未来出版研究会

我々は出版の未来について考える会です。書店主、編集者、印刷会社の営業から、民俗学者、経…

未来出版研究会

我々は出版の未来について考える会です。書店主、編集者、印刷会社の営業から、民俗学者、経営者まで出版業界の垣根を越えて人が集い、毎月活動しています。一緒に語り合い、読書の魅力などを発信してきませんか? コンタクト:g4.dr.tk@gmail.com

マガジン

  • 未来出版研究会が考える『これからの世の中』

  • 未来出版研究会が考える『書店連盟』

  • 未来出版研究会が考える『50年後の書店』

    書店数が最盛期から半減し、業界規模も年々縮小していく出版業界。書店はどのようなに変化していくのか。また、変化していくべきなのか。未来出版研究会で考えました。

  • 彼氏/彼女ができる本

  • ブックペアリング

記事一覧

「えこひいき」して何が悪い!!

「本はワインのような商品になっていくのかもしれない」 これは、日経ビジネスの記事タイトルである。 本がワインのようなものになっていくとするなら、質が高く、内容の…

このままでいいのか?

出版業界には、ビジョンが必要だと思う。 一冊一冊の本には、発刊される願いがあって、伝えたいメッセージがあって、編集者と著者、その他関係者の思いが込められて出版さ…

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流通改革の先にあるもの

「稼げる書店へ 本の流通改革」 7月25日、朝日新聞の記事見出しである。 書籍の売り上げ低迷、書店数の減少と、出版業界は斜陽だと叫ばれるようになって久しい。 そんな…

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魂の対話

読書とは、書き手との魂の対話である。『日本の美学』(実業之日本社)のなかで、執行草舟氏はそのように語る。知識を得るための読書、自らがもつ疑問に答えを求めるための…

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出版業界、起死回生の道

"傾き"が険しくなってきた出版業界に、起死回生の道はあるのか。 取次業の営業利益は赤字、書店は廃業に追い込まれ、出版社は自転車操業を止められない。おしなべて苦しい…

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田んぼ道に、“ロボット図書館”

私物の絵本や児童書を、子どもたちに貸し出すユニークな取り組みがある。 田んぼ道に、神出鬼没で現れる“ロボット図書館”だ。 地域おこしが第一義ではない。子どもたちに…

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「大衆化」と「本質回帰」のジレンマ

本が大衆化している。より多くの人が読めるよう、文字は少なく、言葉の意味はできるだけかみ砕き、要点を整理した本が書店に溢れている。 そして、売れている。読書に慣れ…

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良書を見極める“勘”

未来出版研究会事務局長のKです。 良書を見極める勘について、興味深い言葉を見つけました。  私は数えで六十四歳だが、七歳のときに四書-『大学』『中庸』『論語』『…

『クレヨンしんちゃん』に見る書店復興のヒント

未来出版研究会事務局長のKです。 アニメの話で恐縮ですが、先日ケーブルテレビのチャンネルを回していたら、クレヨンしんちゃん『本屋さんをお助けするゾ』というタイト…

2021年からの未来出版研究会のビジョン

2021年、未来出版研究会は以下のビジョンを掲げて活動していきます。 私たちの活動には、多くの同志が必要です。 出版業界の関係者の皆様、本を愛している人、街の書店を守…

本年もありがとうございました

皆さん、こんにちは。 未来出版研究会事務局長のKです。 今年も残すところあと僅かとなりました。 皆様にとって、本年はどんな一年だったでしょうか。 今年はなんと言っ…

フォーローのお願い

昨日は定例の会議でした。 さらなる進化の道が見えてきました。自然(じねん)の声は、私たちの社会に進化変容を求めていますが、保守的で既得権益を持つ人たちは、なかな…

雑誌について

コンビニの雑誌の返品率は8割に達していると聞いたことがあります。夕方になるとスーツを着たサラリーマンたちがコンビニで立ち読みしている姿をよく見かけます。コンビニ…

ブーム本に頼る出版界?

「鬼滅の刃」のブームで出版界は大騒ぎでしょう。 このブームによって、潤ったのは当出版社とその関係者、そして問屋さんです。 ブーム本は、大手書店を優先的に卸します…

本が6掛け?

木楽舎という出版社があります。 こちらの出版社さんが冊数にもよると思いますが、6掛けから6.5掛けで本を卸してくださいました。もちろん返本なしの直取り引きです。普通…

「本を売る読者」の視点

30数年勤務した出版社を辞めてから、そろそろ1年半。   いろいろな巡り合わせがあって、今では東京都北区にある自宅の一部を「しかのいえ」の名で開放し、スペースレンタ…

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「えこひいき」して何が悪い!!

「えこひいき」して何が悪い!!

「本はワインのような商品になっていくのかもしれない」

これは、日経ビジネスの記事タイトルである。

本がワインのようなものになっていくとするなら、質が高く、内容の濃い本を読者に届けるには「ソムリエ」と「ワインリスト」が必要だろう。

ここでいうソムリエは、いわゆる独立系書店、そしてワインリストは店主の頭のなかにある知識だ。
ソムリエは、各々のワインの特徴、本質をつかみ、相手に一対一で最適なワイン

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このままでいいのか?

このままでいいのか?

出版業界には、ビジョンが必要だと思う。
一冊一冊の本には、発刊される願いがあって、伝えたいメッセージがあって、編集者と著者、その他関係者の思いが込められて出版されている。しかし、本が売れない状況になって、出版社や書店の経営が危ぶまれてくると、どうしても売上や利益を考えて本づくりをするようになる。

貧すれば鈍する。貧乏になると、精神的な働きが衰え、智慧がでなくなることを意味するこの言葉が、業界の現

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流通改革の先にあるもの

流通改革の先にあるもの

「稼げる書店へ 本の流通改革」
7月25日、朝日新聞の記事見出しである。

書籍の売り上げ低迷、書店数の減少と、出版業界は斜陽だと叫ばれるようになって久しい。
そんななか、蔦屋書店などを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、紀伊國屋書店、日販の3社が「ブックセラーズ&カンパニー」なる合併会社を設立した。出版社と仕入れ価格を交渉し、これまでの蓄積データから「売れる本」を予測し、返品を

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魂の対話

魂の対話

読書とは、書き手との魂の対話である。『日本の美学』(実業之日本社)のなかで、執行草舟氏はそのように語る。知識を得るための読書、自らがもつ疑問に答えを求めるための読書、いずれも読書に値しないものと喝破する。

意味などわからなくてもよい。ただ、偉大な書き手との魂の対話をするのみ。目的は知識や教養を得ることではないから、辞書なんか引かないし、間違った意味に理解しても問題はない。むしろ、時間や空間を越え

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出版業界、起死回生の道

出版業界、起死回生の道

"傾き"が険しくなってきた出版業界に、起死回生の道はあるのか。

取次業の営業利益は赤字、書店は廃業に追い込まれ、出版社は自転車操業を止められない。おしなべて苦しい状況が続いている。業界にはびこる慣習を少しでも改善していこうと、新たな仕組みが登場したり、効率化を考えたり、あの手この手で現状を打開しようとしている。

しかし、方法論には限界があるのではないか。もっと抜本的な変革が必要ではないか。

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田んぼ道に、“ロボット図書館”

田んぼ道に、“ロボット図書館”

私物の絵本や児童書を、子どもたちに貸し出すユニークな取り組みがある。
田んぼ道に、神出鬼没で現れる“ロボット図書館”だ。
地域おこしが第一義ではない。子どもたちに本との縁をもってもらいたいと発案者は願う。
ガラクタ(廃品)を組み合わせて作られた無機質なロボットが、その夢を背負っている。

出版業界では、書店の減少に歯止めがきかない状況だ。
版元各社もこの問題に頭を抱えるが、書籍を愛する多くの人がこ

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「大衆化」と「本質回帰」のジレンマ

「大衆化」と「本質回帰」のジレンマ

本が大衆化している。より多くの人が読めるよう、文字は少なく、言葉の意味はできるだけかみ砕き、要点を整理した本が書店に溢れている。
そして、売れている。読書に慣れていない人は、簡単な本を読んで満足し、思考を深めていくことができない。しかし、そうした本が売れるから、出版社も量産していく。

いまこそ、本や読書への“本質回帰”が必要である。読めば読むほど、視野が広がり、視座が高まる本が必要である。しかし

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良書を見極める“勘”

良書を見極める“勘”

未来出版研究会事務局長のKです。

良書を見極める勘について、興味深い言葉を見つけました。

 私は数えで六十四歳だが、七歳のときに四書-『大学』『中庸』『論語』『孟子』の素読を始めてから、もう五十七年も本を読んでいるわけだ。
 そうすると思想的な書物、精神的な書物は、手に取って見ると、この本はいいとか、この本はだめだということを直覚する。
 読んでみてから、いい本だなと思うようでは、そもそも話に

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『クレヨンしんちゃん』に見る書店復興のヒント

『クレヨンしんちゃん』に見る書店復興のヒント

未来出版研究会事務局長のKです。

アニメの話で恐縮ですが、先日ケーブルテレビのチャンネルを回していたら、クレヨンしんちゃん『本屋さんをお助けするゾ』というタイトルが見え、観てみました。

舞台は埼玉県・春日部市。春日部駅前にある「シタヤ書店」が、コーヒーを飲みながら未購入の本を読めるブックカフェのサービスを始めたことで、商店街の本屋「かすかべ書店」にお客さんが来なくなってしまった、という設定でし

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2021年からの未来出版研究会のビジョン

2021年からの未来出版研究会のビジョン

2021年、未来出版研究会は以下のビジョンを掲げて活動していきます。
私たちの活動には、多くの同志が必要です。
出版業界の関係者の皆様、本を愛している人、街の書店を守りたい方、どなたでもご参加いただける開かれた会をめざしておりますので、ぜひお力添えいただければ幸いです。

ご連絡お待ちしております。

未来出版研究会 事務局長 K

▼未来出版研究会が掲げるビジョン(SDGsとともに)

本が人を

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本年もありがとうございました

本年もありがとうございました

皆さん、こんにちは。
未来出版研究会事務局長のKです。
今年も残すところあと僅かとなりました。
皆様にとって、本年はどんな一年だったでしょうか。

今年はなんと言っても、新型コロナウイルスに大きな影響を受けた一年でした。
未曾有のウイルスに、国中が変化を強いられたのではないでしょうか。

出版業界を見れば、巣ごもり需要でわずかながら売り上げが伸びたというニュースも出ていましたが、それはコミックや児

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フォーローのお願い

フォーローのお願い

昨日は定例の会議でした。

さらなる進化の道が見えてきました。自然(じねん)の声は、私たちの社会に進化変容を求めていますが、保守的で既得権益を持つ人たちは、なかなかその変化を認めようとしません。変わるにはパワーが入りますから、多くの方が「おかしい」と思いながらもじわじわと自身も保守の色に染まってしまう傾向が近頃流れとしているのではないかと思います。

そのような空気の中、出版界の「おかしい」は時代

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雑誌について

雑誌について

コンビニの雑誌の返品率は8割に達していると聞いたことがあります。夕方になるとスーツを着たサラリーマンたちがコンビニで立ち読みしている姿をよく見かけます。コンビニの雑誌の陳列棚は窓側に置かれていますが、それはコンビニが始まった当初から、外から眺めた時、お客さんがたくさん入っているように見せるためです。その目的もいまや機能していないし、このコロナ渦になか感染防止を理由に立ち読みを禁じているコンビニがほ

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ブーム本に頼る出版界?

ブーム本に頼る出版界?

「鬼滅の刃」のブームで出版界は大騒ぎでしょう。

このブームによって、潤ったのは当出版社とその関係者、そして問屋さんです。

ブーム本は、大手書店を優先的に卸しますので中小書店には配本されません。100冊予約を一生懸命取ってとしてもです。中小書店に入荷するのは、決まってブームが終わりかけてからなのです。これでは一般書店が生き残ることは出来ないのは当然の仕組みと言っていいでしょう。

「読書のすすめ

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本が6掛け?

本が6掛け?

木楽舎という出版社があります。

こちらの出版社さんが冊数にもよると思いますが、6掛けから6.5掛けで本を卸してくださいました。もちろん返本なしの直取り引きです。普通の掛け率から言えば、約倍の利益になります。これからの本屋さんのやり方として、薄利多売の発想からイノベーションし、経営していくことが何よりの方法であることは明らかです。

北海道にHSという出版社さんがあります。

こちらの出版社さんも

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「本を売る読者」の視点

30数年勤務した出版社を辞めてから、そろそろ1年半。
 
いろいろな巡り合わせがあって、今では東京都北区にある自宅の一部を「しかのいえ」の名で開放し、スペースレンタルや、様々なイベント、ストレッチサロン、色えんぴつ画教室、リコーダー教室、出版関係のサポート業務などをしている。

この7月からは、自宅の一室を別途新たに開放して、本とお茶を売る小さなスペースも設けた。 
 
住み開き本屋「しかのいえ本

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