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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2023年5月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第562話

「第二級の殺人容疑で、君の友だちのメリンダと、一緒にいたメイソン・ガルシアが逮捕された。…

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水深800メートルのシューベルト|第561話

 ついにこの時が来た。(男の質問に)微かに頷くと、男は口ひげに手をやってから言った。 「…

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水深800メートルのシューベルト|第560話

 バス停のひさしの下に入ると、そこにいた男は笑みを浮かべて手を差し出してきた。僕はその手…

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水深800メートルのシューベルト|第559話

 その男の視線には芝生が終わりかけるあたりから気づいていた。最初はメイソンの仲間かと思っ…

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水深800メートルのシューベルト|第558話

 彼は、僕に向かって微かに頭を動かしたようだったが、彼と関りたくはなかった。僕の罪、恐怖…

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水深800メートルのシューベルト|第557話

 僕は、これから始まる午後の授業に出る気をなくしたので、校舎を抜けて表の敷地に出た。  …

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水深800メートルのシューベルト|第556話

ブライアントはふうと息を洩らすとトレーのマカロニをぐちゃぐちゃにかき回して、皮肉っぽい調子で言った。 「別に、いいけど。メイソンを売ったとしたら、お前度胸があるな。あいつか兄貴にリンチにあって殺されるだろうからな」 「だから、僕じゃないって」  大きな声を出したいのを我慢しながら言った。しかし、ブライアントの冷めきった目はまったく変わらなかった。 「どうでもいいけど、お前のせいでメイソンが捕まったことには違いないから」  彼はそう言うと、すっかり食欲をなくしたのか、トレーを

水深800メートルのシューベルト|第555話

「なんで、お前の知り合いに銃を貸した? なんで車が必要だった? お前、何か隠してないか?…

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水深800メートルのシューベルト|第554話

「そう言えば、この前アシェルに銃を返しに行かせる話をした時だったな、最後に会ったのは」 …

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水深800メートルのシューベルト|第553話

     (31)  数日後、メイソンが女の子と一緒に逮捕されたという噂が、学校中を駆け…

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水深800メートルのシューベルト|第552話

違う、手伝わせてもらえなかったんだ。メリンダを助けたかったのに。自分が役立たずぶりが嫌に…

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水深800メートルのシューベルト|第551話

 狭い道を、遠くの小さな光を頼りに歩いて行くと、光は大きく眩しくなって、僕の眼に刺さって…

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水深800メートルのシューベルト|第550話

「早く帰りなさい、さもないと撃つわよ。さあ!」  叱るような声に弾かれて、僕は彼女に背を…

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水深800メートルのシューベルト|第549話

彼女は、低い声で脅すように続けた。 「アシェルは、メイシーをここに呼んですぐに帰った。家のドアの前で話をしただけで、家の中にも入っていない。いいわね!」  あの恐ろしい血だまりを忘れろと言うのは無理だと思ったが、僕は黙って頷いた。 「今なら、まだ最終のバスに間に合うわ、行きなさい」  メリンダは冷たくそう言ったが、表情は残酷なそれではなく、強張っているようだった。それは、泣くのを我慢している時の顔かもしれない。そう思うと、彼女の心の中がさっぱりわからなくなって混乱した。しか