WK2013

ボカロ楽曲制作を6年ほどやって挫折。3年ほどまえからいくつかの小説投稿サイトで作品を公表しています。このたびNOTEで公表させていただくこととしました。よろしくどうぞ、お願いします。

WK2013

ボカロ楽曲制作を6年ほどやって挫折。3年ほどまえからいくつかの小説投稿サイトで作品を公表しています。このたびNOTEで公表させていただくこととしました。よろしくどうぞ、お願いします。

マガジン

  • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚)

    本作メインヒロインのヒカリが過ごした、2289年6月30日の1日を描きます。

  • 星座の先のエピローグ ~生き残されし彼女たちの顛末 第6部~

    火星へ向かった少年と少女の物語 そしてネオ・シャンハイの人たちの顛末

  • 【SF小説】生き残されし彼女たちの顛末 第5部

    「あしたは来月」の日に起こる、様々なこと。そしていよいよ、インパクトの日を迎える。

  • 【SF小説】生き残されし彼女たちの顛末 第4部

    連邦評議会での可決、区長助理総会での承認を経て協定は発効し、天体衝突に備える避難準備活動が始まる。順調に進むと見えたその中...事情があって削除した作品を、一部再構成して再投稿します。

  • 【SF小説】生き残されし彼女たちの顛末 第3部

    国際連邦の人たちとの対話、AIとの対決を経て、天体衝突の脅威から逃れるための目論見は首尾よく運んだが、その過程で明らかになった事実とは...事情があって削除した作品を、一部再構成して再投稿します。

最近の記事

生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) ~あとがき~

 第0部(前日譚)をお読みいただき、ありがとうございました。  第1部、または第6部をお読みいただいた方にはお分かりになるかと思いますが、「生き残されし彼女たちの顛末」の、もとは冒頭部分を構成していたのがこれです。  特別授業記録がストーリーのテンポを阻害していることが否定できず、考えた結果、エッセンスとなるエピソードを元の第2部分に挿入し、そちらを新第1部とする全6部構成に仕立て直して、本編としました。  とはいえ、この「旧第1部」は、本編の世界観を提示する部分でもあ

    • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 26)希望の大地

      (火星授業記録その35)  みなさんといっしょに、20世紀以降の人類の歴史について戦争とインパクトを中心に振り返ってきました。みなさんから質問や意見をもらいました。それらを聞いていく中で、私は人類の未来に対して「希望」を持ちたいと強く思うようになりました。  人類がこれからどのような道を歩んでいくのかは、まだわかりません。月と火星を中心に生きていくことになるのか。それともインパクト後の地球に戻り、レフュージを再建し、さらにかつての環境を復元させて、多くの人が地球に戻るのか。

      • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 25)息子マモルの旅立ち

        (火星授業記録その34)  再開したいと思います。よろしいでしょうか。  今日の授業のまとめにはいります。  ここまでみなさん、よくついてきてくれました。ほんとうに立派だったと思います。この授業を通じて、私もみなさんから教えられることがいっぱいありました。  だから、授業の準備をしていたときに考えていたこととはちがうことをお話ししたいと思います。  お話ししたいのは「希望」についてです。  Xさん、「希望」の反対の意味のことばはなんですか。 ――「失望」でしょうか。

        • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 24)夫カゲヒコの顛末

           カゲヒコは、連邦A級規則の成立後すぐに、火星移住支援特別プロジェクトに転属となり、地球から月、そして月から火星へと向かう移住者のためのロジスティクスを担当するチームに入った。  火星に向かう「自力航行型居住モジュール」の建造・配備計画の進捗状況を管理し、それをもとに移住者のスケジューリングを行い、地球から月へのシャトル便の運行計画を作成する。また、燃料や物資の手配、特に移住者の移動時と火星到着後しばらくの期間の食料・水・生活必需品の手配も必要だ。  カゲヒコは多忙を極めた。

        • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) ~あとがき~

        • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 26)希望の大地

        • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 25)息子マモルの旅立ち

        • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 24)夫カゲヒコの顛末

        マガジン

        • 生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚)
          28本
        • 星座の先のエピローグ ~生き残されし彼女たちの顛末 第6部~
          16本
        • 【SF小説】生き残されし彼女たちの顛末 第5部
          21本
        • 【SF小説】生き残されし彼女たちの顛末 第4部
          22本
        • 【SF小説】生き残されし彼女たちの顛末 第3部
          19本
        • 【SF小説】生き残されし彼女たちの顛末 第2部
          20本

        記事

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 23)こどもたちの気持ち~再び~

          (火星授業記録その31)  さて、これから地球のその後についてお話をする予定ですが、その前にみなさんにお聞きしておこうと思います。これからお話ししようとする部分は、今まで以上にみなさんにとって、とてもつらいこと、悲しいことを思い出させることになると思います。このままお話を続けてよいか、みなさんの意見を聞かせてください。 ――...  むつかしい質問だと思います。よく考えてください。 ――...先生、よろしいでしょうか?  はい、Vさん。お願いします。 ――正直言っ

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 23)こどもたちの気持ち~再び~

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 22)ヘプバーンと老占い師

          「17時30分ですよ、ヒカリ」とアカネが告げる。  いつも通り勤務時間が終わった。 「明日からお休みですね」 「そう、お休みね」 「どうかよい休日を」 「アカネ、ほんとにいろいろとありがとう」  アカネともこれでお別れ、か。  帰り支度をしていたら、なぜだろう、無性に髪を切りたくなった。  バッグをオフィスに置いておき、PITだけ持って、ヘアサロンへ向かう。エレベーターで1階に下り、1ブロック歩いて5分ほどのところに行きつけの店がある。  スライドドアが自動で開くと、中か

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 22)ヘプバーンと老占い師

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 21)こどもたちの気持ち

          (火星授業記録その29)  24人のみなさん、それぞれレフュージからまず月に向けてスペースプレーン型のシャトル便で向かいましたよね。それから、いったん月の居住区に下りたってしばらく月で過ごしてから火星向けの便に乗った人と、シャトル便から月の上空で火星向けの船に直接乗り移った人とがいると思います。  たぶんみなさんのほとんどは2287年、地球と火星が最接近するタイミングに行われた「大移動」のときに火星に来たのだと思いますが、いかがでしょう。そうだという人、手をあげてください.

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 21)こどもたちの気持ち

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 20)メイドノミヤゲ

           2282年10月に行われたカテゴリ分類の通知がきた。  わたし、夫のカゲヒコ、息子のマモル、わたしの両親、カゲヒコの両親、それから祖父母で唯一生きていたマサルおじいちゃんの中で、マモルだけがカテゴリCになり、その他は全員カテゴリAになった。  カテゴリCとカテゴリBはそれぞれ500万人だが、最初の分類で決まったのはそれぞれ450万人だった。残りの各50万人の枠については、一定の要件にあてはまる者の申請を受け、人間による予備選考、その後AIによる最終選考によって決められること

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 20)メイドノミヤゲ

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 19)カテゴリ

           市民投票の実施が決まって、最初のうちは規則案に反対する声のほうが大きかった。  まだまだ他にやれることがあるのではないか? 地球上に残っても生き延びる可能性のある者がいるのに、すべて「ケア」してしまうことは人道に反するのではないか? 「ターミナル・ケア」などときれいごとを言って、実のところはジェノサイドではないのか?  多くのレフュージで激しい抗議活動がおこり、中には暴動に至って死傷者がでたところもあったという。  ネオ・トウキョウは比較的静かだった。  市民投票まで3ヶ月

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 19)カテゴリ

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 18)ターミナル・ケア

          (火星授業記録その26)  2279年、連邦インパクト対策特別小委員会の存在が明らかにされ、マオのインパクトとその対策についての案が発表されました。  大きく分けて2項目からなる対策でした。 ~ディスプレイ表示内容~  「恒星間天体マオ インパクト対策要綱」   (2279年連邦インパクト対策特別小委員会発表)    対策1:地球上の可能な限りの者を火星に移住させること        移住者は公平な方法で選び出すこと    対策2:地球に残るものについては、インパクトによ

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 18)ターミナル・ケア

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 17)アーウィン部長奮闘す

           16時を回った頃、アカネが「ビデオ通信がはいりました」と言った。 「つないで」と言うと、ディスプレイにアーウィン情報支援部長の顔が映った。月からの交信だ。 (英語) 【よかった。早退せずにまだいたんだね】とアーウィン部長。 【はい。帰っても特にやることもありませんし】とわたし。 【通話したのは、きみの顔を見たかったのと...いまさらながら、改めて私の力不足を詫びたいと思って】 【そんな、お願いですからお詫びなんて...】  アーウィン部長は「月勤務スタッフへの人事異動

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 17)アーウィン部長奮闘す

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 16)両親との別れ

           わたしの両親との最後の面会は2年前、マサルおじいちゃんのケアからちょうど1年たったとき。カゲヒコとマモルといっしょに、おじいちゃんのときと同じターミナルケアセンターの面会室で対面した。 「夫婦は同じタイミングでケア、というのが原則みたいだね」と父のマサヒロ。 「カゲヒコさんのご両親も同時だったわよね」と母のカヨコ。 「ぼくたちはそうはならないですね。残念ながら、というべきか、幸いに、というべきか...」とカゲヒコ。 「いずれにしても、ヒカリとマモルのことをよろしくお願いし

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 16)両親との別れ

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 15)マオ

          「あー、それもこれも今日でおしまい、か」とマルグがぽつりとひと言。 「大変だったよね」 「うん」 「つらいこと、いっぱいあったよね」 「う、うん...そうね」 「よく頑張ったよね」 「...うん」  マルグがどんどん涙声になってくる。  わたしは立ち上がってマルグのとなりに腰掛けた。マルグの肩に右手を回し、そして左手を回した。 「言いたいこと、言っちゃいなよ」とわたし。 「...私だって...私だって、どれだけ言いたかったか!」  マルグの顔は涙でぐじょぐじょになっている。

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 15)マオ

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 14)マルグ来訪

          (火星授業記録その23) ――質問です。  はい。Oさん、どうぞ。 ――国際連邦のスタッフが、戦争前に月の居住区に移ったということですが、これって、なんか自分たちだけ生き残ろうとする、卑怯っていうか、よくないことのように思えるんですけど、そういうことは当時言われなかったのですか?  するどい質問ですね。たしかにそのような批判もあったようです。  けれども私は、仕方がなかった、というか、もっと突っ込んでいうと、結果的に人類のためになったと考えます。これから再びお話しす

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 14)マルグ来訪

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 13)四度目の大戦と「冬」

          ――質問です。  はい、Nさん。どうぞ。 ――どうして5ヶ国の核兵器を他の16ヶ国に配備する、というようなことをやってしまったのか、もっと詳しく説明してください。  そうですね、  まだ決まったわけではないのに、小惑星危機後に「連邦化」は完成する、という思い込みが大きかったのでしょう。  人間は理想に燃えていると「すべてのことが理想どおりにいく」と「思い込んで」しまうところがある、といえるのではないかと思います。「小惑星衝突の危機に世界が団結して立ち向かう」という理想に

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 13)四度目の大戦と「冬」

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 12)小惑星による平和?

          (火星授業記録その20)  それでは再開します。  国家の統合と連邦化の動きは2110年まで続いて、一段落しました。それらの動きに伴って、一部の地域では統合を巡る国家間や民族間の小競り合い、つまり小規模の戦闘がおこりました。しかし、いずれも大規模な戦争につながることはありませんでした。  国際連邦の紛争を解決するための機能も、各地で起こった小競り合いを大きな戦闘に発展させないために、ある程度の役割を果たしました。  そしてその後も、相変わらず限られた地域での小競り合いは繰

          生き残されし彼女たちの顛末 第0部(前日譚) 12)小惑星による平和?