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私の住む街での日々を綴ります。 基本的には紀行ですが、時には想像の出来事を挿入します。そのようにして、ここでは限られた場所の中での出来事をどれくらい記述できるかの散文の試行をして…
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#紀行

街 (12) 〜続く工事と車達

 崩れた橋の根本の修復工事は進んではいた。  だが、工事を進めてみると、崩れた部分だけで…

石の声
1年前
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街 (11) 〜街の花を知る男

 町内会館で働いている主婦達に、時々ぼんやりとした男達がくっ付いて来る。彼女達の夫だ。彼…

石の声
1年前
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街 (10) 〜空き家の音

 井上さんはといえば、街のPRに乗り出していた。といっても、肩に力の入った感じでは全く無…

石の声
1年前

街 (9) 〜町内会館と地元の高校

 町内会館の食堂の営業時間が伸びたので、街の高校の生徒達が部活帰りに食べに寄るようになっ…

石の声
1年前

街 (8) 〜ホームの女と山の男

 タエさんとあの男のことが気になって、あれから何度か、私は山に登り、変電所に行ってみた。…

石の声
1年前

街 (7) 〜町内会館のギャラリー

 町内会館の屋内は、さながらギャラリーのようになった。  井上さんは益々大忙しだった。マ…

石の声
1年前

街 (6) 〜町内会館の変化

 町内会館は、山を切り開いて開発されたこの地に最初に入った、今の長老である住民達が、ここを単なる建物の集まった場所ではなく、街として構えるために作った館で、戸数も少なかった当時、彼らがそれぞれかなりの金を出し合い土地を買って建てたのだった。そのため、それは彼らにとっては小さからぬ達成を象徴する特別に大切なものであり、そのことが、彼らにそれについての特権を与えているように見えさせていた。毎年町の全戸が払う、この辺りの他の町と比べるとかなり高い町内会費も、多くが、彼らの意向を反映

街 (5) 〜老人ホームの女

 ホーム側の輸送担当との打ち合わせは日々かなり密にしなければならなかったので、私はホーム…

石の声
2年前

街 (4) 〜お金をあげてみる

 そうなると、自然にホームと街の距離感が薄れていった。それまでは、街との間に特にフェンス…

石の声
2年前
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街 (3)  〜外への糸

 外との流通をどうするかの話し合いが町内会で持たれた。通勤や通学への障害は大きくはなかっ…

石の声
2年前

街 (2) 〜閉じられた街

 次の日も歩いた。その日は、最初からそこを目指して、前日に麓を廻った山に向かった。登り口…

石の声
2年前

街 (1) 〜沈んだ街

 外出控えの日々の中で、元々閑静な住宅街なのが、今は人だけではなく、車も道も家も木々も草…

石の声
2年前