空想お散歩紀行 磨いて磨いて
一つのことを繰り返す。ただただひたすらに。
最初はただの土だった。
それをまん丸に固めて、磨いて磨いてピカピカにする。
ピカピカになったので友だちに見せたら、友だちもみんな同じように土団子を作り出した。
そうしたら、自分よりもピカピカにしてきた友だちがいた。
それまで綺麗だと思っていた自分の団子が急に大したことないように思えた。そして、まだまだもっと磨けるはずだと思い、さらに念を込めて磨いていった。
誰よりもピカピカになったと思ったら、他の誰かがそれを追い抜いていく。それをまた追い抜き返す。それを何回も何回も繰り返し、その度に団子は光り輝いていった。
そして友だち全員の土団子がこれ以上ピカピカにならなくなった。それはどれもが同じだけの輝きを放っていた。
誰が一番か競争していたはずの勝負は、いつの間にかみんなで一緒にお互いを讃え合っていた。
それから、この光を放つ塊をどうしようか話し合って、みんなで空に浮かべることで意見が一致した。
空流しの夜。みんなの土団子が空へと昇って行き、その日夜空の星が何個か増えた。
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