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95年の記憶、塩尻の銭湯「桑の湯」最後の物語 – 家族と地域に愛された場所の記録

95年の記憶、塩尻の銭湯「桑の湯」最後の物語 – 家族と地域に愛された場所の記録

塩尻の街で95年間、人々の疲れを癒し続けてきた銭湯『桑の湯』が、静かにその長い歴史に幕を下ろしました。
今回は、最後の瞬間まで、家族と地域の人々に温かく見守られ、愛され続けた銭湯の物語です。

たまたま目にしたインターネットのニュースで、塩尻の桑の湯が閉業することを知った。95年の歴史を持つ銭湯が、惜しまれつつも閉業するという内容で、その歴史は、僕を深く惹きつけるものだった。

桑の湯の始まりは、

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インドカレーと誕生日

インドカレーと誕生日

誕生日に家でひとり夜ご飯を食べるのが嫌で、仕事帰りにインド料理屋に寄ることにする。最初に行った近所のカレー屋は、カレーセットが1400円。昼に900円で食べられるカレーに500円も多く払うのもな、と別のカレー屋へ。2件目は小さなビリヤニがついてセットで1800円。誕生日ディナーをケチった結果、400円多く払う羽目に。こんな時にかぎって、大してお腹も空いていないのだ。

しぶしぶビリヤニと2種のカレ

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プレゼントに本を贈ろう。

「今年はお互いに本を贈ろう。」

そんな一言で今年のクリスマスは互いに本をプレゼントすることになった。彼女はそんなに本を読む人ではないのだけど面白いと言って、すんなり受け入れてくれた。

僕は時々、家族へのプレゼントに本を贈る。時間があればふらっと本屋に立ち入る生活をしていると、この本はあの人に贈るといいかもしれないなんて事を思ったりする。だから弟の誕生日にはいまの彼が必要な本はこれだって思ったも

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言葉の企画から、’わたし’を発酵させよう

言葉の企画から、’わたし’を発酵させよう

企画でメシを食っていく2021、はじまりました!

言葉と向き合いたいな、憧れの人と仕事をするという選択肢を自分も持ちたいな、と希望を込めて応募した企画メシ2021。尊敬するコピーライターの阿部広太郎さんから約束したい人として届いた紙飛行機。私はあなたと、企画生のあなたと「いつか仕事で再会するため」に企てていく。この半年間、そしてその先も、人生を味わうだけでなく、愉しみを生み出していきたい。

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女性おひとり様で、ストリップ劇場に行ってみた話。

女性おひとり様で、ストリップ劇場に行ってみた話。

7月初めのある日、私は浅草のストリップ劇場の前で立ち尽くしていた。
初めて受けた衝撃に放心状態になってしまい、会場から出てもうまく現実に戻れず、入り口に飾られた豪華なスタンド花を少し離れたところからしばらくぼうっと眺めてしまっていた。

***

コピーライターの阿部広太郎さんが主催する、企画メシ2021。
第2回の講義はライター、編集者の九龍ジョーさんをゲストにお迎えして行われた。
九龍さんから

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「あなたの作ったものは、コンテンツではないよ」

ほぼ日刊イトイ新聞さんが主催の、「ほぼ日の塾」に通っています。その中の課題で、「自分の好きなもの」というテーマでエッセイを書きなさい、というものがありました。

「あなたのエッセイは、ただの作文であってコンテンツでない。」

それが、私が書いたエッセイに対するほぼ日の方の評価でした(もちろん言い方は優しかったですが)。私は読んだりまとめたりするのは好きですが、書くのはそんなに得意でなく、今回のエッ

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失敗まみれだった自分自身に

失敗まみれだった自分自身に

この文章は、パナソニックがnoteで開催する「 #あの失敗があったから 」コンテストの参考作品として主催者の依頼により書いたものです。

「失敗」という「事実」は、この世にひとつとして存在しないと思う。なぜなら失敗とは、「解釈」であるからだ。

たとえば就職活動で、一番行きたかった会社の面接に落ちたとする。

この「面接に落ちた」という事実を、失敗だと捉える人もいれば、それが運命だったと、すんなり

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それで大丈夫だから、進め。 #社会人1年目の私へ

それで大丈夫だから、進め。 #社会人1年目の私へ

今もこうやって、まだ同じ会社で働いていることをあの頃の私が知ったら驚くだろうか。諦めかけていた「編集者になりたい」という道を、まだ道半ばだけれど今こうやって進んでいることをあの頃の私が知ったら、喜んでくれるだろうか。

社会人1年目の4月1日、私は東京のIT企業の入社式に出席していた。

出版社以外だったらそのIT企業に絶対行きたいと思えるほど大好きな企業だったし、最終的な進路を決めたときも、あれ

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悔しい思いをしたときは

悔しい思いをしたときは

悔しいことがあって、昨日は朝から気分がすぐれなかった。

自分でもビックリするくらい元気になれなくて、これは梅雨のせいかなあ低気圧だしそういえば最近寝不足だし体調のせいもあるんだろうなあとかいろいろ考えてみたけれど、いつもなら原因を何か外部要因(体とか天気とか)に押し付けてしまえばケロっと直るはずの気分が、落ち込んだまま全然直ってくれなかった。

あ、これはどうやら本気で落ち込んでいるようだ、と気

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既視感に打ち勝て

既視感に打ち勝て

「既視感」というものを、よく感じるようになった。

たとえば、誰かに嫌なことを言われたときもそうだし、逆にいいことを言ってもらったときもそう。音楽を聴くときも、季節の移ろいを感じるときも、二日酔いの朝を迎えたときも、日々出くわすいろんな出来事に対して「この感じ、なんだか味わったことあるなあ」と思うことが増えた。

それは25年間生きてきて出会った人だとか、体験したことだとか、考えてきたことだとか、

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いつだって、「できごと」より「考え」のほうが怖い

いつだって、「できごと」より「考え」のほうが怖い

臆病なので、昔から意味もなく「怖い」と思うことがたくさんあった。

失敗することが怖かったし、ひとりぼっちになってしまうことも怖かった。時計の秒針が1秒ずつ時を刻むごとに「ああ、1秒ずつ死が近づいている!」と本気で考えこんでしまい眠れなかったこともある(今思うとヤバい)し、小学生や中学生の頃は、誰かに嫌われることが本当に怖くて、周りにいつも合わせるように生き、自分の意見をなかなか言い出せないような

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世界は、思った以上に「欠けている」ことに寛容だ

世界は、思った以上に「欠けている」ことに寛容だ

大学生のころ、個人経営のこじんまりとしたカフェでアルバイトをしていた。京都の裏路地にある、ゆみこさんという美人なオーナーが経営している、とてもいいカフェだった。

ゆみこさんは私の20歳の誕生日に、『ぼくを探しに』という絵本をプレゼントしてくれた。

パックマンのような可愛い球体の「ぼく」は、自分には何かが欠けていて、だから毎日が楽しくないと思っている。そこで完璧な球体を目指そうと、自分の欠けたカ

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おもしろさに平等でありたい

おもしろさに平等でありたい

自分の心の琴線を、なるべくたくさん揺らしながら生きていたいなあ、と思っている。

「自分というフィルターを通して世界を見ること」は、誰もが平等に持つ「自分にしかできないこと」だと思うので、なるべくそのフィルターにたくさんのものを通しながら、ていねいに世界を映して生きていたい。

だから、人や、映画や、本や、音楽、お店、旅行、イベント、テクノロジー、社会現象。笑えるものや泣けるもの、感動するものや衝

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優しい文章を書く人

優しい文章を書く人

文章は、書くよりも読む方が好きだ。
そして、いろんな人の、いろんな文章に感動を覚える。

ARuFaさんや菊池良さんのように、お腹がよじれるくらいおもしろい文章。鳥井弘文さんや日野瑛太郎さんのように、分かりやすくいつも気づきや視点を与えてくれる文章。穂村弘さんや岸本佐知子さんのように、爆笑ではないけれど思わずクスッと笑ってしまうようなユニークな文章。角田光代さんや山崎ナオコーラさんのように、共感や

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