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合意管轄の条文が狙いどおり機能しなかった判例
事実の概要
Xと連帯保証人は、Y社とショッピングクレジット契約を締結した。
連帯保証人は、Y社に保証の無効を訴えさいたま地方裁判所川越支部へ訴えを定期した。
Y社はショッピングクレジット契約に以下の合意管轄文言があることから、京都地方裁判所への裁判の移送を主張した。
本契約について訴訟の必要が生じた場合には、購入者・連帯保証人ら及び当社は、訴額にかかわらず、当社の本店または営業店を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所を管轄裁判所とする事に合意する
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裁判所の判断
移送はしない
契約書の条項は付加的な合意管轄を定めたものに留まり、専属的合意管轄を定めたものとは認められない。
Y社の出頭の便宜の面からは、京都地方裁判所で審理するほうが望ましいということはできる。
しかし、本事案では連帯保証人の尋問も不可欠であることから、連帯保証人の出頭の便宜からはさいたま地方裁判所川越支部で審議することが望ましいことは明らかである。
Y社が会社であることを考慮すると、本案件をさいたま地方裁判所川越支部で審理したとしても、京都地方裁判所で審理する場合と比較して、訴訟の著しい遅滞を招くとは認め難い。
追加説明
今回の契約書は、「管轄裁判所」としか書いていません。裁判所は、これは競合的合意管轄を定めたにすぎず、専属的合意管轄を定めたとは認められない、と判断したようです。
得られた教訓と感想
「専属的」の文字を書き忘れない
平成18年7月26日 東京高等裁判所 決定 平成18年(ラ)813号