【詩】 私的詩巻
混色の和紙を広げて
月の光に透かして見ている
折り皺さえも淑やかに
不揃いの美を詠う
書き溜めてきたこの厚みを包み直すには
優しい色がいい
題名は使い古された
例えば花の名前なんかがいい
誰かに手渡すことなどない
よくある感じの一冊で在りたい
いつか手放すときには
少しだけ頁の間に空気が入っていると尚いい
ありがとうの数だけ
人は哀しみを知っている
勇気を出して
明晩全てを月明かりにと
かぐや姫の誘惑
無理難題も美しいお礼の言葉も
思いつきはしないけれども
てるてる坊主を作れるほどに
詩を書き散らかして
今夜も眠りにつく
屑籠は机の側にはない
藪椿がぽとりと落ちた
明日
朝月夜光れ
藪椿の写真は燿さんよりご了承をいただき使わせていただきました。
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