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書評のたぐい

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本や小説や文芸について語った回
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本屋で時間を止める

本屋で時間を止める

前々から何度か言っていたことですけれど、
昨今の文芸への失望が私には抑えられません。

しかし本屋にはよく行きます。

色々落ち着いたので、この間久しぶりに本屋に行ってきました。
売れてまっせと言わんばかりの平積みのものから、本に挟まれて擦り潰れそうなものまで。
題名の文字列をひたすら目で追って、今私が読むべき本はないかと探して回る。
目が留まると、手に取って目次だけパラっと見ます。

と、いうつ

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浅野いにお『おやすみプンプン』再読。読むたびに救いがなくなる漫画。

浅野いにお『おやすみプンプン』再読。読むたびに救いがなくなる漫画。

お久しぶりです。
久しぶりの投稿一発目、何を書こうかなぁと思って悩んでいたのですが。

色々やらなきゃいけないことが山積していて手につかない中で、『おやすみプンプン』を手にとってしまった。
そしてちょっと思うところがあって溢れていて。
それを書こうと思います。

目次代わり
■プンプンパパとの関係
■さっちゃんのエゴ
■ 翠ちゃん、蟹江妹、矢口先輩のオナニー
■ 宍戸社長、みすず、蟹江姉が人間とし

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村田沙耶香『消滅世界』読んだ。酷評。

おととい妹に、「これ読んで感想ちょうだい」と件の本が送られてきました。

読了したので、感想考察つらつら好き勝手書いていきます。
(余談ですが私は本や論文読むのがめっちゃ早い。ほぼ唯一の特技です。)

割とボロクソ書きます。
また、ネタバレもします。読了した前提で書きます。
嫌な人、未読の人はブラウザバック推奨です。

読んだ人は、もし私の解釈に読み違えがあったら是非教えてほしいです。
(できるだ

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自己紹介代わりに好きな本を羅列する

自己紹介代わりに好きな本を羅列する

けっこう本読んできたけど、中でも生涯読み続けたい本だけ厳選して紹介します。

・ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』
→哲学書。私の専門。バイブル。冒頭一行で世界の画素が上がる。色彩が豊かになる。世界中の痛みをじかに感じる。最後の無についての話を読み終わった時、不思議と爽やかな気持ちになっている。

・ショーペンハウアー『読書について』
→哲学者のエッセイ集。結論だけ言うと「悪書をできるだ

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村上春樹『ノルウェイの森』解釈とか考察とかキャラクターの位置づけとか

村上春樹『ノルウェイの森』解釈とか考察とかキャラクターの位置づけとか

長くなったから目次をつけたいんだけど、どうやってつけるんだろ。
まあいいか。長いです。

10年ぶり(たぶん。中学生の時読んだので。)
に村上春樹の『ノルウェイの森』を読み返し、色々思うところがあったので、それを色々書いてみようかと思いました。

思うところがあった、というのも、
私は院での研究でショーペンハウアー哲学を中心に研究しているのですが、
自分の研究に「生と死」がおよそ主題として通底して

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昨今の文芸に失望しちゃったんだ

昨今の文芸に失望しちゃったんだ

数年前のことになりますが、話題の本を手に取って読み、すっかり失望してしまったことに関して書きます。

その本だけがつまらんということもあるのかもしれないけど、たぶん根本的な問題はその本の外にある。
だから名指ししませんけども。
(そもそもその本の著者にも読者にも角が立つし)

まずいきさつですけど、最近本読んでないなぁと思ったんです。
学校で課題になってる哲学書や論文や書籍ばかり読んでいて、小説や

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