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ゆめいるか書房
2024年9月20日 08:04
土井探花氏の句集『地球酔』を読みました。五句選二箇所の「よい」の使い分けがよいと思いました。中秋の名月など、名月はSNSさえも賑わす存在。月を美しく感じる感性は、DNAに刻まれた感覚かもしれない。「〜の件」はライトノベルのタイトルやネットスラングでよく見る言い回しである。※ライトノベルの場合「〜な件」という言い回しもある。まさか俳句に取り入れるなんて!という意外性と
2024年8月19日 12:00
『黒田杏子俳句コレクション2』の「月」を読んだ。装丁金箔押しのタイトルと編著者名、夜空を思わせる濃紺の装丁など、重厚感がある。背のタイトルも箔押しで、帯を外すと編著者明も箔押し。他の同シリーズ同シリーズには黒田杏子俳句コレクション1 螢黒田杏子俳句コレクション3 雛黒田杏子俳句コレクション4 櫻がある。今回は一番興味があった、2の月を読んだ。選月おぼ
2024年8月13日 12:00
黒岩徳将氏の句集『渦』を読んだ。装丁銀色を基調とした装丁が美しい。銀色で厚みがあるせいか、重厚感や近未来感や機械感がある。本棚に収めた際、背の厚みやフォントがかっこいい一冊。選付箋をたくさん付けながら拝読したため、たくさん引用しようかと思ったが、感想などを書きたい句を厳選して紹介。バンズよりはみ出す肉やサングラスバンズ(ハンバーガーのパン)からはみ出す肉と、サ
2024年2月12日 12:00
句集『にもつは絵馬』(阿部完市氏)を読みました。第三句集の文庫化版にあたるそうです。作者の経歴この作者の異色の経歴はWikipediaをご覧下さい。五句選余談ご紹介した手元の句集は古本です。同出版社の句集文庫の俳人メンバーが豪華です。奥付裏広告より。当時の俳壇の雰囲気が伺えますので、ご覧ください。〔既刊〕後藤比奈夫 第三句集『祇園守』藤田湘子 第四句集『
2024年2月9日 12:00
句集『白熱灯』(東國人氏)を拝読しました。本の装丁白熱灯の写真と黒い背景、ハードカバーであるなど、重厚感があります。昭和から令和にかけての作者の俳句が収録されており、時間的な層の厚みも、デザインだけではない面での重厚感を生んでいるのだと思います。本のスピン(栞紐)がオレンジ色である点が、白熱灯を連想させます。五句選良い句や面白い句が多いので選に迷いました。今回は一言コメン
2024年2月6日 08:00
雪が数センチ積もりました。雪を見ると創作意欲が増す、かと思いきや色々な作品を思い出すのでした。雪が降る度にX(旧Twitter)の短歌のタイムラインは「ゆひら」と言って騒ぎになります。これは穂村弘氏の有名な短歌の一部から「ゆひら」の部分だけを取って言っています。当該の短歌は以下です。さて、それとは別に私が思い出す短歌は以前noteの記事で紹介しました歌集『スーパーアメ
2023年11月27日 12:00
句集『雲ぷかり』(工藤惠氏)を読みました。この句集についての雑談。タイトルに惹かれて購入して読んだところ、見覚えがある俳句がちらほらあり「どこで見たのかな」と考えていました。すると手元にある『天の川銀河発電所』という現代俳句のアンソロジーの本で紹介されていて「ここか!」と納得しました。五句選チョコでもココアでもなく、高級感のある「ショコラ」です。消しゴムを大切に
2023年6月5日 12:00
『菫橋』竹井紫乙著を読んだ。不思議な川柳が多い句集。その不思議さは表紙のイラストからも伝わってくる。作者本人が作中主体と思われる句以外に、姉、妹、フランケンシュタイン、他人など色々登場する。五句選えれがんすのひらがな表記が、カタカナで書くよりも意味深。「がんす」の部分のせいか、語尾の「〜でがんす」と空見した。ぼったくり移動遊園地に憤るでもなく行きたいというズレ。
2023年2月13日 18:05
越智友亮氏の句集『ふつうの未来』から五句紹介。噴水の水が落ちた直後の景を詠んでいる点が珍しい。『体温はたましいの熱』の言い回しが面白い。梨のみずみずしさやおいしさも感じる。『Wi-Fiとんでない町』は田舎だと推測できる。田舎と夏の取り合わせが爽やか。水槽のぼんやりとした明るさと、夏風邪のぼんやりした体感が重なる。動かない駅を『残された』とし、『悴みぬ』という擬人法で終わる。
2023年2月12日 08:48
この句集は・光景が面白い句・読むと感覚が蘇る句が多いと感じた。そんな飯田マユミ氏の句集『沈黙の函』から五句紹介。リフレインが効いていて、躍動感がある。納得と共感をした。こういった作者独特の発見の句は読者としては楽しい。俳句という短い詩形で、広い空間が表現されている。やわらかい柿をうっかり踏んだ時の、ぐにゃっとした不快感を巧みな比喩で表現している。木と人の寿命の
2022年12月3日 15:42
オンライン句会『コールサック句会』でご一緒させて頂いている、亀井千代志さんの句集。 ※『コールサック句会』の紹介(鈴木光影さん)以下、感銘句を数句紹介。 耕す人の実直さを感じる。「ふり返りもせずに」の一心不乱さも分かりやすい。 「ボーイソプラノ集まりぬ」とあるので、男の子の集団だろう。賑やかで楽しそうな雰囲気や年齢層が「ソプラノ」の部分で伝わってくる。 蛇のぬ
2022年11月27日 16:40
先日、神保町の古本市で『風天 渥美清のうた』(森英介著)を手に入れた。 その本に好きな俳句が多かったため、一部紹介する。(掲載順) さくらんぼを食べる句は味の話になりそうだが、食べ終わった直後のふとしたさみしさに注目している点が面白い。 同作者の類句に〈流れ星ひとり指さし静かなり〉がある。「動作と音も句に入れて欲しい」と考える読者は「指さし静かなり」の方が好きかもしれない
2022年9月24日 11:32
この句集のタイトルに惹かれた。『パーティは明日にして』という、句集としてはポップなタイトルと、そこにある物語性が気になった。 掲載されている俳句も、作者が楽しみながら詠んだと思われる句や、面白みのある句が多く、ポップな印象だった。いい意味で、リラックスタイムにお茶を飲みながらのんびり楽しめる句集という印象だ。 以下、数句紹介。 この句集の冒頭一句目。この時点で作者の世界観に引き
2022年8月21日 15:57
動物の句を五句紹介目刺目刺は食材な気がしたが、魚なので動物部門として紹介。この句でも内容的に「魚だったもの」として扱われている印象。大象お祭りの見せ物で呼ばれた象も花笠をしている。楽しいが、どこかかなしい。現代だったら写真に撮られてSNSにアップされていそう。青蛙前の記事でも紹介したが改めて。↓前の記事蛙は名句が多く、蛙で句を詠むのはかなり勇気が要ると