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海と砂上の楼閣

その夜、ウサギとカメは首都高速道路を走り続け、羽田空港に向かっていた。「今日はアースディね。異国の地と会話ができるような場所に行きたいわ」図書館からの帰り道にウサギが呟いた。そんな彼女に、カメは静かに提案した。「空を舞う飛行機を見に行こうか?」

二人がたどり着いた国際線ターミナルの展望デッキは珍しく人がまばらだった。ゆっくりと滑走路に目を向けると、異国の航空機が地上から離れる瞬間を捉えた。「見て、あの飛行機はどこの国へ行くのかしら?」ウサギの問いは空中に溶け、二人はその飛行機が星空に消えるまで、静かに見守り続けた。

ウサギはふと、遠い国の話を始めた。「私が行ったことのある一番遠い国はきっとブラジルだわ。ニューヨークを経由して行ったから、一日では到着しなかったの」 彼女は呟くと、また一機、飛行機が旅立つのを見送った。

「ブラジルは地球の反対側に位置しているからね。東京からリオデジャネイロまでは約18,555キロもある。地球は本当に広いよね」カメはゆっくりと言葉をつないだ。

ウサギは滑走路を見つめながら、記憶を辿っていた。「リオで心に残っているのはコパカバーナの海ね。ビーチは人で賑わっていたけれど、泳いでいる人はほとんどいなかったの。それでも私はあの広いビーチを要塞まで泳いだわ。海から戻ってくると、今度は砂で作られた美しいオブジェを見つけたわ。ずっと見ていたらお金を請求されそうになったけどね」

「また行きたいな」ウサギは独り言のようにポツリと呟いた。飛行機が空高く飛び立つたびに、その姿が新たな冒険への誘いのように感じられた。

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