【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第10話 長崎市内行き高速バス
俺とガキは並んで席に座った。出だしから立腹していたガキだったが、気分はすぐに持ち直したようで、外の景色に夢中だ。俺はそんなガキを見ながら、この間まで精液だったんだから仕方ないなと呆れていた。しかしせっかく来たのに会話がないようでは意味がない。バーで一人、ウイスキーをロックで飲みながら時間を潰している女を包み込むような声で、大人の余裕を感じさせる言葉をかけた。
「お前んちのババア、頭おかしいのか?」
ガキの空気が凍った。二杯目はフローズンダイキリだ。人の母親に何てことを言うんだ