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タブレット貸与を行政が行うというシステムはいずれ破綻する


タブレット貸与

ICT教育の推進とGIGAスクール構想の早期実現を目標として日本中の多くの学校でタブレットの貸与が実施されました。

この施策自体は十分に評価できるもので、特にコロナによる休校に対してオンライン授業を実施できたことなどその成果は小さくありません。
(間に合わなかった自治体もあるようですが、早めに普及した学校での活用は十分に教育効果があったようです。)

この時期に貸与した、という実績に関しては間違いなく最善の手段であったでしょう。

ところが、こうした貸与タブレットに関して、数年がたった今、問題が噴出しています。

耐用年数の問題

その代表は以前私も記事に書いた徳島県の貸与タブレットのバッテリー劣化問題です。

当然ながら機械には耐用年数が存在し、中華製の廉価タブレットの場合は5年も使えないことは、PCなどの情報端末に少し興味がある人ならばわかったいたことです。

これを貸与前提として配布すれば当然ながらトラブルが頻発することは分かっていたはずです。

個人利用の管理

タブレットを個人で利用できないようにしてしまうと、端末利用に対する意欲を下げてしまうため、一般的には個人利用を前提として配布をしている自治体や学校がほとんどでしょう。
(もしがちがちに制限をかけているのであれば、生徒は自分の端末しか触ることはないでしょう)

しかし、一方で端末を貸与した場合、その利用にも配布した自治体や学校はある程度の管理責任を問われることになります。

以下のニュースはその一例でしょう。

熊本市はLTEモデルを採用しており、アプリのインストールこそ制限をかけているが、ブラウザから自由にYouTubeが視聴できるように設定した端末を児童に渡しているようです。

こうしたタブレットの利用に関して、家庭での利用まで学校での指導を求める家庭は少なくないようです。

家庭での端末利用は保護者の責任

言うまでもないことですが、家庭での端末利用の管理は保護者の仕事であり、責任も保護者に存在します。

通常の購入品であれば、保護者側として自分が買い与えたものであるという責任を負う自覚を負いやすい構造になっていますが、学校が配布した、というその一点をもって責任を学校に求める人は決して少なくありません。

実際にはスクリーンタイムの設定など、保護者が管理できる仕様になっているにも関わらず、こうした対応に学校が追われることもここ最近の問題となっています。

しかし、繰り返しになりますがそもそもは端末利用の責任の所在は保護者に存在します。

学校外における管理業務は学校の所管ではありませんし、それをできるほどの人的、時間的余裕は現在の学校現場にはありません。

個人所有の利用にシフトすべき

結局のところ、こうした問題の根幹には端末を貸与するというシステムそのものの欠陥が原因となっています。

今後も端末の更新など、問題が全国で噴出することは目に見えています。また、どこまで貸与端末の費用を予算として確保できるかも不透明です。

一先ずは更新費用が捻出できたようですが、これが何年も継続できるかどうかは不透明です。

個人的には子供の学習用端末の購入費用や通信料を所得税や住民税から控除する、生活保護の場合には現物支給ぐらいの形をとるべき、と考えています。

小学校などの場合、BYODを実装することは難しいでしょうがあくまでも機種指定、学校選定品を個人購入という形に切り替えなければ学校が対応に追われることは目に見えています。

10年後を見通してICT教育を考えると、どこかで貸与から切り替える時期を迎えざるをえないのではないでしょうか。

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