水晶が家に帰った不思議な話 たぶん
セドナに行った。
石屋さんがたくさんあった。パワーストーンだ。
セドナに行ったら絶対にパワーストーンを買おうと決めていたから、いろいろなお店を見て回って、いちばん感じがよく、しかも品ぞろえも豊富なお店に決めた。
そこには、オーラ診断装置が置いてあった。
パソコンの前に座って、手のひらを装置の上に載せる。
カメラと手のひらを載せた装置でオーラを感じ取り、オーラの色や波動やなんやかや性格分析をするらしい。
興味深々なものの、胡散臭い気もする。
しっくりくるパワーストーンはないものかと探しながら、うろうろしていると、親子連れがやって来た。5歳くらいと10歳くらいの男の子と母親。
母親は、まるで駄菓子屋に買い物にきて、好きなもの選んでいいよ的な雰囲気で、自然と子供をオーラ診断装置に座らせた。
その、あまりにものフツーさに私は半ば驚き、健康診断風にオーラ診断結果を聞いている母親を見て更に驚きつつ、前のめりに、あからさまに覗き込んで見ていた。
オーラらしき色が表示された写真やかなりの枚数の分析結果の紙がプリンターから出力されている。
むむむ?
前のめりに観察していると、その診断結果によって子供に合う石を聞いてるようだ。
これは、経験しない訳にはいかない。
私もやります!
料金は前払い。すぐに、装置の前に座り手のひらを載せた。
パソコン画面にはオーラが表示され、印刷された用紙には日本語で分析内容が記載されていた。
自分の中心にあるオーラの色、それを元にどんな石を持つと良いかを教えてもらう。
その時教わった、自分に合った石と、水晶ひとつを買った。
レイさんはモノの気持ちが分かる。
そのレイさんは買ってきた石を見たとき、私にこう言った。
「この水晶は、持ち主はみもざさんじゃないと言ってます。」
「え?」
「持ち主は・・・金髪の女性のようです。今はみもざさんが持ち主だということをこの水晶に教えてあげてください。」
もちろん、レイさんには、セドナで買ってきた石だとは言っていない。
言われた通り、水晶に「持ち主はわたし」と教えてあげた。
だけど、水晶はホームシックに罹っていたのだ。
たぶん。
レイさんの言葉のあと、不思議なことがあった。
私は、セドナで買ってきた石を枕の下に入れていた。
水晶を枕の左側、もう1つ別の石を右側に。
ある夜、寝ていると、誰かが私の枕をひっぱり上げようとした。
寝ている頭の上側から、枕の端をひっぱり上げているのだ。
何度か枕が引っ張られて、目が覚めた。
ん?
夢?
でも確かに枕を誰かが持ち上げたよね?
しかし、私はそこで、また眠りについてしまった。
あれからー
水晶が行方不明だ。
大掃除しても出てこない。
あの、枕をひっぱり上げたのは水晶で、自分で出て行ったのだと思った。
または、誰かが、水晶を取り戻しに来たのだと思った。
「水晶が行方不明なんです。」
レイさんに聞くと、答えはこうだった。
「どこへ行っているのか、また戻ってくるのかさえ、教えないって言ってます。依存してしまうからだと言ってます。」
「依存・・・」
何だそれ?!
たま~に水晶を思い出すけど、いいよ、帰ってこなくてもと伝えたい。
行きたいところへ行って、幸せなら、いいじゃないか。
きっと、日本よりもセドナが好きなんだよね。
でもさ、今はみもざ
何にも依存せずに、自分軸で生きてるよ。