周回遅れ

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【プチ研究】 仕事のレジリエンス (4) 習慣を工夫する

 仕事の危機は失敗だけではない。大きな責任や義務を引き受けてストレスに押しつぶされることもある。仕事の失敗やストレスにもハインリッヒの法則が成り立っているのではないか、という説がある。 ハインリッヒの法則:1件の重大事故の背景には、27件の軽微な事故があり、そのまた背景には270件のヒヤリ・ハットがある。 であるならば、日ごろから小さな失敗やストレスをふりかえり、対処したり改善したりする習慣をつけておくことで、予防になる。実際に大きな失敗やストレスに遭遇したときの対処も容

    • 【プチ研究】 仕事のレジリエンス (3) 吐き出せば楽になる、の罠

      ベルナール・リメの発見 1980年代末、ベルナール・リメ(心理学者)は多くの実験を通じて「吐き出せば楽になる」は嘘だと言い出した。 嫌な経験について他者に話さずにはいられない。 負の感情が強ければ強いほど、それについてますます多くを話したがる。 しかし、いくら話しても負の感情は消えず、何時間も、何日間も、何週間も、何ヶ月も、ときには人生の残りの時間すべてをかけて、繰り返そうとする。 性別、地域、文化をこえて、世界中で同じ傾向が観察される。 例外は、隠したい恥辱を感じ

      • 【プチ研究】 仕事のレジリエンス (2) マインドセットについて考えてみる

         心の危機が実世界とマインドセット(=内的世界像=人生の自動航行装置)の乖離で生じるのだとしたら、マインドセットのメカニズムについてよく考えておく必要がありそうです。 マインドセットは頑なになる マインドセットは自動航行装置なので、それでうまくいく限りは自動航行への信頼、依存が高まっていきます。「うまくいく」とは内的世界像と実世界に乖離を感じない状態です。逆に乖離したときが「うまくいかない」状態ということになります。そこで初めて、自動航行への不信が生じます。  しかし、うま

        • 【プチ研究】 仕事のレジリエンス (1) 心と世界の関係

          問題意識 仕事の上であっても、成長を望めば、挑戦(ストレッチ)が必要であり、挑戦すれば時に失敗することは避けられない。だから失敗からどう立ち直るのか、学んで置く必要がある。  まず、逆境で危機に瀕するヒトの心とは、そもそもどんな構造をしているのか?その構造と失敗学的処方箋はどう関係するのか?これまで読んだ関係書籍をレジリエンス(逆境からの回復力)の視点で要約してみました(資料リストは末尾)。 心と世界のモデル 著者によってパーツの呼び名が変わるので判りにくいのですが、心と世

        • 【プチ研究】 仕事のレジリエンス (4) 習慣を工夫する

        • 【プチ研究】 仕事のレジリエンス (3) 吐き出せば楽になる、の罠

        • 【プチ研究】 仕事のレジリエンス (2) マインドセットについて考えてみる

        • 【プチ研究】 仕事のレジリエンス (1) 心と世界の関係

          【社会のモノサシ】 「脳は世界をどう見ているのか」 ジェフ・ホーキンス、2022

           脳は頭蓋という箱の中にある。・・脳自体には感覚器官はないので、・・脳が現実について知るための唯一の道は、・・感覚神経線維を経由している・・電気の波だけである。・・繰り返し・・感じて動くことで、脳は頭蓋外の世界のモデルを学習する。  ・・重要なのは二点、脳が知るのは現実世界の一部分についてだけであること、そして私たちが知覚するのは世界のモデルであって世界そのものではないこと。  一部の哲学者や科学者はこのように考えてきた。これは人が非現実的な仮想世界に生きるという意味ではな

          【社会のモノサシ】 「脳は世界をどう見ているのか」 ジェフ・ホーキンス、2022

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (5) リスペクトする対話スキル

          資料(4)「年上の部下」をもったら読む本、濱田秀彦、2018  相手をリスペクトする対話スキルを諸説から抜書してみました。特に資料(4)は、使える例文が豊富に掲載されています。 諸説の要約 シニアの労働意欲は高いのだが、意欲が空回りするので、パフォーマンスに結びつかない。その原因は、シニアがフィードバック不足に陥っているからだ。(1)職場の先輩なので、周りも遠慮するし、本人も周りを見下す、(2)加齢によって変化適応力が低下し、頑なになっている、(3)ポストオフの喪失感を克

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (5) リスペクトする対話スキル

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (4) 生理的変化

          諸説の要約環境変化(おもにポストオフ)で自身の働き方に変革が求められる。 しかし、加齢によって変化適応力が低下し、頑なになる。でも、言語力や思考力は低下しない。だから頑固だが弁がたつ厄介者になる そのうえ、意見してくれる先輩がいない。 意見してくれる年下の上司がいたとしても、見下しているから言うことを聞かない(逆エイジズム)。その結果、フィードバックを受け付けない無敵の厄介者になる。 しかし労働意欲はあるので、行き場をなくした労働意欲がさまざまな問題行動を引き起こす。

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (4) 生理的変化

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (3) 労働観の混乱

           組織の中でシニア社員が厄介者になりがちなのは、フィードバックが困難になるからであり、その原因は、序列の混乱、労働観の混乱、生理的変化の3つだと要約しました。以下は、労働観の混乱に関する諸説です。 諸説の要約 日本では長らく、昇給昇格という承認欲求を餌に、日本企業好みのパフォーマンスを引出してきた。しかし40代で供給すべき職位が激減し、定年延長で事態はさらに悪化する。  充たされない承認欲求の埋め合わせとして他責や自責に耽る。具体的には、チームワークを乱すわがままな振る舞い

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (3) 労働観の混乱

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (2) 序列の混乱

           企業におけるシニアの働き方問題の核心は「フィードバックの困難さ」だと要約しました。なぜ難しいのか、さらに調べてみました。原因は序列の混乱、労働観の混乱、生理的変化、の3つに集約できるように思います。  序列の混乱がコミュニケーション問題となるのは、序列を「横柄とへつらい」というボディランゲージに転換してしまうからだ。解決原理は簡単だ。横柄にもならず、へつらいもせず、役割として序列を尊重する、そういう組織人となることだ。しかし、学校でも職場でも序列によってボディランゲージを

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (2) 序列の混乱

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (1) 実態

           「働かないオジサン」と揶揄され、シニア就業には厳しいものがあります。手の届く範囲で調べてみました。 諸説の要約 「モチベーションが低い」「パフォーマンスが低い」「マネジメントしづらい」など、シニア社員への評価は厳しい。にもかかわらず、現場の「年上の部下」と「年下の上司」の8割は互いに良好な関係性を保っている。ということは現場では、パフォーマンスに目をつぶって、無難な関係性維持を優先していることになる。  だから、シニアの働き方の課題は「関係性を良好に維持しつつ、いかにシニ

          【プチ研究】 組織のなかのシニア (1) 実態

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p85-97

          レヴィナス「全体性と無限(上)」1961 岩波文庫、第9刷、2017  大事なことが書いてある気はするのですが、歯がたちません。勉強のために数ページごとに要約しています(ページ数は岩波文庫による)。太字は原文のまま。 B 分離と言説1 無神論あるいは意志 p84-85:  定立と判定立・・が対立として現れるのは、双方を包みこみ概観する視線に対してである。  〈同〉は〈他〉と分離していると言っても 「U=A+(Aの否定)」の形式で表現できるものではない。もしそうであるな

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p85-97

          【生産性のモノサシ】 マネジャーひとりで人が育つわけではない

          Managegers can't be great coaches all by themselves ハーバード・ビジネス・レビュー日本版、2019/4月号 https://www.gartner.com/en/executive-guidance/connector-manager The Connector Manager Performance Advantage And why other approaches do more harm than good. 要

          【生産性のモノサシ】 マネジャーひとりで人が育つわけではない

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p73-84

          レヴィナス「全体性と無限(上)」1961 岩波文庫、第9刷、2017  大事なことが書いてある気はするのですが、歯がたちません。勉強のために数ページごとに要約しています(ページ数は岩波文庫による)。太字は原文のまま。 5〈無限なもの〉の観念としての超越 p73-75: ・・無限の観念は、観念によって観念されたものが・・当の観念を踏み越えているという点で、例外的なものである。これに対して、ものについては、「客観的」で「形式的」な実在との完全な一致の可能性が排除されていない

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p73-84

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p56-73

          レヴィナス「全体性と無限(上)」1961 岩波文庫、第9刷、2017  大事なことが書いてある気はするのですが、歯がたちません。勉強のために数ページごとに要約しています(ページ数は岩波文庫による)。太字は原文のまま。 3 超越は否定的なものでは(説明でき)ない p56−59:  超越の運動 (手の届かぬものを渇望すること) は否定形で記述できない。「〇〇でないもの」と表現することは、すでに「〇〇」と「〇〇の否定」の合算である全体を私が手に入れていることだからだ。  たと

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p56-73

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p38-55

          レヴィナス「全体性と無限(上)」1961 岩波文庫、第9刷、2017  大事なことが書いてある気はするのですが、歯がたちません。勉強のために数ページごとに要約しています(ページ数は岩波文庫による)。太字は原文のまま。 第一部 同と他A 形而上学と超越1 見えないものへの渇望 p38-39: 形而上学は、私には手の届かぬ「他なるもの」を思考したいという渇望として顕れる。一見「他なるもの」と見えても、私によって思考されることで、私に取り込まれてしまう、そのようなものは、すで

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p38-55

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p13-34

          レヴィナス「全体性と無限(上)」1961 岩波文庫、第9刷、2017  大事なことが書いてある気はするのですが、歯がたちません。勉強のために数ページごとに要約しています(ページ数は岩波文庫による)。太字は原文のまま。 序章p13: 戦争によって道徳は嗤うべきものとなる。道徳に替わって、戦争に勝利する技術としての政治が理性の手段となる。 p14: 戦争は全ての人々から主体性を剥ぎとる。やりたくもない戦争を誰も止めることができないという事実がそれを証明している。 p15:

          【社会のモノサシ】 レヴィナス 「全体性と無限」 p13-34