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みゆ
2024年7月16日 22:28
「ページを破る街」君は甘い甘い妄言を舐めながらどろりとした水飴におぼれ得意気に張りぼての看板を掲げていたこの街を荒らして、何が幸せなのか口の中で暴風がいつまでも転がって道行く人の眉が揃って針金のようだった腐った夢物語を過ごして生成されて手垢にまみれた志しか描けない君は、側から見れば自分が手塩にかけた実子にさえ、浅はかな妄言を浴びせつづけていた(他人に自身のお猪口を
2024年8月14日 23:04
「空白の廊下、殿下」 涙が出ないのにコーヒーを飲んだ(今日は何の日だったのか)錆びた王冠が無造作に置かれているが、何も思い出せないいつもの廊下は静まりかえり、愚者の笑い声だけが窓から聞こえてきたブロンズカラーを静かに飲むと、日付がめくれなかった日が続いたのを思い出す声が出ず、デコルテに無惨が滲み、支配され続けた廊下の夢を見た殿下は、未だに私を咎める貴方ほど声を出
2024年8月8日 21:25
みゆと申します。ご覧いただき、ありがとうございます。以前投稿した詩を、今回リメイクしました。原作は「2.5%」という詩で、リメイク作のタイトルは「課せられたパーセンテージ」です。元の記事は、こちらからご覧いただけます。↓この詩は、私にとって転機になった作品です。詩を本格的に書いたのがこの作品が初めてでした。私はとあるボカロP・歌手のファンで、当時もろに彼の影響を受けなが
2024年8月6日 22:59
「病み上がりの境界域」絵に描いたような入道雲が私の目線に飛び込んできたここから出られないことを察して光が眩しくてカーテンを閉じた現状との落差に両目は沈んでいた太陽の余韻が色濃く残った特有の空気に酔い、チョコレートやグミの溶けた大群がどこまでも粘ついた夢を見た寝る時くらい、夢らしい夢を見せてくれないものか何日も見て見ぬフリをした、弱りきった花のために予約をして固い椅子
2024年8月4日 00:09
「ページを戻す街」この街にも慣れ、羽を大いに伸ばしていた時煤けた彗星から王冠を借りて君は現れた無邪気に自我を際立たせてすぐに住人の一員となり、可愛い両耳を僕に傾けて「手のひらをみせて」と耳元でつぶやいた飄々と見られがちな僕は器量が小指の幅より狭すぎて利き手を開くのを恐れたのだ開けばたちまち 住処が崩れていくと握りしめた指の隙間から囚われの雫が 何度も落ちていった
2024年7月31日 21:09
「転びつづけた子孫」 一人になったきっと先祖が泣いている懺悔と後悔と、無念で満ちているいったい僕は「申し訳ない」を何回まで幾重に重ねたら気が済むのだろうか人生を賭けた小屋の中で選ばれる立場から降りた僕は、生きる術をひたすら模索していた小屋の中では相変わらず、妨害の花が忙しなく口を開け閉めしている(退け、退け)心で業を犯しながら君の背中に
2024年7月27日 22:53
「二人の玉座」 いつもの廊下が、沈んでいく一方通行の道には進めずに赤い斑点を掻きむしるように貴方が帰る度に引きちぎる思いでインターホンを押した焼けた石が、邪魔をする様子を伺う私に、水が思わぬ沸騰をした黒い斑点が、ぽつりと感情を溢す燃えさかる寸前の火によって焼けた石と共に灰になって黒さがぽつぽつとスキップをするそのままスキップで終われたら幸せだったのに、と炎と石に
2024年7月21日 23:09
「祈りの手紙」 あなたとは、向き合いたくなかっただけどあなたとの未来が、やっぱり欲しかったあなたのために透けない白さを用意して鮮やかなスティックを塗り塗りとしてグリグリと隙間を埋めるかのようにいじらしく口を尖らせて、私は、人生を懸けた十字を切ったあなたは私に対する愛が乾けば、次に枯渇した人間を血眼で探しているのだ私は常に愛が渇いて、あなたとは離れていたくな