⑤「法令上の公報」(XML形式)は、裁判で実際に使われているのでしょうか?
⑤「法令上の公報」(XML形式)は、裁判で実際に使われているのでしょうか?
2022年1月12日以降の公報
特許庁は、「法令上の公報は、公報発行サイトから提供されるものであって、XML形式のものを指します。」と明言しています。
そして、「XML形式」とは、以下の資料のフロントページにあるようなものです。
また、2022年1月11日以前に特許庁より発行されていた「PDF公報」は、廃止されました。
従来は、この廃止されたPDF公報が「真正な公報」とみなされてきたと思います。
2022年1月12日以降は、INPITをはじめ、多くの民間のベンダーが独自の手法により作成したものが、「独自PDF公報」及び「独自テキスト表示」として流通しています。
加えて、INPITは「J-PlatPatから提供されるPDFを「標準」とする意図はなく、民間事業者が提供するPDFも流通すると考えております。」、と回答しています。
従って、「真正な特許公報」とは、特許庁の公報発行サイトから提供される「XML形式」のみのもので、INPITや各民間業者の作成した「独自PDF公報」及び「独自テキスト表示」は「法令上の公報」とはいえないことになります。
このことを前提に、裁判所で行われている事象を検証してみたいと思います。
「令和5年(ワ)第70102号」(特許権侵害差止及び特許権侵害賠償請求事件)(特許第6995229号)原告:李新敏、についてです。
先ずは、特許庁の公報発行サイトから、特許第6995229号の「XML形式」での「法令上の公報」です。
次に、INPIT のJ-PlatPatよりダウンロードした「独自PDF公報」と「独自テキスト表示」のものですです。
https://drive.google.com/file/d/1dpQtjit4zrmdC47EqUN0kJ70wdEqNPow/view?usp=sharing
そして、本題です。
「令和5年(ワ)第70102号」(特許第6995229号)にて説明します。
4ページ目の18行目以下に、「本権特許に係わる特許請求の範囲」として、「請求項4の発明(本発明)に係わる記載は、次のとおりである。」として、
【請求項4】紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記三つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の18重量%以下である特性;
(2)茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の2重量%以下である特性;
(3)茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾燥重量の7重量%以下である特性;
この【請求項4】の文面は、何でしょうか?
INPIT のJ-PlatPatよりダウンロードした「独自PDF公報」及び「独自テキスト表示」のうち、「請求項4」の部分と全く同一です。
この【請求項4】の文面は、どこから持ってきたものでしょうか?
先ず、考えられることは、この【請求項4】の部分は、原告(李新敏)が、訴状に添付したものと思います。
または、裁判所いおいて独自に入手したものでしょうか?(これは考えられません)。
更に、20ページ〜23ぺージに「本件明細書には、以下の記載があることが認められる」として、上記と同様、「独自PDF公報」及び「独自テキスト表示」からのものと思われるものが記載されています。
これもまた、原告(李新敏)が、訴状に添付したものと思います。
特許庁は、「法令上の公報は、公報発行サイトから提供されるものであって、XML形式のものを指します。」と明言しています。
裁判所は、何故に、「法令上の公報」である「XML形式」のものを対象にしないのでしょうか?
原告が提示した「独自PDF公報」、または「独自テキスト表示」のものを鵜呑みにして、これに基づいて判断をしているのでしょうか?
原告が提示した「独自PDF公報」及び「独自テキスト表示」のものにに依存した議論は、全く無意味なものと考えます。
「独自PDF公報」及び「独自テキスト表示」は、従来の特許庁が発行していた「PDF公報」とは、似ても似つかない、単なる「参考資料」としか言えないものと思います。
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