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もう一度読み返したい素敵な文章

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これからの日々の中で、ふとした時に読み返したい素敵な文章に出逢ったとき、追加させていただきます。
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#日記

優しい言葉だけ覚えればいい(第十一次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第十一次)

理由もなく淋しくなる時がある。
淋しくなるということは、持っていた何かを失った時なのだろうけれど、何を失ったか分からない時もある。
気づかなければ、淋しくなることもなかったのに、誰かが持っているものを見てしまったせいで、自分が持っていてもおかしくなかったはずのものを失った気持ちになることもある。

この淋しさの対処法は、あまり多くはない。そのひとつは失うのは悪いことという考えを捨てること。
日々、

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移動すること、意味もなく(信濃毎日新聞連載4)

移動すること、意味もなく(信濃毎日新聞連載4)

信濃毎日新聞での連載「思索のノート」の第4回です。2020年6月の文章。大学の授業も会議もオンラインになり、移動が極端に減った日々について。その後、年度後半は対面授業が再開されましたが、一年後の今、緊急事態宣言によって大学はまたオンラインで、ずっと自宅周辺にいる生活。移動することの必要性を、一年経った今でも同じく切実に感じています。



新しい日常、なのだろうか。いつもの喫茶店はテーブルをひと

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GoTo女の一人旅、輪郭を取り戻す旅

GoTo女の一人旅、輪郭を取り戻す旅

決めた。行こう、瀬戸内海。

コロナウイルスが猛威を振るい未だ多くの人が移動を自粛する中、もう居てもたってもいられず一人旅をすることに決めた。 都合の良い解釈なのはわかっているけれど、呼ばれているような気がしたのだ。瀬戸内国際芸術祭の舞台にもなる、直島および周辺の島々。穏やかな青い海、気持ちの良い風、島の自然に溶け込むように存在するアート作品達が待っている、あの場所へ行かなければ。

こんなにも一

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そんなことでいちいち書けなくなってたら食ってけねーべや

そんなことでいちいち書けなくなってたら食ってけねーべや

ゆうべ、ラジオトーク更新しました。

自分の声聞くの苦手だけど、ラジオトークは一応公開前に1回聞いて、失言がないかチェックしてる。

自分の喋りを聞くと、「すごい暗そうだな!」と思う。

普段からこんなにボソボソ喋ってるのかな。それとも、ひとりで喋ってるからこうなるんであって、友達と喋ってるときはもうちょっと明るいのかしら。



朝、少し喉が痛かったが、いつの間にか治っていた。よかった。

n

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「成長」ってしなきゃいけないの?

「成長」ってしなきゃいけないの?

社会人になって、早1か月と2週。
研修の中で「成長とはなにか?」という人事によるレクチャーがあった。レクチャー自体は、経験学習サイクルのやり方やリフレクションの行い方などを学ぶのだが、私は最初浮かない気分で参加。

なんかモヤモヤ。

最初に人事の方から、

成長って必要だと思いますか?

という問いがあった。

私がモヤモヤしていた理由はここにあった。

私は、成長という言葉に対してネガティブな

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最低限の手数でけっこう幸せになれる自炊の方法5つ

最低限の手数でけっこう幸せになれる自炊の方法5つ

お知らせです!こちらのnoteをベースに大幅に加筆し、レシピも50個掲載した本が2020年12月に発売されます。ぜひ覗いてみてください!

このnoteはこんな人向けです。

・料理の経験が少なく、やってみたい気持ちはあるけれど何から手を付けていいのかわからない
・仕事が忙しく家に帰っても作る時間や気力がない
・でもコンビニ飯やファストフードは飽きた
・調味料や調理器具はなるべく買

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絵本って高くない? と感じていた未熟さを恥じています

絵本って高くない? と感じていた未熟さを恥じています

心から恥じています、という備忘録。

早いもので息子が2歳になり、これまで「ごぶごぶ」とか「ばー」「ぷくぷく」の音や、認識しやすいはっきりとした色づかいが中心だった絵本から卒業した。乳児の認識できる音や色が緻密に計算されたこれらの絵本は、物語や登場人物的なものがないゆえ、大人の私にとってはなかなか退屈で、眠気に襲われた実績も多数、、、(申し訳ない)

ところが、子供が1歳半を超えた頃から、絵本の中

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「高校生で世界一周」で得た大切なモノ。

「高校生で世界一周」で得た大切なモノ。

2017年6月21日、僕は「高校生で世界一周」を宣言した。理由は色々ある。本当に色々。そんな色々が積み重なってウジャウジャと暴れ出して足掻いて悶えて耐えきれなくなったその時、

「そうだ、逃げよう。」

そう覚悟した結果が、あの宣言だった。

心からの叫びは多くの人に届くのだと知った。(当時フォロワー200人くらい)

・・・

そんな宣言から約9ヶ月間。本当に長い準備期間だった。人脈ゼロ経験ゼロ

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一枚のドレスが世界観を大きく変えた話(あるいは安易な共感がもたらす世界について)

一枚のドレスが世界観を大きく変えた話(あるいは安易な共感がもたらす世界について)

長い時間、人の書いた文章についてあれこれと考える研究をやっていた頃に、一つ気づいたことがあるんです。それはですね、「どんなにがんばって時間を注いでも、最後の最後のところで他人のことは全くわからない」ということなんです。もちろん、ある程度は時間を経れば統計的な積み重ねが経験となって、高精度の推論を作ることは出来ます。でもね、やっぱり他人はわからない。自分のことさえあまりわからないのに、他人のことなん

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SNSで死なないで

SNSで死なないで

中学生がヒッチハイクでアメリカ横断を試みて、ツイッター上でちょっとした騒ぎになっていた。ふつうに常識があればありえないほど危険な話だし、そもそも本人のツイッターやInstagramの投稿を遡るとまるで勇気と無謀を履き違えていて、どうしてこんな歪んだ認識をするに至ってしまったのか…とうろたえてしまう。

彼が正しいとか間違っているとか、それは一旦置いておいて(彼がしていることは間違っていると思うのだ

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愛をあるだけ、すべて

愛をあるだけ、すべて

2018年10月29日、子どもが産まれた。

振り返ると、とても充実した1年だった。何年後かに振り返った時に、いつの時代に戻りたいかと聞かれても、多分2018年は選ばない。軽くハイになっていたかもしれない。こんなに一年を長く感じたこともなかった。

僕は40歳くらいで死ぬと思っていた。希死念慮があるとかじゃなくて、漠然と、僕の人生がそこから先に存在していると想像できなかった。父親が四十代で突然死ん

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とてつもなく嬉しく、そして恐ろしい。

進んでは止まって、戻って、またちょっと進んで
を繰り返していたお店の準備ですが
このたび古物商許可申請も無事おりて、内装も整い始めました。

嬉しい。

一年を振り返るのにはまだちょっと早い気がするけれど、今年を素直に褒めたい。
「どうせできないよ」で終わらせていたかつての私を倒し、
ゆっくりだけれど進んだ。変わった。

そしてここにきて初めてわかったことがあります。
いつかと思っていたことが現実

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”信じる”技術

”信じる”技術

「信じるのが大切なのはわかっていますが、それだけじゃ子どもは変わらないと思うんです」
その言葉を投げかけた女性を見ていたら、ふと母のことを思い出した。

僕の母はとにかく心配性だ。
何をするのにも口を出し、手を出し、危険から守ろうとしてくれていた。
遺伝なのか、そんな母に育てられたからなのか、たまたまなのか。3歳の娘の子育てをしている僕も、同じように心配性なところがある。

「これハサミでチョキチ

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恥ずかしくて、恥ずかしくて、Twitterに鍵をかけていたあの頃。

恥ずかしくて、恥ずかしくて、Twitterに鍵をかけていたあの頃。

おそらくあの頃、見失っていたんだと思う。

2012年頃、自分のTwitterのアカウントに鍵をかけていた。友人や、知人ともつながっているから、つぶやきはする。でも、時折、通知の来るフォローリクエストは放置してしまっていた。今の自分からすると考えられないんだけど、かなり閉じていた。そのことに対してなんの疑問も持っていなかった。転機になったのは、その頃仲良くなった人に言われたこんな言葉だった。

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