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積み読者📚️

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あとでも読む、読みたい本があります。大切に大切に、この手に包んで本棚に収納させていただきました。ありがとうございます。
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2023年8月の記事一覧

郵便

郵便

いくら言葉を重ねても

花弁の先を飄々と攫ってゆくだけの 

蒼い風はきっと

この先も

ふわりと蜜柑色の髪を弄びながら

その行く先を案じ続ける

君の名を忘れることはない

伝わらなかった悲しみも

握りしめたその希石を

どうか

開け放して空に還して

野に風は今日も吹く

私達を包んでは流れ行く

一縷の颯爽とした

祈り

水の刻

水の刻

出処など分からぬほどに
青いプールが光を放つ
白く強く時に水色
空の色か水底の色か
透明という言葉をつぶやき
揺れない水面を夢見る
脱力の美学は果てしなく
魅惑の水分は全てを許してくれる

濡れた髪が乾ききらないままの
午後の授業の風のそよぎ
記憶の遠くなる雑音の階調
人は
心地よさを集める旅に出る
とある午後の
ひとときなどに
すっと
愛しき人の
耳に触れるように
そっと