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『孟子』の教え

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『論語』とならび、儒学界で著名な『孟子』。孟子が儒学にかけた情熱、人を動かく立場のある人の心構えなど学べると思います。
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『孟子』ってどんな始まり方をする?

『孟子』ってどんな始まり方をする?

前回は『孟子』を学ぶ必要性などを書きましたが、今回からいよいよ本文の方に入りたいと思います。

前回言い忘れましたが、『孟子』は吉田松陰の愛読書でもありました(松陰が『孟子』についての考えを記した『講孟余話』というテキストがあります)。僕は幕末史も好きなので、こうした事情も『孟子』を読むモチベーションになっています。
同じように、幕末が好きな方であれば、松陰が『孟子』のどういう部分に影響を受けたの

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『孟子』を学ぶにあたって

『孟子』を学ぶにあたって

現在、自分の専攻との関係上、朱子学について少しずつ勉強していますが、それを文章にし、人に説明できるようになるにはもう少し時間がかかりそうです。
ただ、自分は漢文に慣れていきたいという思いもあって、日々中国の古典に触れるようにしています。二年ほど前から、儒学に興味をもったこともあって、折に触れて「四書」(『論語』・『孟子』・『大学』・『中庸』)を読んでいました。
そこで、最近もう一度『孟子』を読んで

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好きな言葉(『孟子』編4)

聖人と我とは類を同じくする者なり

「聖人」、すなわち人格が完全に優れている人は、人間離れしているようにみえる。けれど、もともと同じ人間なのだから、学べば誰だって聖人になれますよ、という教えです。

この考え方は、のちに朱子学に受け継がれます

好きな言葉(『孟子』編3) 迎合は畑仕事より疲れる

好きな言葉(『孟子』編3) 迎合は畑仕事より疲れる

この言葉の意味するところは、「ちぢこまってへつらいの笑いをすることは、猛暑の下で田畑を耕すよりもずっと疲れる」というものです。

この言葉、古典の言葉の中でもかなり納得できるというか、身をもって理解できるものではないでしょうか。この「猛暑の畑仕事より疲れる」という表現が何とも痛快じゃありませんか。

さて、誰しも本心から笑わなかった、相手の機嫌をとるために表情をつくった、という経験はあるでしょう。

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好きな言葉 『孟子』編2

好きな言葉 『孟子』編2

今回取り上げたい言葉は、

「君子は其の人を養う所以(ゆえん)の者を以て人を害せず」

であります。これは、『孟子』の梁恵王編下に出てくるものです。
この言葉の意味は、「君子たるもの、人を養うためのもののために人を傷つけるようなことはしない」といった感じです。

この言葉は、孟子本人の言葉ではありません。この言葉がどういう文脈で用いられているか。孟子は、滕(とう)の文公という諸侯から相談を受けます

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儒学と僕2 『孟子』死の覚悟について

儒学と僕2 『孟子』死の覚悟について

近況

早いもので、もう7月となってしまいましたが、皆様、お元気でしょうか。
僕が所属する日本史学研究室では、2回目の卒論相談会なるものが開かれ、私自身も、どんなことを卒論に書くのか、またこれからどういう史料をみなければならないのか見えてきました。
 僕は、江戸時代の朱子学者たちを主に扱っているので、勉強をしていくたびに、自分ももっと儒学、そしてその伝統の中から生まれた朱子学について勉強しなければ

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