無料連載小説|紬 13話 観光
「奈月先生って呼んでいいって言われたの!」
「いいなー!私そこまでグイグイいけなかったよ」
2人は観光旅行気分で行った歯科受診の感想で盛り上がっている。次の話題は予想がつく。私の診察だ。美優さんに聞かれた。
「紬ちゃんは?」
返答に困ったけれど、何か言ったら大変だ。
「口の中をお掃除してもらって帰ってきました」
2人の中では大人の女に魅力を感じる歯医者さんという結論が出ていた。現実は違うけれど。
美玖が鬱陶しそうにため息をついた。
「奈月先生、今日は3人も患者が入ってますよ