「なんで、お前の知り合いに銃を貸した? なんで車が必要だった? お前、何か隠してないか?」
「そんなんじゃないよ……。僕も、よくわからない」
そう言うのが精一杯だった。
「ふうん」ブライアントは、細い顎を少し上に向けて、僕を見下ろすような目で見てきた。
「お前、メイソンを警察に売ったんじゃないだろうな?」
「おい、アシェル、俺たちのボスを……」
バーナードもそう言って、僕の肩を揺すってきた。
「ち、違うよ。僕は、帰っていいって言われたから、帰っただけさ」
これは本当の事なんだ、自分にそう言い聞かせた。
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