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異国への旅のお部屋

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ヴェネツィアの旅人

ヴェネツィアの旅人

図書館の閲覧席に腰を下ろしたウサギは、隣で夢中になって本を読んでいるカメを見つめ、小さく微笑んだ。音を立てないように気を配っていると、ふとカメが顔を上げた。

「ヴェネツィアに行ってみたいな」
カメのひと言に、ウサギは少し驚きながら聞き返した。「急にどうしたの?」 「この本の舞台がヴェネツィアなんだ」カメの目には、夢見るような輝きが宿っていた。

「この『ヴェニスの商人』だけじゃなくて、シェイクス

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心の距離が近い国

心の距離が近い国

静かな図書館の書架の前で、ウサギは外国の旅行ガイドをじっと見つめていた。
「行きたいな、外国。でも、そう簡単には行けないわよね…」彼女はそう呟いて、深いため息をついた。

「外国に行かなくても、異国の雰囲気を感じられる場所は案外近くにあるんだよ」ちょうど通りかかったカメが、穏やかな声でウサギに話しかけた。

図書館を出た二人は、代々木上原で電車を降り、井の頭通りを歩き始めた。しばらく歩いていると、

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水しぶきとの抱擁

水しぶきとの抱擁

「おはようございます!今日もウサギのティースプーンのお時間がやってきました」と、ウサギはいつものようにラジオ番組を始めた。今日のテーマは「旅のびっくり体験談」で、リスナーから寄せられた様々なメールを前に、彼女の声は弾んでいた。

「次にご紹介する体験談は、ラジオネーム『図書館大好きなカメ』さんからです。『僕のびっくり体験は、青森から北海道まで泳いだことです』とのことです。えっと、北海道って泳いで行

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海と砂上の楼閣

海と砂上の楼閣

その夜、ウサギとカメは首都高速道路を走り続け、羽田空港に向かっていた。「今日はアースディね。異国の地と会話ができるような場所に行きたいわ」図書館からの帰り道にウサギが呟いた。そんな彼女に、カメは静かに提案した。「空を舞う飛行機を見に行こうか?」

二人がたどり着いた国際線ターミナルの展望デッキは珍しく人がまばらだった。ゆっくりと滑走路に目を向けると、異国の航空機が地上から離れる瞬間を捉えた。「見て

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ギリシャの兵士のように

ギリシャの兵士のように

その日、ウサギとカメは駒沢公園のランニングコースを軽やかに走っていた。二人は一心不乱に5周回した後、給水のために小さな休憩を取ることにした。ウサギがペットボトルのキャップを開ける音が静かな公園に響く中、ふと彼女は話し始めた。

「ねえ、マラソンの原点って知ってる? 私はマラソンの始まりの地を走りたくて、アテネにある古い競技場へ行ってきたのよ。それはもう、歴史を感じる神聖な場所だったわ」とウサギは目

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逃げられなかった二人

逃げられなかった二人

図書館中庭のテラス席で目を細めて空を見上げるウサギは、春風に髪をなびかせながら、かつての冒険を、もう一つ思い出していた。「ポンペイの遺跡を訪れたときのことも忘れられないわ。火山灰に埋もれていた古代の街。あの時も私は、考古学者になる夢を膨らませていた」

カメは静かに彼女に視線を送った。「確か少し前に、ポンペイの遺跡で保存状態の良い戦車が発掘されたね。紀元79年のヴェスビオ火山の噴火により一瞬で火砕

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古の風を読み解く人

古の風を読み解く人

その日、ウサギは図書館の分類番号242の書架の前で腕を小さく組みながら、エジプトに関する本を探していた。やがて書架から一冊の本を抜き取ると、自動貸出機で貸出処理をした後、中庭に足を向けた。

中庭に辿り着いたウサギは、テラス席でゆっくりとページを捲っていたカメに、ぽつりと話し始めた。「ある時、私は考古学者になりたかったの。カメくんがサピエンス全史の話をしていた時に思い出したわ」

カメが静かに先を

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自分なりの感性で

自分なりの感性で

ライブの帰り道、まだ興奮が冷めやらないウサギは推しメンマフラーを首に巻いたまま、ふと口にした。「私はある時、音楽の世界で生きてみたいと思ったの。そこで、音楽の都ウィーンへ旅をしたわ」

彼女の横を歩いていたカメは、静かに驚きを感じていた。「初めて聞いたよ。ウィーンで音楽の勉強をしたんだね」カメがそう言うと、その言葉を聞いたウサギは、「言葉が通じない世界で音楽を勉強することは考えていなかったわ。私が

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星を観るために出来ること

星を観るために出来ること

その夜、ウサギとカメは街の灯りから離れ、小高い丘から夜空を見上げていた。周りを静寂がそっと包み込む中で、二人は星の光に導かれるように無限の宇宙へと思いを馳せていた。まるで星々のささやきが聞こえるかのように言葉を交わさずに、ただ静かに宇宙の広がりを感じていた。

「ウサギさんは知ってるかな? もうすぐ南米のチリに、世界で最も高い場所に建つ天文台が完成するんだよ。その標高はなんと5,640メートルもあ

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異国につながる海

異国につながる海

山下公園を後にしたウサギとカメは、海を横目で眺めながら、港の見える丘公園へと足を向けた。「ベイブリッジの向こう側は、もう太平洋だね」カメがそう言うと、ウサギは長い髪を風に揺らしながら目を細めた。「海はいつ見ても心を開放してくれるわ。遠くの国が少し手を伸ばせば届きそうに感じるの」

彼女の隣を歩きながら、カメは遠い記憶を辿っていた。「海は遥か異国の海とつながっている。ワイキキビーチもそうだ。あの時、

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