マガジンのカバー画像

いひがしの本棚

26
運営しているクリエイター

記事一覧

成功する秘訣はうまく失敗することー『アダプト思考』のすすめ

成功する秘訣はうまく失敗することー『アダプト思考』のすすめ

正直、失敗したくない。思いついたアイデアもチームで進めている施策も成功させたい。これからやりたいこともたくさんある。
失敗して「あいつはダメなやつ」と思われたくない。もう挑戦できないのではないか。未来が閉ざされてしまうのではないか。
成功したい。それ以上に、失敗したくない。

だから、ぼくは、始めるのが遅くなる。迷う。
だから、こっちだと決めてやってみることが怖い。不安だ。

ぼくにとって、失敗を

もっとみる
わたしの世界を開いた「入門書」

わたしの世界を開いた「入門書」

古文は日本語で書かれた暗号だった。
教科書に並ぶ文字列からは意味が読み取れない。
ひらがなと漢字が並び、なんとなくわかりそうで、わからない。
いまつかっている単語を見つけたが、意味が違うようだ。
単語も文法も違う。だれが何をしているのかわからなくなる。
ダジャレのような掛詞。暗唱しなさいと練習した動詞の活用法。

古文を習い始めてすぐのころは、まったくおもしろくなかった。

そんな古文に対しての認

もっとみる
不条理ばかりの世界での「生き方」を知る1冊『ペスト』の感想

不条理ばかりの世界での「生き方」を知る1冊『ペスト』の感想

『ペスト』は、不条理に立ち向かう個人の物語だ。不条理の中で自らの生き方を突き通す物語であり、不条理に喜びを感じる物語であり、不条理の中で幸福を選びなおす物語であり、不条理の中で生きることを選び続ける物語だ。

物語は、感染症の「ペスト」がある都市を襲い、都市封鎖となるところから始まる。
あっという間に死に至らしめる感染症という、どうしようもない不条理が現れる。
医師、新聞記者、犯罪者、神父など、そ

もっとみる
『ペスト』を読んで感じていること

『ペスト』を読んで感じていること

コロナ禍でヒットしている小説『ペスト』。読んだことがなかったので、これを機に買って読んでいる。まだ途中までだが、感じていることを書こうと思う。

小説の舞台は1940年代のアルジェリアの港町、オラン。街の環境やそこに住む人たちの描写から始まる。
街に異変が起こり、感染症が広がっていく様子、医師が「ペスト」であることに疑いや不安を持つ状況、議会での議論、都市封鎖をしたことによる市民の変化など、現実は

もっとみる
社会人7年目に身につけたいマネジメントとチームづくりと仮説を学ぶ本

社会人7年目に身につけたいマネジメントとチームづくりと仮説を学ぶ本

今月から、週1回、火曜か水曜日に更新していこうと思う。たまに2週に1回になるかもしれないけど。

最近は、マネジメントとはなにか、チームとはなにか、戦略とは、仮説とはなにかについて関心がある。

社会人になって6年がたった。ある程度、仕事のことも、社内のことも、業界のことも、わかるようになり「ある程度できる自分」を感じていたのは事実だ。

だけど、高いゴールの仕事を任せてもらい、役割を任せてもらっ

もっとみる
文章を書くことは自分の人生を歩むことにつながる #読みたいことを書けばいい

文章を書くことは自分の人生を歩むことにつながる #読みたいことを書けばいい

『読みたいことを書けばいい。』は、「シンプルな文章術」という副題だが、具体的な文章術というよりもむしろ、自分の人生を生きるための術を与える1冊だ。

裏切られた。大きく裏切られ、心を動かされた。

友人との付き合いや、ビジネスをうまく進めていくために、「文章術」に具体的な課題があった。
だから僕は、話題のこの1冊を手に取った。

人を動かすには、うまく伝えるには、嫌われないためには、不快な思いをさ

もっとみる
口ぐせが思考をつくっている

口ぐせが思考をつくっている

会社で先輩と話をしていたとき、ふいに

「いとうくんってめっちゃ「難しい」って言うよな」

と言われた。
他者になにか指摘されたとき、反発したくなることがある。違うよと。でも、この指摘には、イラっとすることも、反論することもなく、ただただびっくりしてしまった。まったく自覚のないことだった。

その日ぼくは、自分の発する言葉に注意が向いた。話しながら、「こんな言葉遣いをしているのか」「こんなリアクシ

もっとみる
人はみんな違うことを心底実感してうれしかった話

人はみんな違うことを心底実感してうれしかった話

人はみんな違う。人は多様なんだ。
ぼくは、うれしくて、うれしくて、仕方がなかった。初めての感覚だった。
「人はみんな違う」ということを、はじめて心底実感したのだ。
ぼく自身も、他者と違う。ぼくは、ぼくであっていいのだ。
他者もぼくとは違う。違う存在で、それぞれに可能性がある。力がある。
そんな確信だった。
ずっと自分自身を縛り付けていた、優劣で評価する思考から一歩外に出られた気がした。

みんなと

もっとみる
あなたの人生に意味を与える本 (半分PR)

あなたの人生に意味を与える本 (半分PR)

この本は、あなたに、あなたの人生の意味を与える。自分の人生を、自分の手に取り戻すための本だ。

『FIND YOUR WHY あなたとチームを強くするシンプルな方法』は、TEDトーク『優れたリーダーはどうやって行動を促すか』で有名なサイモン・シネックの新刊だ。

ぼくが働いている出版社から発売している本だから、PRのような感じもするが、きょうはこの本について話したい。それは、この本のコンセプトが、

もっとみる
これからの自分を信じようと思った話。『ナナメの夕暮れ』『マインドセット』を読んで

これからの自分を信じようと思った話。『ナナメの夕暮れ』『マインドセット』を読んで

「自分は誰かの劣化版ではないか」

ぼくは、よく自分と人とを比べる。そしてよく、自分の劣っているところを見つける。気分は落ち込み、俺はダメなやつだと考えはじめる。これができない、あれもできない。そうやって、いろんなところを比べて、自分は、Aさんの、Bさんの、Cさんの…といろんな人の劣化版なのではないかと思い至る。未来が閉ざされているような感覚となり、途方に暮れて、思考が停止する。

評価を求める。

もっとみる
"分人"と帰省で気がついた祖母のこと、自分自身のこと

"分人"と帰省で気がついた祖母のこと、自分自身のこと

祖母の喜寿のお祝いに、従姉妹がぼくたち孫の写真を集め、アルバムをつくっていた。先日、福井に帰省した際、祖母にそのアルバムをみせてもらった。

生まれたばかりの孫を抱く祖母の写真が並んでいた。写真の中の祖母の顔は、どれもフラッシュで白く飛んでいた。それに、生まれたばかりのぼくを抱く祖母の顔は、少し違って見えた。確かに若い。でもそれだけではない。いまとほとんど変わらないけれど、どこか緊張しているような

もっとみる
ネガティブな感情も「わたし」の一部。"株式会社「わたし」"という考え方(ちょっとPR)

ネガティブな感情も「わたし」の一部。"株式会社「わたし」"という考え方(ちょっとPR)

ぼくはどうやら、ネガティブな感情を抱きやすい。嫉妬や妬み、不安や恐れの感情は、ぼくの判断や思考を支配する。だけど、これはぼくの脳や身体の癖であり、ぼくのすべてではなく一部である。このことに気がついてから、ぼくはずいぶんと心が軽くなった。

よくあらわれる感情が、自分の一部であると発見したのは、『不安を自信に変える授業』(クリステン・ウルマー著)に書かれていたおもしろい例えに出会ったからだ。この本は

もっとみる
「この本がほしい」の感情の奥にある、欲望と選択

「この本がほしい」の感情の奥にある、欲望と選択

会社からの帰り道、欲しい本のことを思い出して、近くの書店に立ち寄った。Amazonに在庫がない書籍で、すぐに手に取りたいと思っていたからだ。
書店に入ると、順に話題書、新刊、ジャンルの棚を歩いた。一度で見つからなかったから、何度も往復した。隅から隅まで、指指しながら探した。けれど見つからなかった。
それで、Amazonの商品ページを出しながら、この商品の在庫はあるのかを聞いた。
「残念ながら在庫し

もっとみる
衝動を抑えて、集中する方法。自分と向き合う方法。

衝動を抑えて、集中する方法。自分と向き合う方法。

ぼくたちの脳、神経系は、この世界を生き延びるために瞬時に状況を把握し、判断できるようになった。『ファスト&スロー』では、この反応的な思考を「システム1」の思考と呼び、我々の思考がいかに素晴らしいか、そして、いかに間違いを犯しやすいか、について解説している。
ぼくたちの脳は、怠け者な理性的な脳(システム2)よりも、反応的な脳(システム1)が優位なのだ。
この本が、すごくおもしろい。思考のクセがわかる

もっとみる