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TRANSIT JOURNEY

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荒野のポロと綺世が語る乗り継ぎ旅の記憶
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登場するキャラクターについて

TRANSIT JOURNEYは乗り継ぎの旅をベースとした創作紀行文です。実際の旅を土台に、現実と虚構が入り交じるフィクションの語り手が存在します。 (登場するキャラクターが追加された場合、随時こちらへ追記します) TRANSIT JOURNEYの語り手この世のものか否か分からないもの、意味不明なモチーフ、そういったものも出現するかもしれませんが、中心となるのは以下の2人です。 ▷荒野の歩狼 ポロローグの語り手。少なからず神経質で内省していることが多い。 故郷・大倭国

長距離列車で起きた珍事|Switzerland

ベルンへ向かう最終列車、の一つ前の便に滑り込み、空いている席を見つけてようやく一息つくと、列車が緩やかに動き出した。 僕の右隣、窓側の席に背を預けたのは旅の道連れ、その名をポロという。 チューリッヒから日帰りのつもりでツェルマットに出かけてきて、僕たちは今まさに帰路に着いた。 踊るラム肉ベルンで乗り換え、チューリッヒに着いたらトラムとバスを乗り継いで、郊外の宿へ直行する手筈だ。すでに夕食は済ませたし、シャワーを浴びて後は寝るだけ。 思えばずいぶん遠くまで来た。天気に恵ま

リアルこそ最高のエンタメ|JR大湊線

ファストパスを駆使して巧妙に作られたアトラクションに乗るよりも、時間をかけて赴いた地でリアルを体感する方が余程生きている実感が湧く。 あらためてそう感じたのは、関西から北を目指し、青森の下北半島に延びるJR大湊線を北上した時のことだ。 JR大湊線(青森・下北半島)2021年9月には開業100周年を迎えたらしいJR大湊線は、青森〜八戸間を走る『青い森鉄道』から分岐する形で、まさかり型の下北半島へと線路を伸ばしており、野辺地〜大湊間を走行する。 これは青い森鉄道から乗り換えて

トランジット中に起きた事件

日本を出立した時は、まさか "王家の竜" Draco excelsiorがタイで待ち受けているとは思わなんだ。流石はブータン、ドゥック・ユル(雷竜の国)を名乗るだけのことはある。 我々を乗せて飛び立った個体は白く、名をAlbusというそうだ。高貴さの象徴であり、光そのものとも言えるかも知れぬ。 タイのスワンナプーム空港からブータンの空の玄関口であるパロ空港までアテンドしてくれるそうだが、着陸が難しいことで名の知れた空港であるから、気の抜けない空の旅となりそうだ。 ミール