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『牛乳をのまなくていい』という牛乳屋のブログ

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27才で実家の牛乳屋を継ぎ、今年で6年。営む会社は創業からもう43年になる。 今まで国や世間の言う牛乳の効能の信じ、反対意見を認めず、目を背けて事業を営んできた。 しかし、本…
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記事一覧

【後日談】ある小学校の校長にいわれた衝撃的な言葉

【後日談】ある小学校の校長にいわれた衝撃的な言葉

 『子ども達に商売の絡む話はやめてくれ』 と、言われつつ、小学四年生から質問の銃弾を雨あられと浴びせられ、結局、作った原稿以上のものを聞き出されてしまった僕。

 後日、当時その小学校に息子が通っているという社員から聞いた話に、耳を疑った。

『あの校長先生、親や子どもから人気あるんですよ。昼休みに子どもと遊んでるのもしょっちゅうで。子どもと一緒に登校したり、めっちゃ良い先生ですよ』

 良い先生

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ある小学校の校長にいわれた衝撃的な言葉

ある小学校の校長にいわれた衝撃的な言葉

『子どもたちに、殺菌方法とか、産地とか、商売が絡むような話はやめてください』 僕が牛乳屋になって一年目の冬。挨拶に行った校長室でいわれた言葉だ。理由を聞いた。
親が牛乳関係の仕事をしていると、どちらが正しいかという揉め事の種になると、そう言われた。

 この話を進める前に、私が置かれていた状況について話をした方が理解しやすいと思う。

 先代の後を継ぎ、牛乳屋になったのは五年前の九月のことだった。

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解呪のことば『もう飲まなくていいんだよ』

解呪のことば『もう飲まなくていいんだよ』

 僕には、まるで有名な画家の書いた1枚の絵のように、脳裏に焼きついて離れない光景がある。

 教室から溢れ出すごちそうさまの声、40余りの机と椅子が一斉に教室の奥へと片付けられ、弾けるように狭いドアから子どもたちが勢いよく出ていく。

 しばらく経ち、ふと教室に立ち戻ると女の子がひとり、ぽつんと座っている。40人分の机と椅子がぎゅうぎゅうに女の子を押し込めている。女の子の目の前には1本のビン牛乳。

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伝家の宝刀『学校給食』にかけられていた呪い

伝家の宝刀『学校給食』にかけられていた呪い

 戦後にアメリカ指導のもとで導入された学校給食は、未来の担い手である子どもを栄養失調から救い、農家の生活を向上させた。

 終戦直後の日本にとって、暗雲を切り裂くひと振りの剣、まさに光輝く宝刀だった。 しかし、戦後から70年の時が経ち、今や世界でも指折りの豊かな国になった日本。貧しかった頃には気付かなかった呪いが、子どもたちをからめとっていく。

 呪いの名は『入札』。 入札とは、複数の業者に納入

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脂肪のない牛乳がまずいのは、元の牛乳がまずいから

脂肪のない牛乳がまずいのは、元の牛乳がまずいから

牛乳は脂肪分が少ないとまずい、というのは多くの人に刷り込まれた定説だ。

これが定着してしまった理由が2つある。

ひとつは、市販されている脂肪分の低い牛乳が、悲しいことに事実まずいからだ。美味しい無調整牛乳をつくる牛乳屋はあっても、美味しい低脂肪牛乳をつくる牛乳屋はほぼゼロ。

脂肪分(生クリーム)と脂肪のない牛乳(脱脂乳)の処理に困るからだ。

生クリームは単体で売ることもあるが、脂肪率を調整

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牛乳は自然に反しているか

牛乳は自然に反しているか

 牛乳反対派が書く著書やブログに必ず出てくる言葉がある。

『牛乳は仔牛のための飲み物だから飲んではいけない』これを最初に言い出したのは誰だろう。それを鵜呑みにしたおせっかいな人が、わざわざ僕に教えてくれる。ーーー牛乳は自然に反している。

とにかく、そんな人に付き合いたくないので、愛想笑いで右から左へgo to オーガニックの陳列棚なのだが、おせっかいな人はなかなか退いてくれない。

僕を議論で

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宮崎県、独自の緊急事態宣言を発令!新型コロナで酪農はどう変わる?

宮崎県、独自の緊急事態宣言を発令!新型コロナで酪農はどう変わる?

新型コロナウイルス『COVID-19』が中国武漢で発見されてからもう一年が経った。

酪農・乳業だけでなく、全業界で大きな打撃を現在進行形で受けている。COVID-19と戦って勝つと言っていた世界の国々も、その驚異的な感染力を前に、戦争から共存へとシフトした。

企業や農家を含む事業主たちもそれに応じて、変革を迫られることになる。

ただここで注釈しておきたいのは、政府・行政→事業者という指示や要

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牛乳に含まれているホルモンで乳ガンになるの?

牛乳に含まれているホルモンで乳ガンになるの?

妊娠している乳牛から搾乳された牛乳には、大量の女性ホルモンとインスリン様成長因子IGF-1が含まれているために乳ガンを誘引する、という説である。

これは本当なのか?

この説も、先のカルシウムが骨粗鬆症の原因と言う説と変わらず、『分からない』だ。カルシウムの説の根拠も乏しいものだったが、

これは日本人での検証も行われていないので、さらに根拠が乏しいものとなっている。
戦後、牛乳を飲む量が増えた

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日本人は乳糖不耐症なのか

日本人は乳糖不耐症なのか

乳糖不耐症とは、牛乳に含まれる乳糖と言われるタンパク質を分解する酵素を体内に持っておらず、栄養分をうまく吸収できないために、腹痛や下痢などの諸症状のことを呼ぶ。

日本人は乳糖不耐症なので、牛乳と相性が悪いという。

確かに日本人に対して実験を行っている。しかし、この実験に使う乳糖の成分量は、

乳糖30g→約牛乳700ml と 乳糖60g→約1200ml分を一度に体に摂取させる。これを見て思った

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カルシウムは必要か

カルシウムは必要か

子供の頃から耳にタコができるほど聞かされた『牛乳飲まないと背が高くならないよ』。カルシウムが骨を強くし、背が高くなるとは果たして本当なのか。

骨が強くなるとはどういうことか?一般的に骨が強くなるとは、骨の強度が増す、または骨が太くなるということだろう。

実は、骨は常に壊されて、作られるを繰り返している。これをリモデリングと呼ぶそうだ。

新しい骨を作る際に材料となるカルシウムとビタミンDが不足

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『牛乳をのまなくていい』と言う牛乳屋のブログ ~1~

『牛乳をのまなくていい』と言う牛乳屋のブログ ~1~

はじめまして。27才で牛乳屋を継ぎ、もうすぐ6年、営む牛乳屋43年になった。今まで国や世間の言う牛乳の効能を信じ、牛乳への反対意見を認めず、目を背けて事業を営んできた。

しかし、本当に『牛乳』は半強制的に飲まされるべきものなのか。行政や農協と付き合う中で、ふつふつと沸いていた疑問にはじめて向かい合うことを決めた。

そして、牛乳を肯定している書籍と否定している書籍を読み漁った結果辿り着いた、自分

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