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イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。

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日本で10年選手の作業療法士だった私がイギリスで再就職に励んだ話です。時々更新していきますので、お付き合いくださると嬉しいです。
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中高年の再就職、in 英語圏。3年目も終わりに近づく頃、サービス利用者から、「あなたは前の担当者より良かったわ」とか「ここのクリニックがベストだと聞いたわ」とか言ってくれる人がでてきて、今それを心の宝石箱に入れてしみじみと見つめている。

一浮かび、一沈む。

一浮かび、一沈む。

ずっとタイミングを見計らっているような、そうでもないようなことがある。

イギリスで作業療法士アシスタントをやり始めて三年目に入った。しかしまだアシスタントのままだ。その気になればいつでも英語の試験を受けて、書類を出して、7,8万円くらいポーンとくれてやってHCPCというイギリスの医療技術者を管轄している機関に申し込むことができる。誰かの力を借りずには入手できなかった日本の養成校からの必要書類も、

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ルービックキューブが解けるように。

ルービックキューブが解けるように。

48歳のクリスマス休暇にルービックキューブが3分で解けるようになるように、新しい年は更にYouTubeとか生成AIとかを通じた知識の共有によって、世界はどれほどスピードを上げて動いていくのだろうか。

ChatGPTに投げかける質問への回答を読むと、かつて私がその道に通じている教授の研究室のドアをノックするのが大好きだったことを思い出す。そこに人間は居ないけれども、今まで到底手が届かなかった本棚の

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作業療法士の持つパワー。

作業療法士の持つパワー。

市民よ、いったい私に何を期待しているのか。

カウンシルに勤務する作業療法士は、アシスタントであっても、毎日ジャンジャン市の財源を使っている。例えば、バスリフトというお風呂から立ち上がれない人、お風呂に安全に出入りできない人のための介護福祉機器なんか250ポンドくらいするわけで、これだと一件につき軽く3万円、ポンっと気前よく提供する。全て無料提供である。

マイナーアダプテーションという手摺りなど

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アクセンくとう。

アクセンくとう。

ああ、また来たか。これは聞き取れないやつだ。

イギリスの作業療法では、電話サービスがかなりの割合で提供されている。コロナ禍でナショナルロックダウンした際には、ほぼすべて電話評価に移行されていたらしいが、移動の時間が節約される電話サービスは今でも積極的に活用されている。

この仕事につくまで、まともに英語で電話をする機会などなかったし、そもそも電話会話というのはまた特別な言い回しがある。職に付く前

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プチ、バーンアウト。

プチ、バーンアウト。

仕事を2日続けて休んだ。

先週あたり、あの"OT Show"で一人盛り上がった後で、謎の不安感が押し寄せた。

休んだ理由は体調不良だったが、普段の不調なら2-3日で回復するところが、丸々一週間経っても回復しなかった。

相変わらずの更年期障害と思われたが、一日中頭がフラフラして一週間まるごと吐き気がおさまらないのは初めてだった。

そしてその身体症状から脱した後に、不意に不安感に襲われた。

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"OT Show" - エキスポ。

"OT Show" - エキスポ。

"OT Show"というのに初めて行ってきた。

いわゆるエキスポで、どうやら毎年開催されているらしい。

場所はNECというバーミンガム空港近くにある広大なエキシビションホールの一角。

朝の渋滞に軽くもまれて通常なら40分弱で到着するところ1時間半かかったが、まあ想定範囲内。

駐車場からは、OTらしき人の匂いにフラフラとついて行ったら無事に会場についた。これもまあ予定通り。

駅のチケット売

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イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。(13) - 記念に-

イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。(13) - 記念に-

先日の自撮りビデオが、カウンシルのオフィシャルアカウントから公開された。

やっぱりなんか嬉しかったな〜。アシスタントでもOTとほぼほぼ同じ役割を与えてくれる、というより使われる、と言うか。まあ、記念にここに載せておこう。

良かったら見てみてください。ちなみにYokoは本名で、私です。笑

イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。(11)グレード4:失敗を超える、難件を越える。

イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。(11)グレード4:失敗を超える、難件を越える。

失敗あり、難件あり、現場で日々鍛えられております。

イギリスで作業療法士アシスタントを始めて丸二年が経ちました。

「仕事はどう?」

と知り合いに聞かれ、未だに「まあ、慣れてきた」という返事をして、
「まだそこ?」と笑い合えるくらいになりました。

しかしこれ、20年以上この仕事に就いている同僚でさえ、
「ずっと学生みたいに学んでる」
という仕事なので、ほぼほぼ私の感覚は間違ってはいないわけで

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イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。 (12) グレード5 - 不安を超えたその先に

イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。 (12) グレード5 - 不安を超えたその先に

さて、

もうそろそろいいんじゃないの、

「大丈夫よ。」

と言っても。

イギリスでOT アシスタントももう三年目に突入したんだ。
いやあ、ここまでホント長かった。

勝手にグレード付けて自分の再就職過程を段階づけてきたけれども、
とりあえず、この5の領域に入ったところで落ち着こうかなと思う。

イギリスでは、楽器をひく人たちのためにグレードという認定基準があるけれど、最高グレードは8で、規定

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イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。(10)グレード3 - 中高年の再就職

イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。(10)グレード3 - 中高年の再就職

中高年の再就職に、体力づくりは欠かせない。

私の住むハーボーンという街は、大きな総合病院と大学を持っていることもあり、教育的で知的な人が割かし多く住んでいると思われる。というのも、基本的にそういう人たちは活動性が高く、健康志向で、そうなると、朝夕ジョギングしている人、自転車で車道を走りながら通勤する人を近所で沢山見受けるのである。

そんな優れたエネルギーの集まる街の片隅で、私は40歳後半でしか

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イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。 (9) 作業療法士のやりがい

イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。 (9) 作業療法士のやりがい

今日もお付き合いありがとうございます。イギリスでの作業療法士アシスタントとしての経験を記録しています。

今回は、就職して3ヶ月目くらいで、まだその業務に悪戦苦闘しつつも、じわじわそのやりがいを思い出してきた頃の話を載せておきたいと思います。



新人でも容赦なく一日2件の訪問評価をこなすことを要求される日々。はぁ。ムリすぎる。

2件というと少ないように聞こえるけれど、移動時間、評価、評価

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イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。(8)市役所で働くということ

イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。(8)市役所で働くということ

さて、一日一日、一ケースごとに経験値を上げられるのがこの仕事の良いところ。作業療法士"アシスタント"と言えど、毎日単独でしかも新患ばかりを受け持つのでとにかく広く浅く多くのことを学びます。

それに加えて、市役所勤務というのは意外に面白いことも分かってきました。

地方自治体という組織は、ハード面では、基本的に社会福祉、学校、住宅、計画、廃棄物収集などのサービスを提供する公的機関であります。

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イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。 (7) OT業務紹介

イギリスで作業療法士"アシスタント"、はじめました。 (7) OT業務紹介

さて、遅まきながらここでイギリスの某市役所勤務の作業療法士(OT)業務についておさらいしておこうかと思います。

市役所勤務のOTはイギリスの医療機関であるNHS勤務の作業療法とは雰囲気がかなり違うという噂です。ここでは出来るだけ正確な情報を紹介しようと思いますが、間違っていたらごめんなさい。

まずは教育課程から。

イギリスでOTとして働くには、大学の作業療法学科(3年)または修士課程(2年)

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