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【詩】 Hello Kitty 

『 Hello Kitty 』
赤黄緑紫


〜!❢。・〜〜〜〜〜

家事をすることができない

育児をすることができない

子供達を可愛いと思えない

誰にも彼にも会いたくない

お金を稼ぐこともできない

こんな役立たずの自分など

居なくなってしまえばいいと

そう思っていた

〜!❢。・〜〜〜〜〜

鬱病になって

何も出来なくなってしまった、わたし

こんな役立たずの自分が

この世に居ることが

居た堪れなくなって

夜中になると遺書をかいた

〜!❢。・〜〜〜〜〜

命を終わらせたいと云う、わたしに

“ダニエル”が

きょとんとして尋ねた

「キミの一番好きなものは?」

わたしは少し考えて

そんなに迷わずこう答えた

「Hello Kitty」

〜!❢。・〜〜〜〜〜 

ポーチやカバンの裏地に散らばり

ケロッピーやマイメロディと

来る日も来る日も豪遊しては

日当たりの良いベッドのうえで

大の字になって

お昼寝しているだけの、この子を

どうして君は好きなのよ、と

この子がキミに

いったいなにをしてくれるの、と

“ダニエル”は不思議そうにつづけた

キミは勘違いをしている、だって

ーキミこそが、Hello Kittyなのにー

〜!❢。・〜〜〜〜〜

キミが家事をしなくて

この家がゴミ屋敷になっても

そこに寝転がったKittyちゃんを見て

ぼくや子供たちが安心をする

何もしてくれないHello Kittyを

君が変らずに好きなのと同じように

ぼくらもそこに寝ているキミを

キライになったりなんてしない、よ

存在することを辞めないキミの存在に 

ただ、癒やされていくのだから

〜!❢。・〜〜〜〜〜

さあ、大の字になって

心置きなく

お昼寝をしてくれ

何もしないで豪遊してくれ

だって、

Kittyちゃんの

Hello Kittyの存在しない世界で

生きていくだなんて、そんなことを

キミは

平気な顔して

耐えられるのかい?

こんなにも残酷なことを今夜

ぼく達にキミは

ぷれぜんとして

くれると

いうのかい


2025
akakimidorimurasaki



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