どーる⊿妄ツイ

アルノに脳みそ壊された書き手 小説チックな書き方が主です。

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マガジン

  • 「君と出会い、青を駆ける」

    長編「君と出会い、青を駆ける」のまとめになります! 毎話ここにまとめていきますので、スキ!のほうポチッとしてください!

  •  お人形箱(中編まとめ)

    作者であるどーる自身がお気に入りの作品たちを厳選してマガジンに突っ込んでみました! ハズレは......ないって言いたい......! ※「泡沫のような奇跡を」「ヒロイン」「いつかまたこの星の下、君と巡り会えたなら」はそれぞれマガジンがあるので省いてます!

  • シリーズ中編「俺の義理の姉がとんでもなく可愛い」

    アルノがヒロインの義理姉シリーズのまとめです!

  • 僕が拾った、とんでもなくかわいいケルベロス

    中編「僕が拾ったケルベロス」シリーズのまとめです! ゆるーく、まったりお楽しみください!

  • わたし、人には恵まれるの!

    長編「わたし、人には恵まれるの!」のマガジンになります! 毎話ここにまとめていきます!

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泡沫のような奇跡を 《前》

深い、水底まで沈んでいくような感覚を今でも覚えてる。 光も届かない。 音も届かない。 何もない。 誰もいない。 拭えないその感覚を抱いて、私は今日も目を覚ます。 上体を起こして、腕の力で椅子に座る。 それが、私の歩き方。 「朝ごはんまだ?」 リビングに顔を出すと、バターのいい香り。 「あら、今日の授業は……」 「もう夏休み!だからちょっと散歩でもしようかなって」 腕で車輪を回して食卓に着く。 「ついて行かなくて大丈夫?」 テーブルに置かれる、スクラン

    • 「幸せになって」──なんてね

      「それでは、本日の定例会議を始めます」 夜の七時。 高校の時から続く習慣。 「お願いします」 「よろしくお願いします」 お互いのアルバイトがない日を選んで。 ご飯も食べて、お風呂にも入って。 時間はノリで決めて、ビデオ通話でお互いの近況を話す。 「なんてね。一回こういうのもやってみたかったんだ~」 「堅いのは似合わないよね」 僕と彼女の、定例会議。 「もうすぐ夏休みだね」 「大学の夏休みって長いよね」 「課題もないし、遊び放題だ」 大学一年、初めての夏休

      • 君と出会い、青を駆ける《第5話》

        第5話 はるかぜ 花壇に植えられた花々がかすかにその香りを風に乗せて、水を浴びた花びらがきらきらと輝く。 春らしく暖かな日差しはを浴びて、それらはより一層鮮やかに咲き誇る。 「矢巾くん……だよね?」 「うす……」 委員会ごとに分かれて最初のオリエンテーション。 園芸委員になった私と矢巾くんは、昇降口付近にある花壇の前に集められていた。 「えっと、一年生の二人であってる?」 「はい!」 「じゃあ、二人にはマリーゴールドの種植えしてもらおうかな。あとで二年生がもう一

        • すきだよ しぬほど

          「はぁ……」 休日の昼下がり。 行きつけのカフェ。 真冬のカフェには暖房がついており、一人暮らしの貧乏大学生には数少ない電気を節約しながらも快適に過ごせる数少ない場所。 お客さんは読書をしていたり、友達を談笑していたりと様々。 私はというと、期末のレポート課題がなかなか終わらず頭を悩ませていた。 「あの、すみません……」 「はい、お伺いします」 通りかかった、いつも見かける同い年くらいの男性アルバイトさんを呼び止め、メニューを開く。 「えっと…..」 やって

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        泡沫のような奇跡を 《前》

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        • 「君と出会い、青を駆ける」
          5本
        •  お人形箱(中編まとめ)
          13本
        • シリーズ中編「俺の義理の姉がとんでもなく可愛い」
          15本
        • 僕が拾った、とんでもなくかわいいケルベロス
          3本
        • わたし、人には恵まれるの!
          3本
        • 今日も夜は、私たちを置いていく
          2本

        記事

          君と出会い、青を駆ける《第4話》

          第4話 ベタ踏み、足踏み 入学から一週間がたち、ぼちぼち授業にも部活にも慣れてきて、クラスでもそれなりに話せる人も増えてきた。 そんなある日。 「おーし。それじゃあ、今日のホームルームは委員会決めるぞ~」 六限目のホームルーム。 担任の先生が黒板に書きだしていく委員会。 「所属しないはなしだからな~。全員、どれか一つは名前書くこと。それと、男女の縛りとかはないから、適当に決めちゃってくれ」 それだけ指示すると、先生は教室の後ろに椅子を一つ持っていくと、腰を下ろし

          君と出会い、青を駆ける《第4話》

          君と出会い、青を駆ける 《第3話》

          第3話 正鵠を射られ 夜の弓道場。 真っ白な明かりと、夜空に瞬く星々。 たった一人、弓を押し開いた矢巾が長い間を取って矢を放つと、糸を引いたようにまっすぐ、闇を切り裂くように鋭く。 乾いた音とともに、それは的のど真ん中を射抜いた。 「ふぅ……。まあまあか」 的に刺さった矢は六本。 安土に刺さった矢は無し。 矢巾は、矢取りに行くまでの六射すべてを的中させているのだということがわかる。 「すげぇ……」 俺の口からその言葉が思わず零れ落ち、その言葉は静寂が包んで

          君と出会い、青を駆ける 《第3話》

          君と出会い、青を駆ける《第2話》

          第2話 くやしい 「勝負するんだよ!弓道で!」 「…….え!?」 「何言ってるんすか。負けるわけないんすけど」 「やってみないとわかんないじゃん。じゃあ、掛川くん。弽を貸し出しのやつから選んできて」 井上先輩が指をさした先。 道場の壁沿いに、乾燥させるために並べられたグローブみたいなやつ。 どうやらあれが弽というらしい。 俺は自分の手のサイズに合いそうなやつを見繕って、井上先輩の所に戻った。 「選んできました」 「うん、いいね。弓は……これかな」 ならんでいた

          君と出会い、青を駆ける《第2話》

          君と出会い、青を駆ける 《第1話》

          第1話 君と出会い 舞い落ちた一片のサクラが、川に流れるカーペットに加わり、街を彩る。 住宅街を歩く少年少女たちは、それぞれ制服こそ違えど、みなその制服は真新しく、期待と不安が入り混じった感情を抱きながら新たな学び舎へと歩みを進めている。 「おはよ~」 「おはよ!」 期待と不安。 真新し制服と言えば俺たちも例外ではない。 向かいの家から出てきた、眠たそうに小さくあくびをした彩と朝の挨拶を交わし、並んで歩く。 「朝から元気だね、○○」 「だって、高校生活始まるんだ

          君と出会い、青を駆ける 《第1話》

          「あのね 」

          「あのね。」 そこまで。 そこまでしか、出せなかった。 私はずっと、自分の気持ちを言葉にして伝えることが苦手で。 喉元まで出かけた言葉を、飲み込んだ。 「アルノ、東京かぁ」 「うん……」 「俺も、こっちから応援してるから」 「ありがと……」 「アルノ、なんか……暗い?」 顔を覗き込まれて、夕焼けで染まった頬がばれそうになる。 私は慌てて、マフラーに顔を隠した。 「ううん、大丈夫」 「そっか。まあ、なにかあったら言ってよ。話聞くくらいしかできないからさ」

          ある日俺は、空から降ってきたどんくさ天使様に出会った

          ここは、人間界の遥か上。 雲を突き抜けた先の先、天使が住まう天空都市。 そのど真ん中にそびえたつお城の、大広間。 「アルノ、こっちへいらっしゃい」 「はい、お母さま」 アルノと呼ばれた、肩までの髪の毛の少女。 彼女だけに限らず、お母さまと呼ばれた女性にも、周りの侍女たちにも天使の羽らしきものは見えない。 「あなたももう立派な天使です。そろそろ、人間界も見ておくべきなのではと思うのです」 「人間界ですか……!」 「そうです。そういえばあなたは元々、人間界に興味が興

          ある日俺は、空から降ってきたどんくさ天使様に出会った

          爬虫類が好きな義理の姉は、人肌が恋しい

          三年生になって、アルノと同じクラスになれて。 夏の大会も近いし、進路も決めないといけない。 そんな中、俺の頭を悩ませる名刺が一枚、机の上。 「はぁ……」 『君を、我々のチームに迎えたいと思っていてね』 三日前、突然うちを訪れて、名刺と学校のパンフレットを置いて行った全国でも屈指の強豪大学の監督。 自分の実力を認めてもらえたような気がした。 自分の努力を認めてもらえたような気がした。 純粋に嬉しかったし、ワクワクもした。 だけど、俺の進路希望調査票は未だに白紙

          爬虫類が好きな義理の姉は、人肌が恋しい

          はじめてのキスは、甘酸っぱいアップルティーの味がした

          冬の空は、鉛色の雲に覆われ、街全体を薄暗い影に包んでいた。 それでも、俺の足取りは軽い。 なぜなら、今日は陸上部の練習がないからだ。 陸上部の練習は土日は不定期で平日は水曜日を除いた週四日。 先週は土日両方あったし、今日は体感久々のオフ。 今日はゆっくり溜まっていたアニメでも消化しよう。 中学時代は、厳しい練習に明け暮れる日々では考えられない位の充実度。 改札口を通過し、ホームへと続く階段を駆け上がる。 電車が到着するまでのわずかな時間、俺はホームの端で立ち、

          はじめてのキスは、甘酸っぱいアップルティーの味がした

          いつかはわたしもハッピーエンド!

          チャイムが校内に響いて、部活に行く者たちは勢いよく教室から飛び出していく放課後。 にぎやかになる教室の中、僕は一人優雅に帰り支度をしていた。 帰り支度とは言っても、僕にはこの後行かなければならないところがある。 そう、図書館だ。 学校の図書館はいいものだ。 どれだけ本を借りてもタダ。 蔵書も豊富で、人も少ない。 利用者が全然いないから、借りたい本が借りられていたなんてことも一年半通って一度たりとも無い。 なぜ誰も図書館を使わないのか不思議なほどだ。 「よし…

          いつかはわたしもハッピーエンド!

          僕がひろったケルベロスと、お休みの過ごし方

          「あなたたちにはアルバイトをしてもらいます」 「アルバイト?」 「働いてもらうってこと」 「この間も言ってましたね」 「うちの店、人いないし、店長も適当な人だから多分行けると思うんだよね」 ハンバーガーチェーン店は、人気な割に従業員数が少なく、常にアルバイトの募集が出ている。 それに、それぞれがバラバラのところでやっているよりも俺が監視できる場所でアルバイトをしてもらった方がこちらとしてもありがたい。 「はい!質問!」 「はい、テレサ」 「ゴシュジンはどんなアルバ

          僕がひろったケルベロスと、お休みの過ごし方

          僕がひろったケルベロスと、振り回されっぱなしのショッピング

          「つ、疲れた……」 「荷物持ちご苦労様、ゴシュジン!」 「ご主人はやめろ……」 買い物が終わり、三人の着替えやら寝具やらを買いそろえ、ついでにスーパーにもよって食材も買いそろえて帰ってきた。 そして、帰るなり俺は荷物を置いてベッドに倒れこんだ。 あまりにも疲れた。 こいつら、こんなにフリーダムだとは思わなかった。 「お買い物、たのしかったね~!」 「たのしかった~!……ゴシュジンはなんでそんなに疲れてるの?」 「ふたりのせいじゃないかな……?」 「アルノだけだ、

          僕がひろったケルベロスと、振り回されっぱなしのショッピング

          僕が拾ったケルベロスは、翌朝目が覚めると3人の美少女になっていました

          暑い、夏の夜。 湿った風と、ぼんやりとした公園の街灯。 「犬……じゃ、ない……!?」 闇に紛れるほど真っ黒で良質な毛並み。 柴犬くらいの大きさ。 それが入った段ボールには【ひろってください】の文字。 ある一つの特徴さえ抜けばどう考えても犬なのに、主張の激しいその見た目がその生物が犬であると決定づけるのを阻止してくる。 そう、俺の目の前の生き物には、首が三つあったのだ。 ・・・ 「ありがとうございました~」 時刻は夜の十時。 ハンバーガーチェーン店で働く俺

          僕が拾ったケルベロスは、翌朝目が覚めると3人の美少女になっていました