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臨床についてマジメに考えるnote

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マジメな理学療法士が考える臨床アイデアを書いたnoteをマガジンにまとめました。 主に脳卒中への介入戦略を書いています。 記事への質問はTwitterのDMでどうぞ。
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#哲学

ヒトの『麻痺』はどうして回復が難しいのか〜社会性を獲得した動物という視点から考える〜

ヒトの『麻痺』はどうして回復が難しいのか〜社会性を獲得した動物という視点から考える〜

脳卒中では、基本的に脳卒中を起こした半球と反対側の上下肢が麻痺を起こし、『片麻痺』と呼ばれる状態となります。

また、脊髄損傷では損傷した高位よりも下の部分が麻痺した状態となり、『下半身麻痺』などと呼ばれたりします。

このように『麻痺』と呼ばれる状態には様々なものがあり、我々理学療法士やセラピストはこの『麻痺』を改善するように試みたり、『麻痺』がある状態でも生活できるような方法を考えたり一緒に練

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提供する理学療法の意味を見失ったときに考えたいこと

提供する理学療法の意味を見失ったときに考えたいこと

理学療法士が理学療法を提供する場所や領域は年々拡がっています。

少し前まで理学療法士は病院に勤めるのが普通でしたが、最近では訪問やデイサービス・デイケア、行政、予防分野など、多種多様な領域で働く理学療法士が増えてきました。

理学療法士として関わる範囲・領域が拡がれば拡がるほど、それぞれの領域で理学療法を提供することの意味は多様化します。

そこで生じるのが、何のための理学療法なのか?という疑問

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クライアントの認識を知るための方法ーフッサール現象学を臨床に活かすー

クライアントの認識を知るための方法ーフッサール現象学を臨床に活かすー

この記事は、患者さん・利用者さんの認識を知り、より良い理学療法を行おうと追求する理学療法士、およびリハビリテーションに関する職種に向けて書いています。
該当しない方にとってはあまり有益な情報が提供できないと思いますので、別の記事を読んでいただくことをオススメします。

理学療法士としてクライアントに関わる中で、クライアントの認識を知ることは大切です。

それがなぜかというと、医学的な概念としての『

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釈迦の教えとリハビリテーション

釈迦の教えとリハビリテーション

仏教は哲学だということはご存知でしょうか。

元々は釈迦(ゴータマ・シッダールタ/ブッダ)が生老病死という4つの人生の苦悩(四苦)を解決しようとし、その答えを見つけた(悟りを開いた)のが始まりです。

釈迦の教えを後世の人々が『大乗仏教』として宗教化し、これが現在日本で広く普及している仏教の始まりとなっています。

釈迦の教えは、偶像崇拝とか念仏によって救われるとか、そういったものではありませんで

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理学療法士は『身体』を何も知らない

理学療法士は身体について何も知りません。

こう言うと、怒る方がいるかもしれません。

「理学療法士は身体と運動の専門家だ」と。

そうかもしれませんが、その『身体』は誰の『身体』ですか?

理学療法士は何を知っていて、何を知らないのでしょう。

今回はそんなことを考えていきます。

このnoteを読むと、
●理学療法士が『身体』について何も知らないことがわかる
●『身体』について何を知るべきかが

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「ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ」に感じる違和感

「ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ」に感じる違和感

「ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ、オリンパス」

このフレーズ、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

オリンパスが2007年から企業広告に使用しているキーフレーズです。

セラピストのみなさん、違和感を感じませんか?

今回はこのフレーズに違和感を感じないセラピストは、『人間』の捉え方を考え直した方が良いというお話です。

注:オリンパスさんが嫌いとかでは決してありません。愛用してい

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