法務の週末

自己学習のため判例を読んで、記憶定着のためアウトプットしています。内容は、わかりやすさを優先し乱暴な省略や改変があります。正確な情報は判例原文をご参照ください。

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まとめ

契約の成立代金、引渡時期、支払方法が未定でも契約は成立しているとした判例 事実と異なる名目だけの契約を作って、商品の納品を受けると、契約書とは別の「期限の定めのない契約」が成立するとした判例 クラウドソーシングを利用したが、契約書を取り交わさなかったためトラブルになった判例 基本契約に「個別契約は書面でのみ成立する」と書いたが「口頭で個別契約が成立した」と認められた判例 契約不適合不良品があったが、商法により返品できなかった判例 仕様の説明が不足していたため、契約不

    • 偽装請負だったため、委託先社員を「直接雇用している」と判断された判例

      関連法令派遣法では、以下の場合、自動的に「会社が派遣社員に直接雇用を申し込んだ」とみなされます。 登場人物Xら 原告(訴えた)Y社に派遣され、業務を行っていた。 「Y社」 被告(訴えられた) 派遣を受けていた ライフ社 Xらを派遣していた 事実の概要Y社はライフ社と業務請負契約を締結。XらはY社の工場で業務をしていた。 ライフ社は経営不振で請負契約を終了することとし、その後を派遣会社Q社が引き継ぐことになった。 Q社が面接をした結果、XらはQ社に雇用されることがで

      • 「支払停止」の言葉の意味について言及した判例

        登場人物T氏・・・経営が苦しくなり破産した K氏・・・T氏にお金を貸し、経営難を感じ取り、仮担保を設定した。 S弁護士・・Tから相談を受けた X弁護士・・・T氏が破産後、財産を管理することになった、破産管財人。 事実の概要T氏は、建設請負、不動産業を行っていた。 T氏は資金繰りが徐々に苦しくなり、4月ころ、1500万円をK氏から借りた。 9月末頃、T氏はその後ますます経営状況が悪化。知り合いのS弁護士に電話し、債務整理の方針などについて相談したい、と告げた。 2

        • 契約書の「いつ壊れてもおかしくない」「現状有姿」「一切免責」は、不具合わざと伝えず売った場合、無効とした判例

          登場人物売主 不動産を売った 訴えられた 買主 不動産を買った 訴えた 「本件物件」埼玉県坂戸市、139㎡の土地に建っている築42年の木造2階建て延床91.64㎡ 事実の概要買主は、不動産投資に興味があり、不動産を探していたところ、本件物件の情報を見つけ買うことにした。 内見不可とのことであったため、室内を見ずに本物件を350万円で購入。売買契約を締結した。契約には以下の条文があった。 買主は、購入2日後、本件物件を借りて住んでいる賃借人に挨拶に行ったところ「雨漏り

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        • 偽装請負だったため、委託先社員を「直接雇用している」と判断された判例

        • 「支払停止」の言葉の意味について言及した判例

        • 契約書の「いつ壊れてもおかしくない」「現状有姿」「一切免責」は、不具合わざと伝えず売った場合、無効とした判例

          「自社施工の場合のみ部品を売る」は独禁法違反とされた判例

          登場人物被告 Y エレベーターメーカーの、系列の保守会社 原告 X1 ビルを所有している会社 原告 X2 独立系の保守会社 (今回は訴えた側が共同原告=複数の方が一体となって訴えています) 事実の概要事件1 X1はビルを保有し、Y製エレベーター保守を独立系業者に委託していた。 エレベーターでトラブルが発生、部品交換が必要となり、X1はYに部品を発注。 Yは「取替工事とセットでなければ部品を販売しない。なお納期は3ヶ月先になる」と回答。 X1はトラブルを解消できず

          「自社施工の場合のみ部品を売る」は独禁法違反とされた判例

          「会社更生となった場合、契約解除」の条項は無効とした判例

          事実の概要X社は、597万の機械を、30分割毎月払いローンでD社に販売した。契約には以下記載があった。 D社は379万円支払ったところで、経営不振となり、自ら会社再生の申立を裁判所に行った。 裁判所はD社に一切の債務の弁済を禁止する保全処分を命じたうえで、更生手続の開始を決定した。この結果、X社がD社からすでに渡されていた約束手形も、支払拒絶され換金できなかった。 X社は契約に基づき契約を解除すると通知して、D社の管財人に機械の引き渡しを求めて訴えた。 関連条文裁判所

          「会社更生となった場合、契約解除」の条項は無効とした判例

          自社に関連する新聞記事を社内ポータルに掲載していたら著作権違反で約200万支払うことになった判例

          事実の概要T鉄道は、自社や路線に関連する新聞記事を切り抜き、社内ポータルに掲載していた。 C新聞は、自社の記事が違法に利用され、損害を被ったとして、4239万円の支払いを求めT鉄道を訴えた。 T鉄道の主張C新聞は事実を新聞記事にしているが、事実が著作物にあたらないことはもちろん、事実を加工したとしても、ただちに著作物になるものではない。 週刊誌などは事実の分析を行い評価を加えることが多いが、新聞記事はこれとは異なる。 裁判所の判断イントラへの新聞記事掲載は著作権侵害に

          自社に関連する新聞記事を社内ポータルに掲載していたら著作権違反で約200万支払うことになった判例

          仕様の説明が不足していたため、契約不適合を指摘できなかった判例

          登場人物原告 「X社」 図書館から書籍の電子化作業を受託した元請け 被告 「協力会社」 図書館の仕事をX社から再委託された協力会社 障がい者を雇用し自立支援を目的とした会社 事実の概要図書館は書籍のスキャン作業をX社に委託し、X社は協力会社に作業の一部を再委託した。 最低保証金額関連 契約の際、協力会社は代金の最低保証金額などを盛り込んだ「確認書」を作成しX社に送付していた。 しかしX社は「当社法務担当と調整しましたが、契約関連についてはグループ内での統一フォーマッ

          仕様の説明が不足していたため、契約不適合を指摘できなかった判例

          秘密保持の残存期限「5年」は妥当だと言及した判例

          事実の概要Yは浄水器の開発・製造をXに委託することとした。 YはXと「取引基本契約書」を締結。その後さらに「開発委託契約」を締結した。 YとXは案件をすすめ、発明も生じたが、報酬等について食い違いが生じ、契約は合意解除された。 Xは上記発明に対して単独で浄水器の特許を申請した。 Xは特許取得後、Y社の製品が自己の製品の特許を侵害している、また契約解約で研究開発費等が無駄になったなどとして、関連製品の製造差止と、損害賠償合計2億5千万をYに請求した。 Yの主張基本契約

          秘密保持の残存期限「5年」は妥当だと言及した判例

          契約書の取交中に業務を初めてしまった&業務内容があいまいだったため、業務代金を受領できなかった判例

          関係者原告 訴えた 建設業者A 被告 訴えられた 医療法人B 経緯医療法人Bは特別養護老人ホームの新設を計画。そのために必要な、社会福祉法人を設立しようと考え、建設および手続きに詳しい建設業者Aに相談を行った。 建設業者Aと医療法人Bは業務委託契約を締結。業務内容は「特別養護老人ホームの公募に関する事前打ち合わせ及び要望書の作成・提出」とし、医療法人Bは報酬682万5000円を支払った。 その後、建設業者Aは医療法人Bの行政への申請などに同席し、手続きをすすめた。

          契約書の取交中に業務を初めてしまった&業務内容があいまいだったため、業務代金を受領できなかった判例

          顧客への教育指導ができていなかったとされ、火災の7割の責任をとらされた事例

          関係者メーカー ゴミ処理場を建設した。(原告、訴えた) 衛生組合 ゴミ処理場の所有者で発注者。(この裁判には参加していない) 運営会社 衛生組合から業務委託され、ゴミ処理場の実運営をしている。また、火災後、衛生組合から、ゴミ処理場復旧に関する債権債務を譲渡された。(被告 訴えられた) 事実の概要メーカーは、衛生組合から、「プラズマトーチの火炎によりゴミを溶解するガス化焼却施設」(ごみ処理施設)の建設を請負い、完成させ、引き渡した。 引き渡しから2年半後、落雷により、4

          顧客への教育指導ができていなかったとされ、火災の7割の責任をとらされた事例

          一般工具で再現できる製品仕様は「公然と知られていない」といえず、営業秘密にならないとした判例

          対象商品「光通風雨戸」 施錠したままで通風できる。 グーグル画像検索「光通風雨戸」 事実の概要Tは、光通風雨戸を開発、販売していた。 代理店は、Tの販売代理店であり、広島地区において、光通風雨戸を販売していた。 Tで製造上のトラブルがあり光通風雨戸の納品が遅れた。 代理店は、Tに、光通風雨戸は広島地区では代理店で製造して販売してはどうかと提案した。 Tはこれに応じ、共同で光通雨戸の販売を行うこととして、仕様や図面、仕入先の情報を伝えた。また、それらを第三者に開示し

          一般工具で再現できる製品仕様は「公然と知られていない」といえず、営業秘密にならないとした判例

          一方が随時内容変更できるとした契約は、公序良俗違反で無効か?が判断された判例

          登場人物X社 中古車業者 原告 Y社 ネット企業 中古車情報ポータルサイトを運営 被告 事実の概要X社は、Y社の中古車ポータルを利用することとし、約款に同意、さらに契約書を締結し、利用を開始した。 数年後、Y社はソフトバンクに買収され、中古車情報ポータルサイトはYahoo自動車情報に統合されることなり、サイトは閉鎖されることとなった。 Y社はサイト閉鎖の2ヶ月前にXに「サービス終了のお知らせ」を送付したが、Xから抗議をうけた。その後YはXに解約合意書を送付したが、Xは

          一方が随時内容変更できるとした契約は、公序良俗違反で無効か?が判断された判例

          合意管轄の条文が狙いどおり機能しなかった判例

          事実の概要Xと連帯保証人は、Y社とショッピングクレジット契約を締結した。 連帯保証人は、Y社に保証の無効を訴えさいたま地方裁判所川越支部へ訴えを定期した。 Y社はショッピングクレジット契約に以下の合意管轄文言があることから、京都地方裁判所への裁判の移送を主張した。 裁判所の判断移送はしない 契約書の条項は付加的な合意管轄を定めたものに留まり、専属的合意管轄を定めたものとは認められない。 Y社の出頭の便宜の面からは、京都地方裁判所で審理するほうが望ましいということはで

          合意管轄の条文が狙いどおり機能しなかった判例

          契約書で著作権譲渡の対象に「ソースコード」を含まなかったため、他の会社に類似ソフトを作られてしまった判例

          登場人物「ベンダー」 原告、被告双方からそれぞれ頼まれ、ソフトウェアを開発した。 「Y社」 被告 訴えられた  「X社」 原告 訴えた 事実の概要Y社は、ガラケーの着メロ、待受画面や、似顔絵その他テーマをPCを使用して作成できる「携快電話」というソフトを販売することとし、ベンダーに開発を委託。委託契約には以下の文言があった。 「携快電話」の開発は終了した。ベンダーとY社は、追加で以下を含んだ「合意書」を取り交わした。 X社は、(Y社とは無関係に)ベンダーに、ガラケー

          契約書で著作権譲渡の対象に「ソースコード」を含まなかったため、他の会社に類似ソフトを作られてしまった判例

          秘密管理できていなかったため、退職者が持ち出した顧客情報が営業秘密でないと判断された判例

          登場人物原告 R社 まつげエクステ店 被告 A  R社で働いていた元従業員 事実の概要AはR社が運営するまつげエクステ店に入社し、しばらくして退職した。 AはR社から数百メートルの同業に転職した。 Aは転職後、R社で一緒に働いていた元同僚に「私の友達のカルテ,もらえたりしないかな?誰にもバレずに」と連絡。Aの中学の同級生の顧客カルテ画像を2件送ってもらった。 元同僚は送ったのち、店長に送ったことを報告。R社店長は激怒し、「不正競争防止法違反で刑事告訴を検討している」

          秘密管理できていなかったため、退職者が持ち出した顧客情報が営業秘密でないと判断された判例