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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2019年4月の記事一覧

きっかけの令和

きっかけの令和

子どもにテレビを壊されてしまい、テレビのない日々を長く過ごしている。だから、平成最後の日だろうが明日から令和だろうが、そんな雰囲気は我が家にまったくない。いつもどおりに休日の1日が過ぎ、いつもどおりに明日を迎える。それだけだ。

年末年始と同じように、元号の変更はひとつの節目だ。元号は「〜時代」と時代の名前になってゆく存在だから、年末年始より区切り感を抱く人もいるかもしれない。



「平成に置

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7歳、こがけんさんの単独ライブに行く

7歳、こがけんさんの単独ライブに行く

人は笑うと寿命が延びるという。わたしの書いたもので誰かの寿命がもしも数秒間延びるのならば、そんなにうれしいことはない——。

冒頭は高校時代の文芸部OBが卒業時に書き記していた言葉だ。当時、すでに大学生だった彼に会う前から、わたしはこの言葉が好きだった。

彼の書くものはユーモアに溢れていて、言葉遊びが巧みだった。わたしは悲しきかなユーモアセンスが皆無で、だからこそ余計に彼の書くものに惹かれていた

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7歳、カメラの楽しさを知る

7歳、カメラの楽しさを知る

失敗を恐れる子どもだった。

誰だって、失敗は怖い。一ミリも怖くない人は珍しいだろう。

ただ、わたしは過度に恐れていたように思う。理由はわからない。成功すれば褒められ、失敗すると叱られていたからなのかもしれないけれど、あまりにも極端な接し方をされた記憶はない。できたときに大いに褒められる体験はしてきたように思うけれど。



長男も失敗をひどく恐れるタイプだ。慎重を通りすぎて、やる前から「ぜっ

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火種の人

火種の人

火起こしはむずかしい。

新聞紙にマッチで火をつけて、細い枯れ枝に移す。酸素を送りながら、慎重に。無事に枝に火がついたら、その日を絶やさぬように気をつけながら、太めの枝や薪をくべていく。酸素が通るように、三角形をイメージしてくべるのだけれど、まあ、なかなかどうしてうまくいかない。そもそも、細枝に火を移すまでが困難なのだ。

苦労して火を起こしてしまうと、あとは容易に広がっていく。小さくなってきても

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レールがある道もない道も、ハンドルを握っていることに変わりはないから

レールがある道もない道も、ハンドルを握っていることに変わりはないから

noteで、「社会人1年目の私へ」というタグイベントが開催されている。

社会人を正社員としてしまうと、わたしには一年目がない。自活という意味でいうなら、この仕事を始めたときだ。はじめから社会人といっていいのだろうか…と(収入面で)もやもやしてしまう部分はあるけれど。まあ、開業届を出した年、でいいのかな。

前回のnoteでも仕事について書いているのだけれど、わたしは長らく「働くわたし」のイメージ

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仕事は楽しいですか

仕事はつらいもの。生活のため、つらいことに耐え忍ばねばならないもの。

そんなイメージがあった。子ども時代に、父から植え付けられたものだ。母は「お父さんがお仕事がんばってくれてるから、ご飯が食べられるんだよ」とよく言った。おかげで、お金のありがたみ、お金は仕事をせねばもらえないものらしいということは理解できたけれど、鬱々とした疲れを抱えて帰ってくる父の姿や「子どもはええなあ」という言葉に、当時のわ

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それ、かっこよくないよ。

それ、かっこよくないよ。

子どもは無垢ではない。大人が無垢で純粋だと思っていたいだけだ。

平気で嘘だってつくし、小狡いことも早々に覚える。大人に褒められるであろうことを、あらかじめ理解したうえで実行に移すことだってある。

かわいいと思ってもらいたい。
かっこいい自分になりたい。

その想いだけは純粋だ。「認めてもらいたい」に繋がる、まっすぐな欲求なのだと思う。



かわいい自分になろうとする子がとる言動は、褒める類

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漢方薬と早食い

漢方薬と早食い

時間が過ぎるのが本当に早くなった。

すでに4月も下旬に差し掛かってしまった。そうこうしているうちに連休がきて、平成は令和に変わるのだろう。

なんとなく気ぜわしさを抱えながら、だからこそサクッと取り入れられるものが選ばれる。

「時短」だとか「効率的」だとか、短時間で済むものが是とされる現代社会。即効果が得られるもの、即結果が出るもの、即戦力になり得る人。

好まれる「即」。どんどん、わたしたち

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半額スカート、単純なわたし

半額スカート、単純なわたし

偶然行き当たった催事にふらふらっと彷徨い込む。結果、お買い得価格でジャケットとワンピースとスカートを購入した。

店員さんに「これだと、上に何合わせるのがいいですかね?」「これ、ほかにはどう着回せますか?」と尋ねる。わからなければ聞けばいい。いや、わかっていても聞けばいい。結果、「ほおお、確かに…!」と新鮮な気持ちになる合わせ方を教えてもらえた。さすがプロ。ありがたい。

昔は店員さんに尋ねるのが

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あの頃のわたしはバカだった

あの頃のわたしはバカだった

大人になってから振り返ると、昔の自分の稚拙さが見えてしまう。

技術も知識も経験も(多少なりとも)積んだ今のわたしから見ると、過去のわたしはぐるぐるしたりジタバタしたり、やめとけばいいのに突っ込んでいって痛い思いをしてみたり、とにかく「あーあー」と思わず声が出てしまうような、そんな人間だ。

ただ、そのときのわたしにはそのときにしか見えない視界が広がっていて、そのなかでわたしはそれなりにがんばって

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子どもに読ませたくない本

気づけば、本を開いていた。出会わせてくれたのは、母だった。

興味があったのだろう、早くに文字をおぼえ、そこから先は自分でがしがし本を読むようになった。

幼稚園時代の参観の様子を残した映像には、ひとり教室の隅で絵本を開く五歳のわたしの姿が残っている。

高校時代の教師たちは、口を揃えて「本を読め」と言った。正確には、「新書を読め」だ。あとは新聞。すべて読解力など、受験のための「読め」だった。

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早起きバロメーター

早起きバロメーター

デキるビジネスマンは朝型人間だ。本や電車に掲げられている広告なんかで、何だとはなく目にしたことがある。

真偽はともかく、優秀な人は時間の使い方がうまいのは事実なんだろう。イメージでしかないけれど。



このところ、子どもを寝かしつけるのとほぼ変わらない時間に寝て、朝早く起きる生活を送っている。

昨日は4時半、今朝は5時前に起きた。理由は翌朝が早いことが1番だったのだけれど、何とはなしにいい

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死ぬほど苦しんだ先の、幸せな暮らし

死ぬほど苦しんだ先の、幸せな暮らし

日本のホテルや旅館には「4」がつく部屋がないのだと聞いたのは、何歳の頃だっただろう。「4」は「死」を連想するから、というのがその理由。本当に「4」がない部屋がどれくらいあるのかは知らない。

4と同じく、9も日本語ではあまりいいイメージを持たれない。「苦」だから。ただの語呂だけれど、日本語には連想させるものが多い。末広がりの八、とか。算用数字なら8は∞だ。ことごとく縁起がいいなあ。



そんな

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見えているのは多面体の一面に過ぎないかもしれないけれど、

見えているのは多面体の一面に過ぎないかもしれないけれど、

長男、小学校2年目のスタート。クラス替えの結果、幼稚園年少から同じクラスの友達とのクラスメイト歴を更新した。

彼らは一歳になる前からの友達で——いや、元はといえば公園で母親同士が先に友達になったのだけれど、まあそれはともかく——、いまや名実ともに幼馴染だ。ちなみに誕生日が同じで、彼の兄と我が家の次男は漢字違いの同名。縁を感じざるを得ない。

もうひとり、同時期からの友達の息子くんも同じクラスにな

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