があまりにも綺麗で。

いつまでも、この静かな隙間が続けば良いのに。
ずっと、君だけを見ていられたら良いのに。

なんてね。

❄︎ ❄︎ ❄︎

最近、ほんとうにバッド続きな気がする。

天気の悪さに比例して、腰もギュッと痛くなるし

もっとみる
これさえあれば

これさえあれば

今、私たちに一番の試練が押し寄せている。

何度も無理だと押しつぶされそうになるけれど、
そのたびに優しく光る薬指がそっと力をくれる。

大丈夫。うちらなら、絶対やれるよって。

❄︎ ❄︎ ❄︎

ファッションショーまで、残り2週間。

人類学のエッセンスを、最大限ファッションに
落とし込んだブランドをお披露目する。

誰もが、着るだけで他者の存在を意識できる服があれば、この世界はもっと温かくな

もっとみる
言葉の奥行き

言葉の奥行き

「このエッセイ、ゆきっぽくて非常に良いね」

去年と同じ場所、同じ時間、同じ服装の君に、
1年間かけて綴ったラブレターを本にして渡した。

時間をかけて、丁寧に読み進める君の横顔が、
この世界の何よりも美しいと思う。

初デートに感じた忘れられない胸の高鳴り、
中々会えずに淋しくなってしまったあの夜、
離れていてもそばにいると実感した日のこと。

木漏れ日の中で、共に振り返る思い出達は、
1人で綴

もっとみる
踊り場

踊り場

結婚に大きな願望を抱いたことは無かった。

好きな人と末永く一緒にいられたら、それだけでもう十分じゃないか。

けれど、周りの子達は、最近急に具体的な話をするようになって。

今の彼氏と2年後に結婚する約束をしているとか、
もうすぐ同棲を始める予定だとか。

ついこの間まで制服を着ていた女の子たちが、次々に結婚へ向かっているという現実に、すごく焦りを感じてしまう。

そこまで興味もなかったはずの”

もっとみる
君が初恋じゃなくて死ぬほど良かった

君が初恋じゃなくて死ぬほど良かった

もっと昔の君と出会えていたら…

お揃いの制服で2人乗りする高校生を見て、ふいにパラレルワールドの私達へ思いを馳せる。

バド部の君と、吹部の私。

朝は一緒に登校して、廊下で手を振って、帰りは公園でお喋りした後、家まで送ってくれる。

みたいな。

君は優しいから、演奏会は毎回必ず顔を出してくれるはず。

「泣いてないもん」
なんて言いながら、きっとボロボロ泣いて定期演奏会の感想を教えてくれるん

もっとみる
溢れんばかりの春を揺らそう

溢れんばかりの春を揺らそう

「あれ、なんでいるの!え!どうしよ!」

今日に限ってJRではなく、御堂筋だった私。
自転車を置いた君にばったり会った。

予定よりも早く会えてラッキー!なんて思っていたのに、なんだか君はオロオロ落ち着かない…

大丈夫??なんかあった??

「実は、会った時にお花渡したくて…買いに行く途中で…間に合わなくてごめんね」

なんてこった!!!

私が1番好きだと言ったお花を覚えていてくれて、バレンタ

もっとみる
不確定な未来の内側で

不確定な未来の内側で

その微笑ましい君の横顔を見るたびに、あぁ、
いつかちゃんと言わないとって思ってしまう。

悪いことをした訳じゃないのに、騙しているみたいでモヤモヤする。

最寄りのバス停の前には、小さな保育園がある。

バスが来るまでの間、ガラス越しに見える小さな生き物達を眺めては、勝手にアフレコをするのが私達の日課だ。

上手に靴が履けなくて泣いている子や、それを
手伝ってあげる優しい子。

そして、彼らを愛お

もっとみる
かみさま、もうそれくらいにしてあげてください

かみさま、もうそれくらいにしてあげてください

かみさま、お願い。
これ以上彼をいじめないであげてください。

だって、十分じゃないか。

夜勤も、連勤シフトも、ダブルワークも。
こんなに頑張っているのに。なのに社員が飛んで、負担がまた増えた。

頑張っている人が、きちんと報われる世界にするって約束じゃないの?

「ごめん。ほんとうにごめん。すぐいくね。」

約束の時刻を1時間過ぎても、既読にならないので
電話をかけたら、ものすごい勢いで懺悔さ

もっとみる