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空想お散歩紀行 物語の道

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空想の世界の日常を自由に描いています。
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2023年7月の記事一覧

空想お散歩紀行 旅の目的

空想お散歩紀行 旅の目的

夜になると、むしろ昼間よりも賑やかになっている気がする。
目の前の焚火の薪がはぜる音。周りの草むらからは虫たちが鳴く声が聞こえてくる。
村を出発して早一ヶ月。今日まで、誰にも会うことはなかった。
村の伝承通り、もう世界には他に人がいないのだろうか。
いや、そうとは思えない。今日私は見たのだ。
今、私の目の前にそびえ立つ古代の物と思われる遺跡。
夜だから、ただ真っ黒に染められて、巨大な壁にしか見えな

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空想お散歩紀行 図書館防衛戦

空想お散歩紀行 図書館防衛戦

その建物は外から見ると、まさに要塞以外の表現が見当たらない。
分厚く高い石造りの壁には、同じく鉄製の重厚な扉が一つだけ。そこが唯一の出入口。
そこをくぐったとしても、さらに壁と扉のエリアが何重にも続いていた。
「本当にヤツがここに来るんですか?」
この要塞の所長、ラングは不安そうな表情を取り繕うともしなかった。禿げ上がった頭と整った黒ひげはしっとりと汗を帯びている。
大柄な体格とは逆に小心な彼の隣

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空想お散歩紀行 優秀なAI、その魂

空想お散歩紀行 優秀なAI、その魂

その日、テレビからネットに至るまで様々なメディアが取り上げたのは、ある一つの話題だった。
AI搭載型人型ロボットの発表。とある科学者が開発した物だが、これ自体は特に珍しい話では無い。これまでも新作ロボットの発表はいくらでもあった。しかし今回のそれは格が違ったのだ。
お披露目の発表会に来た、メディア関係者やロボット業界関係者たちがこぞってぶつける質問に対して、このロボットは完璧な受け答えをしたのだ。

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空想お散歩紀行 その捜査犬からは逃げられない

空想お散歩紀行 その捜査犬からは逃げられない

そのテレビ局の朝のニュースには人気のコーナーがあった。
はたらく動物たち。
世間のいろいろな所で働いている動物たちを毎日一匹ずつ紹介していくコーナーだ。
駅の改札口で通勤客を見守る猫や、お店に来た人を接客する犬などが出てくる。
今回紹介されるのは、警察犬のドーリーだ。
空港が彼の仕事場で、そこで日々犯罪者に目を光らせて、いや、鼻を利かせている。
空港は毎日いろいろな人が出入りしている玄関だ。
特に

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空想お散歩紀行 超古代魔法を求めて

空想お散歩紀行 超古代魔法を求めて

何が人として成功していると言える条件なのか。
お金だろうか?地位だろうか?
違う。今の世の中で最も優れている人間というのは、魔法がどれだけ使えるか、ということだ。
どれだけ数多くの魔法が使えるか。どれだけ一つの魔法を極め、その極地に立てるか。どれだけ誰も使うことが出来ない魔法を使うことができるか。
魔術師にあらずば人にあらずとまで言うやつが珍しくないのが今の世界。そしてそれが現実である。
だから私

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空想お散歩紀行 ウラシマバケーション

空想お散歩紀行 ウラシマバケーション

休暇はだれもが欲しいものである。
何日も、何週間前からも楽しみにして、何をしようか、どこへ行こうかと頭の中では既に休暇を迎えている。
そんなふうに恋焦がれ、待ち焦がれた休暇であるが、実際に訪れると、何と言うことか、その期間だけ世界の理が変わってしまったかのように時間が駆け足で通り過ぎていく。
あれだけ予定を立てていたことが、半分も実行できずに休暇が終わってしまう。
休暇が始まる前のワクワクよりも、

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空想お散歩紀行 それは最初からここに

空想お散歩紀行 それは最初からここに

どこかに自分の心を満たしてくれる景色があるはずだ。
男は愛用のカメラを一つ持って旅に出た。
広大な草原、雄大な山脈、見る者を圧倒する景色を見つけては写真に収めてきた。
初めて見る景色に何度も出会ってきた。でも、彼の心はどこか満たされない。
きっとさらなるどこかに、さらなる感動があるはずだと信じて度を続けた。
究極の場所だという情報を手に入れたら、可能な限り空に近い所にも行ったし、可能な限り海の底に

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空想お散歩紀行 宇宙廃墟探検隊

空想お散歩紀行 宇宙廃墟探検隊

栄える文明があれば、滅びる文明もある。
文明なんて大げさな言い方をしなくても、毎日のように新しく生まれるものがあれば、消えていくものがある。
廃墟もその一つ。完成したばかりの頃は新しい時代や生活の始まりを予感させただろうが、今ではそれも昔の話。朽ちた柱や壁だけが、思い出の欠片と共に残っている。
そしてこの広い宇宙には、そんな廃墟がまさに星の数ほどあるわけで、さらにはそんな廃墟が好きな物好きもそれな

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空想お散歩紀行 スターマイン・デュエル

空想お散歩紀行 スターマイン・デュエル

「旅人さん、いい時に来たね」
旅人のスタルは、屋台のオヤジから串焼きを受け取る時にそう言われた。
彼がこのシュテールの街を訪れたのは偶然で、ちょうど祭りの時期だったようだ。
彼が街に到着したのは昼間だったが、その時から既に街中に屋台が並び、建物の間には色とりどりの旗が吊るされ、そこかしこから歌や楽器の演奏が聞こえてきていた。
その騒ぎは日が沈んでも静まることなく、むしろどんどん熱は上がっていった。

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空想お散歩紀行 希少で凶悪な石

空想お散歩紀行 希少で凶悪な石

リオンの街には、世界の各所から商人たちが集まる商売の聖地とも言える場所だ。
ここに無い物は無いとまで言われるほど、高級品から日用雑貨まであらゆる物が揃っている。
一人の男がとある店先で商品を手に取り、品定めをしていた。
「うーむ、これはなかなか、いや、何とも不思議な・・・」
男は独り言をブツブツと言いながら、手に持った物を頭上にかざして仰ぎ見たり、または眼球に触れそうなぐらいに近づけて見たりしてい

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空想お散歩紀行 磨いて磨いて

空想お散歩紀行 磨いて磨いて

一つのことを繰り返す。ただただひたすらに。
最初はただの土だった。
それをまん丸に固めて、磨いて磨いてピカピカにする。
ピカピカになったので友だちに見せたら、友だちもみんな同じように土団子を作り出した。
そうしたら、自分よりもピカピカにしてきた友だちがいた。
それまで綺麗だと思っていた自分の団子が急に大したことないように思えた。そして、まだまだもっと磨けるはずだと思い、さらに念を込めて磨いていった

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空想お散歩紀行 社会人の夏休みは

空想お散歩紀行 社会人の夏休みは

もうすぐ夏休み。
学生であれば誰でも、予定があろうと無かろうと浮足立つ時期である。
しかし、社会人ともなるとそれほどでもない。
世間が夏に浮かれようが、仕事は毎日あるからだ。
しかし、彼らには彼らなりの夏休みがある。
短い期間ではあるが、それでも夏休みには違いない。
「今年の夏はどっか行く?」
「せっかくだから出掛けようと思ってるよ」
職場で二人の男が昼休みに話をしていた。
「やっぱお盆?」
「そ

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空想お散歩紀行 握手会は手の中の物語

空想お散歩紀行 握手会は手の中の物語

今日は数ヵ月に一度の握手会の日。
外はクソ暑いというのに朝から並んでるやつらが何人もいる。私は絶対にやりたくないが、この握手会の主催者である以上、こういうやつらがいてくれないと盛り上がらないのも事実である。
そして開門。入口が開くと同時に熱気と一緒になだれ込んでくる人の群れ。
「はいはい、一列に並んで!ルールが守れないやつは追い出すよ!」
大きな声を出して連中を誘導する。まったく毎回毎回同じことを

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空想お散歩紀行 夜の中で忍び、運ぶ

空想お散歩紀行 夜の中で忍び、運ぶ

古来より影に闇に、活動する者たちは存在した。
この国では彼らは忍びと呼ばれ、文字通り決して表に出ることは無く、ひたすら裏方に徹している。
彼らの仕事は、諜報や暗殺などどす黒い仕事ばかりではない。
重要な物を運ぶ、それも大切な仕事だ。
今回の仕事も彼らにうってつけのものだった。
昼間は日の当たらないところで息を潜ませ、日が落ちたら夜の闇と同化して進む。
太陽が顔を出さぬうちに、一刻も早く、一歩でも速

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