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SPRING TOUR

GRAPEVINEは社会問題について遠回しに、でも逃げることなく意見を示すバンドだ。ステレオタイプな言葉を忌避しつつ、ときに寓話的に、ときに直接的に言葉を並べれば、歌詞が文明批評となりいうるのは自然なことだ。

特にコロナ禍にてリリースされた『新しい果実』は「ねずみ浄土」「目覚ましはいつも鳴り止まない」「Gifted」「ぬばたま」と、人間の愚かさを描く言葉が多く並んだ。ヨーロッパでの開戦直後に開催された「SPRING TOUR」では、戦争を意識した曲が多く演奏された。

ハイライトは「雪解け」。歌詞で戦争は描かれない。「凍えた記憶」を乗り越え、「虹」を見て、「繋いだ手」に祈りを込めるだけ。この先にあるのは未来だけだ。

個人が、社会が、世界が。災いを乗り越えるには、凍えた記憶を乗り越えなければならない。未来を作るためには、全員が全員の春を待つ、途方もなく遠い未来を祈らなければならない。だから歌があるのだろう。

今日はポエムみたいな日記。ポエムも祈りの一形態。

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