木村浩一郎

リーダーズノート出版社長、マルチクリエイター。『週刊新潮』、『女性自身』、『週刊女性』を民事提訴・刑事告訴した歌手の三代純歌さんを支援中。webメディアを強制捜索した鹿児島県警の野川県警本部長を地裁に刑事告発、即刻、不起訴にされ検察審査会に申し立て中。本部長および関係者の処分

木村浩一郎

リーダーズノート出版社長、マルチクリエイター。『週刊新潮』、『女性自身』、『週刊女性』を民事提訴・刑事告訴した歌手の三代純歌さんを支援中。webメディアを強制捜索した鹿児島県警の野川県警本部長を地裁に刑事告発、即刻、不起訴にされ検察審査会に申し立て中。本部長および関係者の処分

最近の記事

17 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」           愛人宅を荒らされた「記者」

「追跡4」 愛人宅を荒らされた「記者」  夫の不倫関係を終わらせてほしい  ここからは、「復讐を依頼したマスコミ関係者」として、「再現」した案件を追跡した経緯を記してみよう。 「依頼人は報道関係者の女、狙った相手は新聞記者である夫の愛人」などと聞くと、うさんくささも感じてしまい、竹中の脚色ではないのかと何度も疑った。  いやしくも報道関係者たる女性が、「イリーガル」などという名前の探偵社に、しかも数百万もの金を払って夫の愛人に復讐するような依頼をするだろうか。ガセではな

    • 16 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 首領の「元妻」〜元夫がだまされていたと思っている

       「追跡3」 首領の「元妻」  2019年6月1日、東京の中央区銀座2丁目にある豆腐料理店「梅の花 銀座並木通店」の個室で、竹中の紹介により初めて竹中の元妻に話を聞くことができた。同僚のK女史も同席した。  元妻は、想像以上に知的で上品な雰囲気を持つ、しっかりした女性だった。 元妻の当時の記憶  2004年春以降、アサクラには2度会ったことがあるという。 「最初は、この人(竹中)が怪しい仲間と、怪しい探偵業を始めたときですね。一緒に井の頭公園に花見に行ったんです。アサ

      • 15 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 5億円の小切手はどうなったのか〜

        5億円の小切手はどうなったのか   わたしは再度、金の流れを整理した。 問題は、同日、東京東信用金庫が振り出したこの小切手(銀行振出小切手=通称よて)3枚はその後、どうなったかという点だ。  2006年7月20日の弁論要旨には、こう記されている。 【被告人竹中※は(略)本件の5億円の小切手1枚が誰の手に渡り、その後、どうなったのか、1億円と5千万円の各小切手は誰の手に渡り、その後、どうなったのかについては小切手そのものを全く見ていないし一切知らない】※=筆者が氏名を修正

        • 14 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」    「追跡2」巨額詐欺事件〜

          手こずった預託金1550万円  ここからは、これまでに紹介した「Z会事件」の詳細を、関係者の証言や報道や裁判の資料、弁護士記録などをもとに明らかにする。  Z会の関連会社から、7億5千万円を横領した事件(詐欺事件)における判決文には、次のような箇所がある。 【ところで、関係各証拠によると、被告人は本件犯行の後、元の配偶者に対して1500万円余の現金を預託していることが認められるところ、分離前相被告人宮 の公判供述中には、被告人が本件公判の過程で宮川に対して本件犯行の報酬

        • 17 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」           愛人宅を荒らされた「記者」

        • 16 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 首領の「元妻」〜元夫がだまされていたと思っている

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        • 14 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」    「追跡2」巨額詐欺事件〜

          13 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 「追跡1」 転送願い偽造事件

           この章では、ここまでの、どこまでが事実なのかわからない話を、わたしなりの手法で、信頼しうる資料や取材をもとに追跡したプロセスを公開するものである。したがって、フィクションではなく追跡の「記録」である。わたしの目的は、イリーガルの事件簿や竹中の言動の、その信憑性を探ることと、逃亡中のアサクラに関係する情報を少しでも得ることにあった。 「追跡1」 転送願い偽造事件  時系列的には、2003年5月という比較的早い時期に竹中が「詐欺師を懲らしめる」と意気込んで受注したもので、結

          13 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 「追跡1」 転送願い偽造事件

          12 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」   犯行計画を立てる〜

          犯行計画を立てる  ここで一旦、裁判資料と照らし合わせておこう。 【竹中※は、平成16年(2004年)ごろに宮川※が引き起こした女性とのトラブルの事後処理に関与したことで宮川と知り合っていたが、宮川であれば振込先の口座や振込役の女性を用意できるものと考え、同17年7月中旬ごろ、宮川に本件犯行を持ちかけた。これに対し、宮川は、ギャンブルや女性との遊興費等に窮しており、報酬欲しさにこれを了解したことから、竹中は、加藤と称する者に対し、宮川が了解した旨連絡した】(冒頭陳述要旨より

          12 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」   犯行計画を立てる〜

          11 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 刑事らの来訪、高輪署での取り調べ〜

          刑事らの来訪、高輪署での取り調べ   ところが、そんなことがあったあと、2004年の9月ごろに、2人の捜査員が突然イリーガルの事務所にやってきた。警視庁本部の者だという。 「任意なんだな。自分らにも守秘義務があるから、話せることと話せないことがあると理解してほしい」  竹中はその刑事に念を押した。だが、開口一番、刑事は、「この女を知っているね。どんな仕事を頼んだの」と聞いてくる。話を聞くと先般のセレブ風の女のことだった。 「それは言えない。訴追の恐れがあるし、守秘義務もあ

          11 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 刑事らの来訪、高輪署での取り調べ〜

          10 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 第三章 再現 1 人気ホストの殺害依頼〜

           非合法探偵社イリーガルの事件簿には、断片的には証拠があっても、どこまでが事実であるかの検証は難しいものがある。  この章で描く「再現ドキュメント」は、あくまで、そのような話にわたしが肉付けしたものだ。 「再現1」 人気ホストの殺害依頼 依頼人はソープ嬢で看護師 「ソープランド嬢が、人気ホストの殺害を依頼した」という話があった。竹中によれば、この話の依頼人の名は「セリカ(本名)」という女だったという。セリカの父親は元暴走族で、「トヨタのセリカが好きだったので娘にセリカと

          10 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 第三章 再現 1 人気ホストの殺害依頼〜

          9 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 第二章  事件簿 

           非合法探偵社イリーガルが受注した案件は想像以上に多かった。ここでは、そのいくつかをピックアップし「リスト」として掲載する。これらは、竹中および工作員らの話と、残された資料、さらに公的資料を加えてまとめたものだが、事実関係の不明瞭な部分、まだ裏付けができていないものも含まれている。第三章の「再現」では、このうちのいくつかを、わかりやすく再現し、さらに第四章の「追跡」では、詳細にこだわりながら、そのいくつかの事実関係を確認していく試みだ。 詐欺師たちを懲らしめる  依頼人は

          9 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 第二章  事件簿 

          8 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」  工作員が暗躍する復讐代行業

          ※毎日更新します 工作員が暗躍する復讐代行業  一般的に、興信所や探偵業といえば、浮気や素行の調査、行方不明者の捜索などが知られている。同社の場合は復讐代行業の色合いが濃くなっていき、依頼人から数十万から数百万円の報酬を受け取って嫌がらせや襲撃などマルタイへの復讐を請け負っていた。  尾行、盗聴や盗撮は最も基本的な手段だった。盗難車を使う、車のナンバーを付け替える、配達業者を装ってマルタイを拉致するなど大胆な手段も躊躇しなかった。さらには、改造銃やスタンガン、ブラックジ

          8 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」  工作員が暗躍する復讐代行業

          7 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 アサクラは指名手配されたか

          アサクラは指名手配されたか  さらに竹中の裁判資料を調べると、そこには、アサクラについて書かれた文書があった。  その一つは、2006年7月20日に開かれた東京地裁における弁論要旨だった。冒頭にはこうある。 【1、本件犯行は、被告人のZ会社員※と同被告人がインターネットのサイトを通じて知り合った朝倉(指名手配中)と両名共謀のうえ、本件犯行を計画するに至ったものであり、被告人竹中※は、被告人のZ会社員※が自己の勤務先であるZ会から無断で預金通帳を持ち出したことは了知すること

          7 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 アサクラは指名手配されたか

          6 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」悪党  7億5千万円の横領

          ※ご注意/本稿における報道資料中の容疑者等の実名は、筆者が、仮名に修正あるいは削除しています 7億5千万円の横領  アサクラが実在する人物かどうかすら確信が持てないなかで、竹中の話を聞き続けてきたわたしも、これではがあかないと思うようになった。そこで方針を転換することにした。まずアサクラが主役を演じたというZ会の巨額搾取事件なるものを、報道資料をもとに徹底して紐解く。そこにアサクラの足跡を捜すことにしようと。  竹中からの情報を整理しながら調べてみると、2006年にZ会

          6 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」悪党  7億5千万円の横領

          5 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」   事実と虚構とが織り交ぜられた作品

           わたしは、2013年の4月と6月に埼玉県の大宮で竹中と2度会った。そのころは、わたしとコンビで仕事をしているデザイナーのK女史は、竹中との会合に、ほぼ同行するようになっていた。それはわりと自発的だった。  スタッフの西村はまだ20代前半で、ゆとり教育世代、デジタルネイティブ世代で、しかもかなりのインドア派だった。いっぽう彼女はといえば、30代半ばで、バックパッカーの盛んな時期に学生生活を送り、卒業旅行には欧米に行く友らを横目に、ひとりシリアのアレッポを訪れ、インドやタイにも

          5 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」   事実と虚構とが織り交ぜられた作品

          1 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 序章 奇病・ターキーXとアフラトキシン

          ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  この話は、東京都内の編プロに勤務する著者が、網走刑務所に5年3か月間収監され、出所したばかりの、地下組織、イリーガル探偵会社の元首領に出会うところから始まる。  男の示す「事件簿」には、巨額詐欺事件、恐喝、暴行、誘拐、レイプ、毒物混入、バイオ犯罪など、おぞましい極悪非道の数々が記されていた。  犯罪の依頼者として、会社員、ソープ嬢、ホスト、会社社長、自称元政治家秘書、宗教団体などから、大手航空会社の社員

          1 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 序章 奇病・ターキーXとアフラトキシン

          4 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」   氏名不詳の男は、マッドサイエンティストか

           わたしの脳裏に、ふと、日本を震撼させた松本サリン事件 — オウム真理教事件のころの記憶が蘇った。あの日……。そして、日本は未曾有の地下鉄サリン事件に見舞われた。 「復讐代行業を名乗る連中は多いんですけどね。その大半はね。復讐をしないで代金だけをぼったくる詐欺師野郎ですよ。その点、オレのやってたイリーガルはちゃんとやってた。それが美学だったから。オレはね、詐欺師ってのを心底、軽蔑してるんですよ」  さも嬉しそうに男はしゃべり続けた。  経験上、体を揺すりながら話をする人

          4 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」   氏名不詳の男は、マッドサイエンティストか

          3 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 第一章「悪党」 網走刑務所から出てきた男

          第一章 悪党網走刑務所から出てきた男 「アフラトキシンB1というカビ毒なんすけどね。これを、こっそり人体に使ってやる。するとどうなると思いますか。じわじわと肝硬変や肝臓がんで死ぬんすよ。うふふふふふ」   人類史上最高の発がん物質だと言われたアフラトキシンが、もし犯罪やテロに使われたとしたらどうなるのだろうか。そんな身の毛もよだつ話が飛び込んできたのは、2012年の夏も終わりに近づいた8月27日のことだった。 「アフラトキシンを使えば足がつかない。そう。解剖してもねえ。

          3 「イリーガル探偵社 闇の事件簿」 第一章「悪党」 網走刑務所から出てきた男