マガジンのカバー画像

語学エッセイ集

802
ことばについてのエッセイ集。外国語学習のこと、気になる言葉、好きな言葉をまとめました。また、「激論」したことをこのマガジンに含めています。
文章の書き方やテーマの見つけ方をまとめました。また、英語以外の外国語の話題も取り上げています。哲学…
¥750
運営しているクリエイター

#英語

Think different について

Think different について

「Think different.」

 スティーブ・ジョブズの言葉だと言われています。
 出典を調べてみましたが、最初に言われたのはいつなのかということや、前後の文脈がよくわかりません。

 この記事では、文献的な詮索をしたいのではなく、「Think different.」という短い言葉の文法について書きたいと思います。

「Think different.」というフレーズを単独で聞けば、
「(

もっとみる
襲撃 | スタインベック

襲撃 | スタインベック


(1) スタインベック「襲撃」について

 スタインベックの短編小説「襲撃」を読みました。この短編小説「襲撃」(The Raid)は、Peguin Classics の John Steinbeck, The Long Valleyの中に収められています。また、「襲撃」の日本語訳は、大久保康雄(訳)「スタインベック短編集」として新潮文庫に収められています。

 「襲撃」はPenguin版では 6

もっとみる
大統領の演説は良い英語教材だなと思う。

大統領の演説は良い英語教材だなと思う。

 先日深夜、トランプ新大統領の就任演説を生放送で聞いていた。一般的に大統領就任演説では、個別具体的な政策について言及されることは少なく、方向性や理念が語られることが多い。また、巧みなレトリックが散りばめられていて格調高い文章が並ぶ。

 トランプ新大統領の就任演説は、格調高いわけでもないし、個別具体的なことに言及している箇所が多かった。内容的には、選挙演説と大きく変わるものではなかった。けれども、

もっとみる
「透明人間」の非標準英語について

「透明人間」の非標準英語について

 何度か記事に書いていますが、現在、ラルフ・エリソンの「透明人間」を読んでいます。
 この本はアメリカ文学史に残る不朽の名著ですが、非標準的な英語がかなり会話に使われていて慣れないと読むのに手こずります。そうかと思えば、標準な英語で書かれている箇所には、難解な言葉が使われていて英語で読むのはけっこう大変です。

 この記事では、非標準的な英語で書かれている箇所と、標準的な英語で書かれている箇所を引

もっとみる
一語の宇宙 | creole

一語の宇宙 | creole

 地図帳を見ていると、その国や地域で話されている主要な言語が掲載されていることがあります。
 英語、フランス語、スペイン語などの大言語とともに「クレオール語」が目立ちます。英語よりも広範囲に話されているような印象を持つと思います。
 「クレオール語とは何か?」という説明がないと、英語やスペイン語のような大言語だと錯覚してしまうかもしれません。

 言語学辞典では、クレオールは以下のように説明されて

もっとみる
読書 | 長沢和俊(著) | 張騫とシルク-ロード

読書 | 長沢和俊(著) | 張騫とシルク-ロード

 長沢和俊(著)「張騫とシルク-ロード」[新訂版] (清水書院)を読みました。
 先日読んだ井上靖「楼蘭」を読んで、シルクロードに関心を持ったのが、この本を読んでみようと思ったきっかけになりました。

 「張騫とシルク-ロード」のメインは、シルクロード。私は高校の頃に、世界史と日本史を両方学びました。受験では日本史を選択したので、世界史の記憶はほとんど失われています。しかしながら、この本を読んでい

もっとみる
一語の宇宙 | someとanyの使い分け

一語の宇宙 | someとanyの使い分け

 中学生で英語を学ぶとき、「some」も「any」も、「いくつかの」という意味で教えられることが多い。そして、「some」は肯定文で、「any」は疑問文・否定文で使いましょう、と。

 そのような「縛り」があるせいか、中学生の問題集をたまに眺めると、本来は「some」のほうがよいと思われる文脈でも、「any(この場合はsomeでもよい)」という解説があったりする。

 また、「いくつかの」という日

もっとみる
読書 | 補陀落渡海記

読書 | 補陀落渡海記

 井上靖の短編小説「補陀落渡海記」(ふだらくとかいき)を久しぶりに読みました。この小説は新潮文庫「桜蘭」に収められています。年末に「銀河鉄道の夜」「フォークナー短編集」と一緒に購入しました。

 「補陀落渡海記」をはじめて読んだのは2013年3月1日から3月2日でした。
日本語ではなく、オックスフォード版「日本文学短編集」の「Passage to Fudaraku」(James T. Araki

もっとみる
世界の言語の語順

世界の言語の語順

 英語その他のヨーロッパ系の外国語を学習していると、「主語+動詞+目的語」(SVO型)が多く、それが世界の言語のスタンダードなのだと思っていた。だから、日本語のような「主語+目的語+動詞」(SOV型)はマイナーなのだと感じていた。

 しかし、調べてみると、日本語のように文の終わりに動詞が来る言語のほうが主流であることがわかった。

 日本語は、日本人ですら難しい特殊な言語だと思っているが、日本語

もっとみる
待ち伏せ🎵| Ambush | 待ち伏せの人物像に迫る!!

待ち伏せ🎵| Ambush | 待ち伏せの人物像に迫る!!

 The other day, I happened to hear the song "Ambush"(the original title is "machibuse"[待ち伏せ]) sung by Ishikawa Hitomi on the car-radio. I heard it for the first time in these three decades. 

 I didn'

もっとみる
私の英語愛読書10冊

私の英語愛読書10冊

 noteには、読書感想文をけっこう書いています。
 今回は感想文ではなく、「私の英語愛読書」を10冊挙げてみたいと思います。ここに挙げる本は、個別に何度か記事にしていますが。。。
 たぶん、今までに300冊以上の英語の本を読んでいますが、繰り返し何度も読んでいる本は多くありません。

 この記事では、「黙読」および「音読破」(最初から最後のページまで音読したもの)した本に限定して紹介します。

もっとみる
読書 | ニッポン社会入門 (How to Japan)

読書 | ニッポン社会入門 (How to Japan)

 Colin Joyce(著)、「How to Japan 」(NHK出版)。

 今から10年くらい前に購入した本。2週間くらいかけて、ゆっくり読んでいた。

 この本は、イギリスから日本へやって来たジャーナリスト・コリン・ジョイスさんのエッセイ集。
 このエッセイ集は、最初に日本語で「ニッポン社会入門」として書かれた。そして、話題になって英語版が出た。私は日本語版は読んでいない。
 気軽に読め

もっとみる