2022年3月の記事一覧
【秘密】としてのTwitter
朝井リョウ著『正欲』では、水フェチという性趣向を使って、性的マイノリティを言祝ぐ空気の偽善性が摘発される。多様性という一見多幸感に溢れる言葉は、マイノリティが可視的に「解釈」できるパターンの肯定に過ぎず、その外部はより一層排除されるようになる。相互理解を達成できているという身勝手な自己意識を、おめでたさ、という言葉で非難していた。これは昨日考えていた、「かわいそうと思える相手にだけ寄り添う」問題の
もっとみる『ミステリと言う勿れ』を見て一番イヤだったこと
『ミステリと言う勿れ』を見て一番イヤだったことのは【ドラマ内の感動を仕立て上げるために、現実のいろんな当事者の気持ちがないがしろにされている】ということだ。
例えばヒロインのライカは幼少期の虐待によって解離性同一性障害を患うという設定だけれど、『自省録』を使ったキャラ付けによって、ただの風変わりな人物造形に堕してしまった。難病の患者が登場する、いわゆる[病気モノ]のドラマとして作品を捉えれば、解
ミステリと言う勿れ・心理学とサイコパス・リベラル風意見のくだらなさ(予定)
昨日最終話を迎えた『ミステリと言う勿れ』では、心理学的なモチーフが重要な役割を果たしていた。以下、簡単に挙げていく。
・主人公の久能整(菅田将暉)が心理学専攻の大学生という設定。容疑者の些細な仕草を心理学的に分析し、犯人を導き出す
・児童虐待により心を病んだキャラクターが複数登場する。ある者は同じ虐待サバイバーを助けるために親を殺す。ある者は解離性人格障害を患う。
・主人公も虐待を受けた過去を持
ハイブリッド戦争メモ
・昨日本屋でハイブリッド戦争という語を目にした。今度その新書を買う予定
・以下Wikipediaの引用
ハイブリッド戦争(ハイブリッドせんそう、英語: hybrid warfare)とは、軍事戦略の一つ。正規戦、非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせていることが特徴である。
ハイブリッド戦争の概念が登場したのは、1999年に中国の軍人の喬良と王湘穂が発表した「超限戦」である。ここでは政治
感動ポルノが覆い隠すもの
まあこんなに「気合い100連発」のことばかり毎日書いているのはあまり良くないことなのかもしれないのだけれど、とりあえずモヤモヤとした気持ちがまだ残っているのと書く新しいネタが特別あるわけではないというのもあって、とりあえず今日もこの話題になる感じ。
といっても先ほど歩きながら考えていたのは「感動ポルノ」というものについて。例えば24時間テレビはその象徴として毎回やり玉にあがる存在で、定義するのは
今日はリスペクトの話に落ち着く
そもそも、何故こんなに「気合い100連発」について考え続けているのかというと、YouTubeで見たAbemaのインパクトが大きかったからだ。というより、コメンテーターに腹が立ったから。受け取り手の自由とか、結果的に福島の人が悲しんだからとか、何言ってんのみたいになって、しばらく怒りが収まらなかった。
一番気になったのは「自分はアートを詳しく知らないですが、」という言葉。司会の乙武さんが発したもの
気合い100連発の話
先週末に訪れたChim↑Pom展では、「気合い100連発」という作品が展示されていた。数年間あいちトリエンナーレ内の「表現の不自由展」で展示され、大きな物議を醸した作品だ。その過去があったためだろう、展覧会内でその作品のみ撮影が禁止とされていた。作品は被災地と日本の関係性のメタファーがきちんと成立しているものだったが、「放射能最高」「被爆最高」という言葉がNGワード的に炎上に発展したようだ。
Y
働いて何かを達成できているわけではないけれど
#はたらいて笑顔になった瞬間 、というハッシュタグがあった。人材系のパーソルが主催となり、投稿記事のコンテストを行っている。以前転職のとき、自分もパーソルにお世話になったことを思い出した。
いまの社会では、仕事と自己実現が結びつけられている。なりたい自分像というものがあり、それに近づく手段として仕事が存在する。カネを稼ぐためだけに取り組む仕事は卑しく、仕事を通じて他人や社会に必要とされることが本来
Chim↑Pom『HAPPY SPRING』
広島・長崎で原爆が落とされた第二次世界大戦の後、核戦争の危機が2度あった。一度目はキューバ危機、二度目は現在進行中のウクライナ戦争だ。原子力発電所の事故も二件。日本→ウクライナ→日本→ウクライナ。世界は依然として原子力・核兵器の沼の中にいる。
このタイミングでChim↑Pom『HAPPY SPRING』を見たのは、何の巡り合わせか。森美術館で開催中のこの回顧展は、自分にとってショッキングな体験だ
SPRING TOUR
GRAPEVINEは社会問題について遠回しに、でも逃げることなく意見を示すバンドだ。ステレオタイプな言葉を忌避しつつ、ときに寓話的に、ときに直接的に言葉を並べれば、歌詞が文明批評となりいうるのは自然なことだ。
特にコロナ禍にてリリースされた『新しい果実』は「ねずみ浄土」「目覚ましはいつも鳴り止まない」「Gifted」「ぬばたま」と、人間の愚かさを描く言葉が多く並んだ。ヨーロッパでの開戦直後に開催
心の底から楽しむことはできないですね
もうお笑いを心の底から楽しむことはできないですね、という話になる。落研時代の先輩や同期と話しているときだ。面白いネタを見れば圧倒されて、つまらないネタを見れば過去の醜態を突きつけられている気分になる。どんな芸人さんにも面白さの欠片はあり、それは自分の何もなさを突きつけてくる。自分がまだ芸人を辞めずにいたら、どんな気持ちになっていただろう。
久しぶりにお笑いのライブを見に行った。投票制のライブがあ