アドラー心理学で思考を変え、ストレス要因を除去、ストレス反応を低減『フワッと、ふらっと、コーピングの心理学』
ストレス要因が発生した時に、ストレス要因を除去したり、ストレス反応を低減させたりする行動のことをコーピングといいます。
「なぜ、このようなことになってしまったのか?」を冷静に分析し、
それが苦痛を生じさせているのであれば、繰り返し同じことが生じないようにすることがコーピングです。
コーピングの具体例としては、以下のようなものがあります。
たとえば、部下が自分の言う事を聞かない場合に、
「私は上司だ。部下は上司に従順であるべきでしょう。
私は部下よりも、経験があるし、知識もある。
経験も知識もないアイツ(部下)が、偉そうに私の言うことを聞かないなんて言語道断だ。
ああ!腹立つ!イライラする!ストレスが溜まる!」
と思ったとしましょう。
しかし、相手のあることであるから、そう思うようにはいきません。
思うような結果にならないことが怒りを増し、ストレス要因を作り出します。
ということは、考え方や認識を変えることによって、このようなストレス要因を除去できる場合があります。
例えば、アドラー心理学では、他人の承認を求めすぎることをやめ、自分の人生を主体的に生きることが幸福につながると主張しています。
(アドラー心理学の概要については以下をご参照ください)
他人の承認を求めすぎる心理の裏には、誰にも嫌われたくない、全ての人に承認してもらいたいという思いがあることでしょう。
しかし、全ての人の期待に応えることは不可能であるので、その思いは必ずとん挫することになります。
また全ての人の承認を求めることは、裏返せば全ての人に忠誠を誓うことでもあります。
そこに自由はなく、自分を苦しめる結果にならざるをえません。
部下が言うことを聞かないことで、ストレスを感じているということは、言い換えると自分が部下に承認されていないことにストレスを感じているといえることでしょう。
とすると、部下からの承認を求めすぎることをやめれば、ストレスも消えるということになります。
またアドラー心理学には「課題の分離」という概念があります。
これは、自分の課題(責任)と他人の課題を区別し、他人の課題に干渉しないことを意味します。
なお、課題が誰のものであるのかの見分け方は、
「課題に対する選択をした結果、その結末を最終的に引き受けるのは誰か?」
を考えます。
上司の言うことを聞かずに、勝手な行動を部下がして、会社や顧客などに損害を与えた場合、その責任を最終的に追うのは部下ですから、
上司の言うことを聞くか聞かないかは、部下の課題であって、上司の課題ではないということになります。
他人は援助はできても、決断するか否かは本人しだいで、本人の意に反しているのに、変わることを他人が強要しても、反発を招くだけです。
ですので、自分の課題に集中し、他人の課題はその人自身に任せることが、健全な人間関係を築く鍵となるとアドラー心理学では考えます。
例えば、このようにアドラー心理学などを参考に、
考え方や認識を変え上で、
次に「なぜ、このようなことになってしまったのか?」を冷静に分析します。
その分析によって、コミュニケーション不足だったということがわかれば、もう少し部下とコミュニケーションを取るようにするとか、
あるいはコミュニケーションは取ってはいたが、そのやり方がまずかったとわかれば、
コミュニケーションスキルを磨くというような対策を取ります。
(コミュニケーションスキルについては以下をご参照ください)
しかし、例えば、通勤時間が長くかかるとか、
満員電車で通勤しなければならない等の、
どうしても除去できないストレス要因もあります。
それらのストレス要因に対しては、これを見る角度を変えるということも一種のコーピングとなります。
たとえば、
「家ではゆっくりと本を読んだり、英会話のCDを聴くということができないが、長時間通勤電車の中ならそれができる。この時間のおかげで教養を身につけることができる。」
「満員電車の中で何もしないのはもったいないから、落ち着いて呼吸法を行って「リラックス」しよう。そうすると電車の中はリラクゼーションの場となる。」
等といったような思考の転換をします。
(具体的なリラクゼーション法については以下をご参照ください)
このように、ストレス要因を見る角度を変えると、
電車通勤時の苦痛の時間が、
教養を身につけたり、リラクゼーションするための、
貴重な時間に変わることになります。
参考文献)『嫌われる勇気』Kindle版
参考文献)『嫌われる勇気』書籍版
参考文献)『幸せになる勇気』書籍版