荒野のポロローグ|TRANSIT JOURNEY

人は私のことを『荒野の歩狼』と呼ぶ。歩狼と書いてポロと読む。ここでは乗り継ぎの旅と、故…

荒野のポロローグ|TRANSIT JOURNEY

人は私のことを『荒野の歩狼』と呼ぶ。歩狼と書いてポロと読む。ここでは乗り継ぎの旅と、故郷・大倭国のあれこれについて、現実と虚構が入り交じる創作紀行文を描いている。 加えて文学とアートの話を少々。 好きな乗り物は列車、自転車、フェリーである。 (詳しくはプロフィールをご覧ください)

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

荒野のポロローグについて

現実と虚構が入り交じる創作紀行文を書いています。 TRANSIT JOURNEY乗り継ぎの旅についてのメインの語り手が『荒野の歩狼』です。 「ポロが語るお話」ということで『荒野のポロローグ』としました。 演出を盛り込み編纂されたとされる松尾芭蕉の『奥の細道』のように、実際の旅をモチーフにしたフィクションとしてお楽しみください。 加えて、文学やアートの話を少々。 異都ナーラのSPICIA古都奈良の(架空)友好都市ナーラを舞台に繰り広げられるファンタジア。 主に薬師如来

    • シルクロードはオーストラリアへ至る、かもしれない|異都ナーラ

      架空の慈善団体SPICIAに身を置く咖喱菩薩は、"Pay Forward"の思想を布教すべく、今日も今日とて大倭国の中枢・異都ナーラを練り歩く。 異都ナーラの友好都市「咖喱菩薩よ、異都ナーラの友好都市、古都奈良のことは知っておるか?」 「勿論ですとも薬師如来。ナーラと同じくインターナショナル・プリフェクチュアでございます」 我ながら流暢に答えることができたと自画自賛していたら、薬師如来の瑠璃色の瞳がキラリと瞬いてハッとする。 「ちょうど今、古の陸路シルキーロードを経てもた

      • 登場するキャラクターについて

        TRANSIT JOURNEYは乗り継ぎの旅をベースとした創作紀行文です。実際の旅を土台に、現実と虚構が入り交じるフィクションの語り手が存在します。 (登場するキャラクターが追加された場合、随時こちらへ追記します) TRANSIT JOURNEYの語り手この世のものか否か分からないもの、意味不明なモチーフ、そういったものも出現するかもしれませんが、中心となるのは以下の2人です。 ▷荒野の歩狼 ポロローグの語り手。少なからず神経質で内省していることが多い。 故郷・大倭国

        • 異都ナーラのSPICIA|サイドストーリー

          大倭国の中枢・異都ナーラに拠点を置く架空の慈善団体SPICIA(SPIritual Club for Invisible Aid)は、持続可能なエネルギーの潮流を生むための方法論を研究し実践する。 咖喱菩薩と薬師如来「良いですか咖喱菩薩、我々SPICIAの使命は"Pay Forward"の思想を布教することです」 「はい、今日も腹を空かせた者を救済して参ります」 ただ与えるだけが救済ではない。そこには "流れ" や "循環" が必要だ。 施しを受け、得た活力で何をするのか

        • 固定された記事

        荒野のポロローグについて

        マガジン

        • みんなの乗り物
          11本
        • 森のブック・カフェ
          5本
        • ポケット文庫|読書
          1本
        • 咖喱菩薩の華麗なる日常
          2本
        • TRANSIT JOURNEY
          4本
        • 駅・驛・STATION!
          2本

        記事

          “荒野のポロローグ”と“綺世界探訪”の関係

          現在、2つのno+eアカウントを運用しています。 荒野のポロローグTRANSIT JOURNEY 綺世界探訪|Magic Tourism 『綺世界探訪』で展開しようと考えていた内容のうち、"旅にまつわる乗り物や移動、駅や港に関する話題" を『荒野のポロローグ|TRANSIT JOURNEY』として切り出しました。 袂を同じくする両者に共通するのは、センス・オブ・ワンダーの目線です。 趣旨の違いテーマを交えつつ、それぞれの趣旨を簡単に紹介しておきます。 ▷荒野のポロ

          “荒野のポロローグ”と“綺世界探訪”の関係

          レールで卵を割れる駅|JR上諏訪駅

          駅はその街の玄関であり、ファサードである。 簡素な駅も好きだが、溢れんばかりの愛が詰まった駅に出会うとハッとする。立ち入る前から、その街の活気や心意気を感じるからだ。 中でもJR上諏訪駅構内は、駅であることを忘れてしまう異次元空間だった。 初めてJR上諏訪駅に降り立ったのは、ある年の10月下旬。 遠に日も暮れ、気温も低かった。 しかし振り返れば、驚きの光景が……。 名湯 駅露天風呂(足湯)街中や駅前にある足湯は度々見かけるが、駅構内にある足湯は初めて見た。 『一駅

          レールで卵を割れる駅|JR上諏訪駅

          『100%月世界少年(創元SF文庫)』についての本紹介(読書記録)をリライトしました。 https://note.com/polologue/n/n1cdca4afd72d

          『100%月世界少年(創元SF文庫)』についての本紹介(読書記録)をリライトしました。 https://note.com/polologue/n/n1cdca4afd72d

          長距離列車で起きた珍事|Switzerland

          ベルンへ向かう最終列車、の一つ前の便に滑り込み、空いている席を見つけてようやく一息つくと、列車が緩やかに動き出した。 僕の右隣、窓側の席に背を預けたのは旅の道連れ、その名をポロという。 チューリッヒから日帰りのつもりでツェルマットに出かけてきて、僕たちは今まさに帰路に着いた。 踊るラム肉ベルンで乗り換え、チューリッヒに着いたらトラムとバスを乗り継いで、郊外の宿へ直行する手筈だ。すでに夕食は済ませたし、シャワーを浴びて後は寝るだけ。 思えばずいぶん遠くまで来た。天気に恵ま

          長距離列車で起きた珍事|Switzerland

          リアルこそ最高のエンタメ|JR大湊線

          ファストパスを駆使して巧妙に作られたアトラクションに乗るよりも、時間をかけて赴いた地でリアルを体感する方が余程生きている実感が湧く。 あらためてそう感じたのは、関西から北を目指し、青森の下北半島に延びるJR大湊線を北上した時のことだ。 JR大湊線(青森・下北半島)2021年9月には開業100周年を迎えたらしいJR大湊線は、青森〜八戸間を走る『青い森鉄道』から分岐する形で、まさかり型の下北半島へと線路を伸ばしており、野辺地〜大湊間を走行する。 これは青い森鉄道から乗り換えて

          リアルこそ最高のエンタメ|JR大湊線

          トランジット中に起きた事件

          日本を出立した時は、まさか "王家の竜" Draco excelsiorがタイで待ち受けているとは思わなんだ。流石はブータン、ドゥック・ユル(雷竜の国)を名乗るだけのことはある。 我々を乗せて飛び立った個体は白く、名をAlbusというそうだ。高貴さの象徴であり、光そのものとも言えるかも知れぬ。 タイのスワンナプーム空港からブータンの空の玄関口であるパロ空港までアテンドしてくれるそうだが、着陸が難しいことで名の知れた空港であるから、気の抜けない空の旅となりそうだ。 ミール

          トランジット中に起きた事件

          試行錯誤の末、心機一転 noteIDを変更し再スタートしました。 これまでの記事は新たな趣旨により整理しましたが、いただいた❤️やコメントは心に留めて大事にいたします。 今興味があることは自分でオリジナルのZINEを創ることです。 あらためて、どうぞよろしくお願いいたします!

          試行錯誤の末、心機一転 noteIDを変更し再スタートしました。 これまでの記事は新たな趣旨により整理しましたが、いただいた❤️やコメントは心に留めて大事にいたします。 今興味があることは自分でオリジナルのZINEを創ることです。 あらためて、どうぞよろしくお願いいたします!

          荒野のポロ、かく語りき

          人は私のことを『荒野の歩狼』と呼ぶ。 綺世が幼少の頃に家族だった、なんの血統でもない三毛の混じりモノ。それが「ポロ」という犬だった。 物質と記憶この世界のあらゆる存在がそうであるように、私もまた生き物としての原型を留めていられる期間を超過した。散逸化して粒子となった後、まだ微粒子を保っていられるうちは、私を構成する粒子と反粒子が対消滅と対生成を繰り返した。 生じた対消滅エネルギーはますます発散へ向かう人間社会の膨張熱に溶け、同時に対生成するためのエネルギーは消費されるよう

          見えない星を巡る旅

          かつて旅といえば、それは未知がもたらす驚嘆だった。誰もが踏み出せるわけでない、或いは訳あって出立した先にあるもの。知られざるまま野に朽ちたものも在ろう。 しかしながら驚くべき速度で長距離を移動する交通の編み目が出来上がり、人の蠢きは広がり同時にその数も増えた。そうあっては恒星間航路の実現も間もなくのことだろう。 その間に計算機が作り出す世界が台頭してから、より一層生活の様相が変化して、人々は己の旅の光景を滔々と見せびらかすようになった。 その情報を有難く享受する一方で辟

          いつか月も旅先になるのだろうか-『100%月世界少年』|読書

          飛行機で海を渡るように惑星間航行の機体で月に降り立ち、物珍しげにその世界に踏み込んで行く日が来るとすれば、その背景には人類が存続しうる資源が月にあってのことだろう。 けれど、その資源をもただ消費し続ければ、再び人類は衰退の一途を辿る。 退廃的な空気の中で閃く鮮やかな色彩を描いたSF小説の読書記録。 あらすじ2000年後の未来、月で稀に生まれる〈第四の原色〉の瞳を持つ子供たちは、法律で生涯ゴーグルの着用を義務付けられている。その瞳を見た人間は錯乱をきたすためだ。 地球の少女

          いつか月も旅先になるのだろうか-『100%月世界少年』|読書