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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2023年11月の記事一覧

千葉の小学校の塾講師活用に関して、教育委員会の対応は絵に書いたような支離滅裂、厚顔無恥

千葉の小学校の塾講師活用に関して、教育委員会の対応は絵に書いたような支離滅裂、厚顔無恥


千葉県の小学校の取り組み 千葉県教育委員会は2023年度、児童の学力向上のため県内3つの小学校で塾の講師による授業を試験的に導入しており、その授業がマスコミに公開されたというニュースが報道されていました。

小学校の教員の算数指導に関しては以前から方々で問題になっており、今回は働き方改革と合わせた形での試験的導入ということのようです。

塾講師は教員よりも授業が上手いか?こうした取り組みの前提と

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東福岡学園が設置した「UNITED FUKUOKA」の可能性と希望

東福岡学園が設置した「UNITED FUKUOKA」の可能性と希望


東福岡学園とは東福岡学園は福岡県福岡市博多区に所在する学校法人で、東福岡高校、東福岡自彊館中学校、自由ヶ丘幼稚園の運営母体です。

東福岡高校は福岡県内の高等学校で最も生徒数が多いマンモス校であり、スポーツの強豪校としても全国的に有名です。

数少ない男子高としても九州では有名でしたが、2025年度から共学化するということが話題になりました。

九州大学などの難関大学への進学実績も高く、文武両道

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トイレ掃除まで学校で教える違和感と「便教会」の薄気味悪さ

トイレ掃除まで学校で教える違和感と「便教会」の薄気味悪さ


「便教会」という団体トイレ掃除を素手ですることに教育効果を見出す人たちがいます。

トイレ掃除を素手で2時間することで学校教育の問題を解決しようという団体、「便教会」についての記事です。

この「便教会」は、腰を落とし目線を低くして、信念を持ってトイレ掃除を行うことで、多くの問題を抱える教育現場を変えるという目的のもと活動を実践しているそうです。

発起人であり元高校教諭の高野修滋氏の言葉が記事

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1人1台パソコンを自己負担にする群馬県は参考にすべき事例であって批判すべきではない

1人1台パソコンを自己負担にする群馬県は参考にすべき事例であって批判すべきではない


GIGAスクールと端末の支給問題コロナ禍におけるオンライン対策によるGIGAスクールの前倒しが行われて早二年、そろそろ端末の切り替え時期に入りつつあります。

個人で購入したものは別ですが、自治体や学校で支給された端末の場合は次の切り替えに関して頭を痛める担当者も少なくないと聞きます。

2024年度の概算要求においてはこの更新費用を盛り込む予定となっていますが、今後もこの対応が恒久的に行える保

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高校生の文理選択という制度の課題と選択指針

高校生の文理選択という制度の課題と選択指針


文理選択という制度の問題点日本中の多くの普通高校において高校1年生から2年生に進級する際に文理選択を行います。

このページを見ている人ならばおそらく当然知っていることであり、同時に選択で悩んだ、という人も結構な数いるのではないでしょう。

そもそも論ではありますが、私個人としては文理選択という制度そのものの存在意義に関して疑問に感じています。

なぜならば、高等学校で学ぶ内容の多くは大学進学を

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厚労省「睡眠指針改訂(案)」に学校始業時刻の指針を出さない文科省

厚労省「睡眠指針改訂(案)」に学校始業時刻の指針を出さない文科省


「睡眠指針改訂(案)」厚労省は今月、「睡眠指針改定(案)」を公表し、健康な生活を維持するための睡眠時間の基準などを設定しました。

これによると大人でも6時間以上、小学生は9時間から12時間、中高生でも8時間から10時間の睡眠を推奨するということが書かれています。

学校始業時刻との兼ね合いところが多くの学校の始業時刻はこの睡眠時間を可能とするシステムになっていません。

例えば小学校の場合始業

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「ICT授業は楽しい」という感想はICT授業の不浸透を示すバロメータ

「ICT授業は楽しい」という感想はICT授業の不浸透を示すバロメータ


「ICT授業は楽しい」ベネッセがICT授業に関する調査を行ったところ、ICT授業が楽しいという児童生徒の割合は8割に上るという記事が上がっていました。

記事内にあるように成績の上下を問わず、利用頻度の高さが「楽しい」という割合と相関関係があるようです。

ICT授業の浸透を示す結果ではないこうしたデータを見て「ICT授業が普及したから増えた」という感想を抱く人は決して少なくないでしょう。

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タブレット貸与を行政が行うというシステムはいずれ破綻する

タブレット貸与を行政が行うというシステムはいずれ破綻する


タブレット貸与ICT教育の推進とGIGAスクール構想の早期実現を目標として日本中の多くの学校でタブレットの貸与が実施されました。

この施策自体は十分に評価できるもので、特にコロナによる休校に対してオンライン授業を実施できたことなどその成果は小さくありません。
(間に合わなかった自治体もあるようですが、早めに普及した学校での活用は十分に教育効果があったようです。)

この時期に貸与した、という実

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「国立大受験宿泊難民」問題にどう対処すべきか

「国立大受験宿泊難民」問題にどう対処すべきか


令和6年2月24日(土)国立大学の前期試験の日程は曜日や祝祭日に関係なく、2月25日(一部面接などは2月26日)と決まっています。

これは国立大学協会が統一日程として毎年定めるものですが、令和6年度入試も例年通りとなっています。

しかし、来年は大きな問題が存在します。それは2月25日が日曜日であるということです。

3連休の中日この問題は令和に入ってから指摘されてはいました。

今上陛下の誕

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受験勉強という苦役に耐えることに価値を見出す文化が「ゼロ勉強社会人」を生む

受験勉強という苦役に耐えることに価値を見出す文化が「ゼロ勉強社会人」を生む


「ゼロ勉強社会人」日本の社会人は勉強をしないという話を方々で聞きます。

上のリンクは2016年の調査をもとに書かれたコラムですが、こうした社会人の勉強しない問題は常に話題となるものの一つでしょう。

記事中にもあるように、リスキリングやリカレント教育などの言葉が流行りだして早数年たっているにも関わらず、学習時間は7分しか増加しておらず、明らかに日本の社会人が勉強をしない状況が数字にも表れていま

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本田圭佑の「飛び級モデル」発言に群がる自称『天才』達の醜さ

本田圭佑の「飛び級モデル」発言に群がる自称『天才』達の醜さ


本田圭佑氏の「飛び級」発言世界的なサッカープレーヤーである本田圭佑氏は教育問題について、これまでも持論を発信してきました。

そして、今回もそうした例の一つとして、「飛び級」について発言しています。

彼のように世界で活躍する才能に恵まれた(もちろん並々ならぬ努力あってのものではありますが)人の発言としてはよく見られる傾向の発言です。

では実際に「飛び級」制度が日本の教育制度の問題点となってい

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高校教員である私が浪人を勧めない理由

高校教員である私が浪人を勧めない理由


大学全入時代、到来せず大学受験の変化について調べると大学全入時代を迎えた、と方々で耳にします。しかし、実際のところはそれほどあまい状況ではありません。

確かに入学難度の低い大学が全入になっていたり、総合型や推薦型と呼ばれる年内入試によって受験勉強をそこまでしっかりせずに合格を勝ち取る生徒がいるのも事実です。

しかし、一方で総合型や推薦型の準備が生半可な受験勉強よりも大変であったり、難関大学に

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なぜ教育学部の学生だけは教育現場を「過酷というのは偏見」と捉えるのか

なぜ教育学部の学生だけは教育現場を「過酷というのは偏見」と捉えるのか


教育実習が教員を減らす公立学校の教員採用試験の志願者が減り、学生が教職を敬遠する状況が続いています。

かなりの数の自治体の志願者倍率が1倍台に落ちるなどしており、非正規の講師の数は減少、代理を受け持つ人材の枯渇は深刻な状況になっています。

新卒の学生が教員を避ける原因の一つに、過酷な勤務実態を知り教員という選択肢を選ばなくなる、というものがあります。

そしてその原因の一つが、教育実習の経験

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体験型学習経験と保護者の教育的意識の格差

体験型学習経験と保護者の教育的意識の格差

体験型学習先日、子供を水族館と大型のアスレチックに連れていきました。

その前にも旧跡と観光地、妻の実家の宮崎に帰省するなど、我が家では子供をどこかに連れていって体験型の学習機会を与える旅行を定期的に行っています。

見たことのない場所や新しい体験をして、疑問などに対しては私が教えたり、子供と一緒に調べたりすることで彼らにとっては良い経験になっているように感じます。
(とはいえ定量的に教育効果があ

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