小野あくび

エンタメ摂取の記録。週に1回は長めの感想文を投稿しています。お笑い・音楽・本・映画・舞台・ラジオなど。

小野あくび

エンタメ摂取の記録。週に1回は長めの感想文を投稿しています。お笑い・音楽・本・映画・舞台・ラジオなど。

最近の記事

  • 固定された記事

『いのちの車窓から2』読書感想文

はじめに 私は、星野源さんの書く文章が好きだ。 もしかしたら、源さんのする表現の中で、「エッセイ」が1番好きかもしれない。 そもそも、源さんを「有名な歌手・俳優」としか認識していなかった私が、明確に彼を尊敬や憧憬の対象として見始めたきっかけが、気まぐれで読んだ『そして生活はつづく』だった。 これまで色んな人のエッセイを読んできた中で、「興味を引く経験」や「思考回路」に感心したことはあっても、「文章表現」や「構成」にまで唸ってしまったのは、『そして生活はつづく』が初めて

    • 『漫才過剰考察』読書感想文

      ①はじめに正しく「過剰」考察だった。 「漫才」について、ここまで論理的且つ系統的に説明されたのは初めてだ。 勿論、塙さんの著作など、漫才やお笑いそのものについて語った媒体には、今までも触れてきた。 だが、本書は余りにも深くて鋭い考察がなされており、数少ないお笑いについて語られた本の中でも、随一で読み応えがあった。 まず私は、井口さんに揶揄される様な、痛いタイプのお笑いファンだと自覚している。 何故なら、お笑いが好きになればなるほど、裏側も好む様になってしまったから。

      • 【各コンビ感想】AmazonOriginal最強新コンビ決定戦THEゴールデンコンビ

        ずっと配信を待ち侘びていた。 全部の予告を3回ずつは見たし、事前の関連コンテンツも全て見た。 そんなハードルが上がりきったゴールデンコンビだが、本編を見終わった感想としては、「最高だった」の一言に尽きる。 中身以外の感想で言うと、まず、セットのスケールのデカさや、登場のかっこよさに驚かされた。 そして、それらとの対比で、即興コントの滑稽さが映えていたので、非常に良かった。 また、見る前は、「面白くないコンビに投票させるシステムは酷じゃないか?」とも思ったが、"面白いコン

        • 映画『傲慢と善良』感想文

          最近、好きな小説の映画化がイマイチなことが続いていたから、この映画を見に行くのも怖かった。 何故なら、原作小説がメチャクチャ好きなので、世界観やメッセージが破壊されていたら、許せないと思ってしまうから。 しかし、そうやって二の足を踏んでいると、公開が残り数日になってしまっていた。 その事実に気づき、仕事帰りに慌ててチケットを買い、スクリーンへ向かった。 結果、本当に見て良かった。 以下、3点に絞って感想を書いていく。 ①キャスト映画を見終わって最初の感想は、「出演者

        • 固定された記事

        『いのちの車窓から2』読書感想文

          365日違う曲を聴く生活(10月編)

          365日、アーティストの被りなしで365曲聴く1年間の記録。 10/1 RED ANTHEM - Red Eye battle summit良さすぎた。Red Eyeは声に存在感がありまくりだったし、Novel Coreは徹底的に痛いところを即興で突いていて、超ブチあがった。恥ずかしながらこの曲を知らなかったため、Red Eyeの2バース目がどこまでがネタか分からなかったので試聴。結果、セルフサンプリングしていた部分は勿論、1曲を通してスタンスが貫かれていてカッコよかっ

          365日違う曲を聴く生活(10月編)

          【ライブレポ】粗品 全国五大都市ツアー『くるみ割り人形』@Zepp DiverCity

          喰らいすぎた。 勿論、粗品が本気で音楽をやってるのは知っていた。 だけど、「本気」がこれほどの熱量だということを全く分かっていなかった。 凄まじいほどの迫力に、終始気圧された。 そんなライブだった。 対バン相手である清竜人25の多幸感のあるステージが終わり、粗品バンドのバンドセットが組まれていく。 高く掲げられる横断幕に、徐々に客のボルテージが上がっていく。 クラッシックと共にきっしー → ひかりちん → 粗品の順番で登場。 最初のうちは"お笑いの客"が「こんに

          【ライブレポ】粗品 全国五大都市ツアー『くるみ割り人形』@Zepp DiverCity

          365日違う曲を聴く生活(9月編)

          9/1 イト - UNISON SQUARE GARDEN クリープのトリビュートアルバム内の一曲。「この企画でカバーをいれるのはどうなの?」とも思ったが、完全にUNISONの曲になっていたので関係ない。イントロで「あれ?シュガビタ?」と困惑していたら、滑らかにイトの前奏に切り替わるのがお見事すぎた。節回しや声質を変えるだけに留まらず、魔改造しながら原曲の良さを消さずに自分の曲にするという行為は、1番リスペクトがないとできないことだと思った。 9/2 SAMURAI SO

          365日違う曲を聴く生活(9月編)

          『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA(9/23)』感想

          ①ヤバイTシャツ屋さん 最終日のひたちなかに着くと、サザンのグッズを求める尋常じゃないくらい長い列が目に入った。並んでいたら1組目のヤバTが始まってしまうと思い、やむなくサザンのグッズ購入は断念。 そして、私はCreepy Nutsの、同行者はヤバTのグッズを買いに向かった。 すると、ステージから本番みたいなリハの音が聞こえてきた。焦った私たちは急いでクロークに荷物を預け、リハを見に行った。 結果、見にいって正解だった。 何故なら、リハから全力で何曲も歌うし、マンキン

          『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA(9/23)』感想

          『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA(9/22)』感想

          着くまで 今回私は、6:30頃に出発する都内ターミナル駅発のバスツアーでひたちなかに向かった。その集合時間に間に合わせるため、3時半起きをして最寄りから始発に飛び乗った。 道中、フェスTやバンドTに身を包み、サコッシュを肩掛けしている人がチラホラ見受けられ、絶対に目的地が同じことを確信し、仲間意識みたいなものを感じながら電車に揺られること1時間弱。 ターミナル駅の駐車場に着くと、既に行列ができていたが、割と早めに到着できたため、あまり待たずにバスに座ることができた。

          『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA(9/22)』感想

          『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』読書感想文

          きっとこの本を、周りに馴染むのに必死だった大学1年の頃とか、新卒で入った会社に絶望した社会人1年目の頃とかに読んでいたら、立ち直れないくらいダメージを食らっていたのだろうな。 読み終わった後、そう思った。 何故なら、今の私は当時に比べてかなり精神的に余裕がある筈なのに、それでもズタズタになるくらい痛手を負わされたから。 麻布競馬場さん。 名前だけは聞いたことがあったが、今まで彼の書く文章に触れたことがなかった。 だが、偶々タイムラインに流れてきたこのツイートをきっかけ

          『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』読書感想文

          Netflixオリジナル『トークサバイバー3』感想

          ①各出演者について本当は出演者全員分の感想を書きたいくらいなのだが、余りに文量が多くなってしまったため、最終決戦進出者と若手パートの勝者にだけ絞って書いていく。 ・津田さん 殆どのお題で1発目を担当し、のっけからエンジン全開でブチかましてくれたのが、本当に頼もしかった。 しかも、披露するトークを一つも外していなかったので、改めて地肩がエグすぎると再認識させられた。 そして「褒め合い」のお題になった途端、皆が我先にと津田さんに絡みに行ったのは、津田さんであれば、あの難し

          Netflixオリジナル『トークサバイバー3』感想

          映画『ラストマイル』感想

          最初の感想としては「確かにこれはアンナチュラルもMIUも見たくなるわ」だった。 星野さんの演技は「逃げ恥」とか「11人もいる」みたいなコメディっぽいキャラクターばっかり見ていたし、綾野剛さんの演技も最近見た地面師に引っ張られていたので、2人ともイメージがガラッと違って「役者さんって凄いな〜」って思わされたからだ。 アンナチュラルに関しても、全く粗筋を知らなかったので、解剖医によるミステリータッチの話だと分かったことで、俄然興味が湧いた。 ただ、2作品を本作とクロスオーバー

          映画『ラストマイル』感想

          365日違う曲を聴く生活(8月編)

          8/1 JO-DEKI - ポルカドットスティングレイ 爽やかで明るい曲調にノリノリになりながら概要欄を見たら、アツすぎてびっくりした。創作の裏にはこんな苦悩が渦巻いてるんだと思ったら、感謝の念しか湧かない。めっちゃ聴いてます、ありがとうございます。 8/2 Wandering Dream Chaser - ストレイライト 学マスのポッドキャストで紹介されていた2つ目の曲。サビの「どうぞコールしてください」みたいな休符が憎くて最高。ライブでめっちゃ盛り上がるんだろう

          365日違う曲を聴く生活(8月編)

          『仕事。』読書感想文

          ふらっと立ち寄った上野のブックカフェで、表紙のわざとらしいほどにでかい句読点と、錚々たるクリエイターの並びに惹かれて手に取ったのがこの本と出会ったきっかけ。 そして、立ち読みで前書きを読んで、久々に衝動買いしてしまった。 それは、この文を読んだからである。 「。」に違和感を持ったのは間違ってなかったのかという答え合わせと、転職をしたことで、丁度キャリアについて今一度考え直しているタイミングでの出会いに、何か運命的なものを感じたのだと思う。 この本は、川村元気さんと各界

          『仕事。』読書感想文

          『ごきげんになる技術』 読書感想文

          自己啓発本の類はあまり読まないのだが、「尊敬してる方の考え方や経験談を知りたい」という理由で手に取ることは偶にあり、今回もそれに当たる。 佐久間さんの著作なので当たり前っちゃ当たり前なのだが、本の内容は「メンタルの整え方」を謳うコラム記事の皮を被った「ずるい仕事術」の続編だった。 読んでいて嬉しかったのは、社会人として少しずつ経験を積み始めたことで、実感を持って理解できることや、同じように言語化していたことが前作より増えていたこと。 そして、前作は丁度社会人になったタイ

          『ごきげんになる技術』 読書感想文

          Netflixオリジナル『地面師たち』感想

          大根監督作品で、日本映画界の宝みたいなキャスト陣。面白くないはずないとは思っていたが、夜通しで一気見してしまうくらいに面白かった。 Netflixの勝手に次の話が再生される機能考えた人、悪魔すぎる。 ____________________ 「地面師たち」は2017年に実際に起こった「積水ハウス地面師詐欺事件」をモチーフに描かれている。 そもそも、この事件が超面白い。 調べる手が止まらない。 現実世界では「海喜館」という旅館の土地が詐欺に使用されたらしいのだが、本作

          Netflixオリジナル『地面師たち』感想