アイデアノート7 インディゴ(コスモブルー)組織 ティール組織の二つ先の組織形態解説
インディゴ(コスモブルー)組織
究明型(インディゴ)パラダイムとなった時、人はイニシアチブ(知の先駆者)としてまずは帰納法で物事を究明したいという欲求を持つようになる。
さらには、物事を数式や数列のように捉え、その関数の姿を露わにし、極限値を算出するようにできないか?と考えるようになる。
そして、発達段階も数列であるならば、過去の知見からの変化を算出することができると考える。
こうすることで、極限を考える思考法が身につくようになる。これが帰納欲求である。ティール型のパラダイムでは、極限を考えるとき答えのない哲学の壺にはまっていたが、このパラダイムでは世界から世界を見ることができるので、答えのない所から答えを探さずに済むようになるのだ。
これを世界的思考と呼ぶ。
世界的思考とは「自分や、自集団とは一切関係なく世界の方から世界について考えること」である。これが、ティール組織のブレイクスルー「全体性」を発展させたものになる。
この時のパラダイムで動く組織は、存在目的が帰納法を用いて証明したい命題となる。しかし、その命題は数学の命題のように証明した時点で、終わるわけではない。次から次へと数学でも証明する難問が出てくるように、命題も変化を遂げる。
しかし、これに似た組織は存在するのだろうか?存在するとして、どのようなものだろうか?これさえも、ギフテッドがヒントをくれる。このパラダイムに最も近く、非常に分かりやすい例がある。それがノーベル賞だ。
ノーベル賞
ノーベル賞は研究者の一番を決めるグランプリであり、承認欲求に基づいているものに見える。実際に金額でインセンティブを与え、人類に大きく貢献した科学技術を生み出す側面もあるだろう。しかし、真の命題は「科学技術の発展が人類に貢献することを帰納法で証明すること」にある。
人類に貢献した研究に賞が与えられるのは、それが証明したい命題であるからだろう。そして、ノーベル賞を受賞した研究は後の時代のイニシアチブとなっている。だからこそ、生きがいイノベーションについて世界を変えるような研究ができればノーベル賞が取れるはずである。
研究者でない筆者や、具体的な研究に基づかない本文が受賞とはほとんど関わりのない話でもあるが、せめてその生きがいイノベーションのイニシアチブとなることが、本書の証明したい命題となる。
命題は「生きがいイノベーションが起きることで、組織の発達段階が一気に上がり、人類に貢献できること」を証明することとなるのだ。そして生きがいイノベーションに関する研究がノーベル賞を取った時、本書の命題は帰納法によって証明される。
コスモブルー組織の作り方(命題となる存在目的)
コスモブルー組織を作るには、シンフォニーブルー組織の存在目的に手を加える必要がある。例えば、シンフォニーブルー組織の存在目的が「生きがいイノベーションを起こして、人々に生きがいを与えること」であるならば、コスモブルー組織の命題は「生きがいイノベーションが起きると、人々の生きがいが飛躍的に増える」となる。「生きがいこそが太陽であり、コペルニクス的回転が起こりつつあること」と捉えることもできる。
存在目的が「持続的な地球環境を生み出すこと」であるならば、命題は「地球環境を大切にすることで、将来世代の生きがいに貢献すること」である。そして、この命題も生きがいイノベーションとの相性は非常によい。それこそ、ノーベル賞の命題が「科学技術の発展が人々の生きがいに貢献すること」と捉えることもできる。
存在目的を命題にすることがコスモブルー組織のわかりやすいブレイクスルーだと言えるだろう。
組織の仕組みはどうなるのか
しかし、問題は命題の方にはなく、組織の形態にあるだろう。命題を証明しようとするとき、イニシアチブ組織はどのように変わるのだろうか?イニシアチブ組織の内部構造はどうなるのだろうか?
まず、考えられることは、ターコイズ組織において見られたイニシアチブ組織内の存在目的も命題に変わることである。二重構造が引き継がれ、イニシアチブ組織の内部構造も同じように変化する。このとき、組織内部には各命題に合わせてそれぞれ証明に取り組むイニシアチブが集まる。
イニシアチブは相互に命題を通じて議論する、命題に合わせて自主経営を行う。これは、大学の研究発表セミナーや学会に感覚は近い。ある大きな命題を中心に、研究室ごとの命題があり、教授も博士も互いに研究のイニシアチブとなる。この方式が大学のセミナーという一時的な形ではなく、持続的になることでコスモブルー組織は形成されるといえる。
コスモブルー組織の圧倒的な強み
コスモブルー組織の以前の組織とは比べ物にならない強さは、一部の天才への依存から脱却にある。シンフォニーブルー組織であれば、発展系(一人のイニシアチブへの依存から脱却)であってもイニシアチブ組織の中のイニシアチブへの依存体質が解決されることはなかった。
しかし、ノーベル賞であれば、その年の賞を取った研究が存在しなかったとしても、別の研究がこれを先導することができるように、代用が非常に良く効く。
更には、ティール型で失いかけていたリーダーに値する組織の顔を設けることもできる。しかし、リーダーと違いその組織の顔が無くなっても、組織自体が弱ることはない。
このため、組織の顔を設けるかさえも自由に決めることができる。
常にイニシアチブとして活動しながら、命題を一つ一つのジョブに還元し続けることができる。常にイニシアチブとして働くことも、イニシアチブの割合を抑えることさえも自由になる。
能力に関係なく、イニシアチブとしてできることに取り組むことができる。組織の命題は変化を眺めることで数学的帰納法のように証明する(数学的帰納法自体は演繹法だが)。変化の数列を見極めることで、向かうべき数値に向かうかを確かめる。関数のように捉え、微分を行って傾きを求め、均衡を捉える。均衡は間隔の空いた数列であるか、連続した関数であることを読み解くことができる。すると、やがて意識は関数に向かう。
あとがき
これらのことから、ティール組織における三つのブレイクスルー(セルフマネジメント、全体性、存在目的)が以下のように変貌する。
①セルフマネジメント→命題の証明を通じたマネジメント・標榜的経営
ノーベル賞は、具体的な命令はもはや何一つしていないが、人々を先駆し、存在目的へと引き寄せている。Thinkers50や、アカデミー賞、オリンピック、サクラダファミリアの計画などもこのインディゴ組織と捉えることができる。存在目的が特定の誰かから完全な離脱を果たす。このため、サクラダファミリアは時代を超えて建設が進められるようになった。
もはやこれら組織が特定の○○という人物に依存していないことは明らかだ。
そして、コスモブルー組織の圧倒的な力は時代を超えることにある。人に依存していないからこそそれが可能だ。この時代を超える力を手に入れられれば、破壊的イノベーションにも負けない企業を作ることもできる。
それだけでなく、インディゴ組織は存在目的の証明を目指す者の目標としてメンバーの発達段階を高めることに貢献する。
②全体性→世界的思考
「自分や自集団と一切関係なく、世界の方から世界を見て考える」
これ自体は、インテグラル理論の図でも言及されている。
③存在目的→命題化された存在目的
ノーベル賞、アカデミー賞、Thinkers50などは審査基準が設けられており、これが存在目的としての役割を果たしている。
ただ、命題そのものに揺らぎがなければ、一年くらいは何か不祥事があった所で問題はない。オリンピックやノーベル賞も歴史上多くの不祥事と共にあっただろう。しかし、決してそれで折れることがなかったのも、ひとえにそれがインディゴ組織だからだ。
オレンジ組織などであればすぐに組織存在そのものが揺らぐが、この命題の力によって、インディゴ組織は一度の不祥事や、一時的な断絶をものともしない。
そう考えると、ねぶた祭りや阿波踊りなどの祭典もインディゴ組織だと言える。
また、破壊的イノベーションをものともせず時代を超えるイノベーション「恒常的イノベーション」もこうしたインディゴ組織的な性質を持っている。そもそもそうしたインディゴ組織の祭典が恒常的イノベーションだからだ。
つまり、祭典や賞のような存在に企業やチームを変え、人依存からの完全脱却を目指すのがインディゴ組織だ。そして、事実確かにインディゴ組織は時代を超えて人々の心を動かし続けている。