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なかやまかずはの『ささめごと』

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"えっくす"のタイムラインのように、時系列で"なかやまかずは"の映画感想・自由律俳句・140字のショートエッセイ等もろもろを「こしょこしょ……」とささめています。
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#自由詩

【#詩】 現代寓話(Part1)

【#詩】 現代寓話(Part1)

プレイボーイなピーターパンが初めて本気で恋をした

恋をされたのは光の中に身を潜めるちいさな妖精

ひら ひら ひらりんと彼の甘い言葉をかわす

「うふふ、うふふ……」



彼女の唇を奪おうとした矢先、冷えた指が彼へ伸びる

トゲのある花にくちづけていたピーターパンは苦笑い

ちくりと痛むのは唇と心 どちらでしょうね

「うふふ、うふふ……」



デジタルの波に飲まれ、現代の寓話はここで幕

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【#詩】 化粧

【#詩】 化粧

化粧を剝いで 落ちたのは心でした

あんな日はもう二度と来ないと
誰もが あなたですら 思っていたと

素顔の私だけが 知っていました

ベットサイドに灯る間接照明が
けだるい時間だけを融かしきって

頬が染まるのを あなたは見ていた

飾り気のない初心な心 隠しきれず
化粧剥がれた素肌は真綿色

▽Inspired by……

【#詩】 純恋果てる頃

【#詩】 純恋果てる頃

終わりを知って覚えたのは始まりだった

そして始まりを知って
僕は臆病になった

終わりはいつだって
そこに存在していて

胸に咲き誇る純恋も
永遠を求めた途端枯れ

記憶を留める栞を作ろうにも
押し花にすることすらできず

「それでいいの」と言っていた
君の面影もいつか消えてしまう

終わりを知って覚えたのは
本当は寂しさのほうだった

それでも それでもと天高く手を伸ばす
人間とはなんて愚かで

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自分であるために闘ってきた。
闘うことでしか自分を守れなかった。
負った傷は目に見えないくせに酷く痛む。
闘わず生きられる人を羨むこともあった。

この闘いに勝ち負けも引き分けもない。
孤独や痛みの代償は確固たる自分自身。

失うと同時に得た自由は
寂しさと誇りを混ぜた味がする。

【#3行日記】 古傷を指でたどる

【#3行日記】 古傷を指でたどる

野良猫に浮気して引っ掻かれたふたつの傷は

目を凝らしても皮膚の青白さしか映さない

思い出だけがじくじくと疼きだす午前二時