![マガジンのカバー画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12181372/dea22d1698953d1e6717e3a2e42a79bc.jpg?width=800)
旅の途中で出会ったかけがえのないものたち。
いつもの見慣れた場所に留まっているとしても、そこではないどこかを歩いているとしても、いつだって旅。終わることのない旅の途中。
- 運営しているクリエイター
#いま私にできること
「おばあさんに幸あれ」と叫ぶ
時々車で通る道の途中に、気になる家がある。
実際には、気になるのはそこに住むおばあさんのこと。
ある日、道路沿いにあるその家の前を通るとき、縁側の椅子に座り、外を眺めているおばあさんに気づいた。
狭い直線道路だから、少し手前から通過するまでの間、そこにおばあさんがいること、外を眺めていること、その縁側の奥にはベッドがあることーまで見えるし、その目がなんだかうつろなことにも気づく。
おばあさ
明日を思い煩うことなかれ
生前、父親は庭にエサ台を作って、やってくる野鳥にエサをあげていた。
初めは何か残り物とか、鳥が食べそうな物を置いたたりしていたが、いつからかパン屋さんでパンの耳を買ってきて、ハサミで細かくちぎってあげていた。
父が亡くなり、やがてエサ台は朽ち果て、忘れられた。
それなのに、いつからか私も、庭にエサを撒くようになった。
やってくる野鳥は何種類かいるけど、年間を通して毎日食べにくるのはスズメ。
特攻隊の生き残りだったじいちゃんが許せなかったものと繋がれた命を思う年末
じいちゃんは貧しい家で育った。
貧しいうえに男女3人ずつの6人兄弟だから、さらに貧しかった。
頭が良くて神童と言われたらしい。
昔、見せてくれた通信簿は甲乙丙の「甲」ばかりだった。今で言えばすべてが最高点だ。
だから、学校の先生の勧めもあったし、進学したかったのだけれど、家族の為にあきらめて働きに出た。
そのころ戦争は始まっていた。
働き出して何年かして、じいちゃんはある時大きな決心を