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人のこころはファジー。それがゆえに役に立つ。それがゆえに苦悩が生じる。それがゆえにドラマとなる『フワっと、ふらっと、ユング心理学Ⅲ』


1. 寸分の狂いもないスズメバチのイメージ

 ユング心理学においては、イメージについても細かく検討しています。

 例えば虫もイメージ

(目の前にない、対象を思い描いたもの)

を持つといわれています。

 そして、虫のイメージは、本能に忠実かつ現実に寸分狂わず対応しています。

(逆にいうと、主体性や自由選択の余地はないということにもなります)

 例えば、スズメバチの天敵は熊です。

 熊に対抗しなければ生きていけません。

 なので本能的に熊を攻撃する習性があって、

熊は黒い色で動くものなので、

「黒い色で動くものがあれば針で攻撃する。」

という本能的イメージを持っています。

 そして、

実際動く黒い色のものに遭遇するという現実に出会うと、

その現実と直結しているイメージに基づいて、

スズメバチは必ず攻撃をします。

 なので、人間とスズメバチが遭遇した場合、

黒髪に刺激されて頭を狙って攻撃してくるわけです。

人間の黒髪の中に入ってしまったスズメバチが、

刺さないということはありえません。

 このように、スズメバチのイメージは、本能に忠実、かつ現実と直結的対応をしています。

 この一連の流れはあたかも精密機械かのようです。

 寸分の狂いもないということです。

2. ファジーな人間のイメージ

 ところが、人間の場合はまず、

本能との関連が、薄いイメージがあります。

(生まれ持った本能的イメージもあります。そのような生得的なイメージを「元型」といいます)

(元型について以下をご参照ください)

 また、人間の持つイメージは、現実にも全て対応しているわけではありません。

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